過労死事件の死角ハードワークもやりがいの一部? 気にする人が少ない人気企業の勤務環境
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やりがいがありそうだから
その日面談を行ったKさんが応募している企業の中に、ハードワークで有名なA社があった。A社はかなり仕事がきついと言われているが、Kさんはもちろんそのことを認識しているという。
「面接が夜の10時からだったり、日付が変わってから電話がかかってきたりすることもあったので、激務であることは予想しています。しかし、非常にチャレンジングな環境のようなので、ぜひ挑戦したいと考えています」

海外大学のMBAを取得しているKさんは、24時間体制で世界の市場を相手にしている金融機関やIT業界を狙っている。不眠不休でバリバリ働く先輩社員を見て、大きなやりがいを感じているのだという。結果を出せば給与が連動して上がっていくのも魅力だ。候補にしている企業はいずれも大手やその系列企業で、外資系企業も含まれている。大手や外資系だから間違ったことはしていないという、安心感があるのかもしれない。
「残業などの条件面は、しっかり確認されましたか?」
無茶な仕事ぶりのところは一度立ち止まって考えてみた方が……という私のアドバイスにも、耳を貸すそぶりはない。Kさんからすると、他の人材会社で紹介された案件だから難癖をつけているように感じたのかもしれなかった。
若い就職・転職希望者の場合、入りたい会社や人気のある会社に関して、細かい条件面を気にする人はほとんどいないのが実情だ。入社前に「ハードな仕事だよ」と聞いても、それを理由に辞退することはなく、むしろ「やる気が高まった」という人は多い。勤務実態はブラック企業と変わらなくても、大手企業や人気企業であればなかなかブラックと認識されないという、不思議な傾向もある。
私たちは過酷な環境で働く人たちを追跡したドキュメンタリー番組などを見ると、つい「カッコいいなあ」と憧れてしまう。倒れるまで働くのをよしとする文化がどこかに根づいているのだろう。それは、「働き方」を考える上での一つの死角なのかもしれない。
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