社会人教育と転職時にはブランクととられることも 学び直してキャリアアップを狙う人たち
- 1
- 2
「卵とニワトリ」の関係
「大学院に行くより、もっと現実的な方法を検討してはどうでしょうか」
一つは、現在Eさんが働いている会社で、マーケティング部門に異動させてもらうことだ。転職を考えているのだから、社内でどう思われてもいいくらいの強引さで希望を出せば、異動がかなうかもしれない。そこで最低でも1年、できれば数年経験を積んでから改めて転職活動をすれば、よりよい条件でマーケティング職として転職できる可能性がある。
または、大学院で学び直すとしても、働きながら通える社会人向けのコースにする。仕事と勉強の両立は大変だが、少なくともブランクやモラトリアムと誤解されるリスクはなくなるだろう。
キャリアチェンジの厳しい現実に、Eさんはやや複雑な表情だった。
こんな時に注意しないといけないのは、「将来マーケティングに異動できる」という触れ込みの営業職の募集に跳びついてしまうことだ。営業職の採用は簡単ではないから、そんな「エサ」をつけて募集する企業もあるのだ。もちろん、ずっと営業でもいいと思えるような会社であれば、それでも問題はないのだが。
では、実際に「学び直した人材」を企業はどう評価するのだろうか。とある企業の採用担当が人と状況によっても違うが、と前置きして話してくれたことがある。
「努力家だという前向きな評価はもちろんしますけど、やはり会社を辞めている場合には、そこまでしなくてはいけなかった理由が気になりますね」

キャリアアップのために学び直すことがあまり一般的ではない日本では、どうしても何か他にネガティブな理由があったのではないか、と勘繰ってしまうようだ。勉強の結果として国家資格などを取得していればわかりやすいが、単なる語学留学などでは、遊びに行っていたように受け取られてしまうこともある。
結論としては、学び直した人材が目に見える成果を出した実績がないからのようだ。しかし、これは「卵とニワトリ」の関係と同じで、企業が積極的に採用しないから実績の出しようがないのだともいえる。
今後、アメリカのように社会人が学び直してキャリアアップできる時代がくるのだろうか。人材紹介会社としても非常に気になるところである。
- 1
- 2
この記事を読んだ人におすすめ
-
なぜ、大企業を辞めて中小企業を選ぶのか――大企業から中小企業への転職の実態を探る(リクルートワークス研究所)
-
山﨑高之さん(株式会社BREXA Holdings 代表取締役社長 社長執行役員COO): 波乱万丈のキャリアの先にたどり着いた「境界をなくす」という使命 日本の人材業界には、グローバルな視点で新たなビジネスに挑んでほしい
-
中途入社時の賃金を転職前より高く設定している企業は約1割
-
男女別にみたミドル(40代後半~50代前半)の転職状況~厚生労働省「雇用動向調査」(2023年)より~(ニッセイ基礎研究所)
-
人手が不足するなか、なぜハローワークの紹介件数は減少を続けるのか(リクルートワークス研究所)
企業と求職者の仲介役である人材紹介会社のキャリアコンサルタントが、人材採用に関するさまざまなエピソードをご紹介します。
- 参考になった0
- 共感できる0
- 実践したい0
- 考えさせられる0
- 理解しやすい0
無料会員登録
記事のオススメには『日本の人事部』への会員登録が必要です。