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2006年に「高卒採用」は復活するか

労働政策研究・研修機構研究員

原 ひろみさん

原 ひろみさん 労働政策研究・研修機構研究員

来春卒業見込みの高校生の新規採用を考える企業が増えています。厚生労働省によると、今年7月末現在の求人倍率は0.9倍で、7年ぶりの高水準となりました。同省では、景気の回復や間近に迫った団塊世代の大量退職がその背景にあるという分析をしていますが、労働政策研究・研修機構研究員の原ひろみさんは「将来の人材育成や技能継承を見据えて高卒者を採用する企業と、そうでない企業に二分化してきている」と別の視点からの分析もしています。原さんは今年春、高卒採用の現状と将来について研究した結果を報告書にまとめています。これから「高卒採用」はどうなるのか。具体的な企業のケースとともに、お話をうかがいました。

Profile

はら・ひろみ●1992年東京大学教育学部教育心理学科卒業。94年同大学経済学部経済学科卒業。96年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。2003年同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。専門は労働経済学(雇用形態の多様化、能力開発、若年労働、労使関係など)。現在、独立行政法人労働政策研究・研修機構の雇用戦略部門研究員。横浜市立大学商学部の非常勤講師も務める。2004年秋、企業の人事・労務担当者を対象に、「若年者の採用・雇用管理の現状に関する調査」を実施し、今年3月に『新規学卒採用の現状と将来――高卒採用は回復するか』(労働政策研究・研修機構発行)と題した報告書をとりまとめた。

企業の中に高卒者向けの仕事がなくなってきた

厚生労働省のまとめによると、2006年春に卒業予定の高校生の求人倍率は今年7月末現在0.9倍で、同時期としては1999年春の卒業者を対象とした98年の0.98倍以来、7年ぶりの高水準です。

高校生の新卒採用は、1992年春の卒業者に対する3.08倍をピークにして、それからずっと厳しい状況が続いてきました。2003年春の卒業者には0.50倍まで落ち込んだ。企業からの求人が5人しかないのに、仕事を求めている高校新卒者が10人いるということです。ところが、その後2004年春の卒業者に対しては0.53倍、2005年春には0.69倍、そして2006年春には0.9倍と、緩やかに回復してきていますね。

2007年に迫った団塊世代の大量退職のスタートと引き換えに、企業が高卒者の採用を増やしている、という背景がありますか。

そういう背景もあると思います。1997年に起きた金融危機の後、企業は早期退職制度などリストラ策を進めてきましたが、それが今、一段落したんですね。でも、こんどは2007年から団塊世代の大量定年退職が始まると。そこで、人員や技能継承をどうするかという問題が出てきて、その問題解決の一つとして高卒採用を増やそうと考えた企業も多いのではないでしょうか。

高卒採用を見合わせていた企業が人員問題などの解決のために再開しようと。

組織の年齢バランスなどを考えて、1990年代からずっと高卒採用を継続している企業もあります。でもその一方で、経営状況が悪くなって高卒採用を止めてしまい、そして今、再開したという企業も少なくありません。計画的、継続的に高卒者を採用している企業と、そうでない企業に「二分化」していると私は見ています。

「高卒復活」という見方も出ています。今後、高卒者の就職難は改善されるのか。それとも、団塊世代の大量退職が一段落したら、また元の状況に戻るのでしょうか。

原 ひろみさん  労働政策研究・研修機構研究員

今、状況は一時的に好転しているだけで、そう遠くない時期に流れが変わるだろうと思います。全体としてみれば、1990年代の初めから高卒労働市場は縮小傾向にあり、その傾向が変わることはないでしょう。景気が上向きになって、企業の業績が高いところで安定するようになったら、高卒採用を取り巻く状況が今よりも良くなるかもしれませんが、でも、そもそも高卒採用が減少していったのは、高卒者向けの仕事が企業の中になくなってきた、という理由もあるのです。

たとえば工場を海外移転させたり、非正規社員の雇用緩和を進める法改正を受けて派遣社員などを積極的に活用するようになったり、企業はこれまで高卒者に任せていた仕事を別の労働力で行うようになっています。企業の海外進出や非正社員雇用がこれから進むことはあっても止まることはないでしょう。そういった変化から見ると、高卒採用が今後、次第に回復していくとは考えにくいし、むしろ、将来的にかなり厳しいと言わざるを得ないと私は思います。

生産ラインの仕事では高卒者の質が高くなっている

では今、高卒者を採用する企業は彼らにどんな仕事を期待しているのでしょう。

2004年度に高卒者を新卒採用した企業を対象にアンケートをして、その理由(複数回答)を訊いたことがあります。その結果、「高卒者で十分こなせる業務だから」と回答した企業の割合が最も高くて、61.7%。つまり高卒者に対してそんなにレベルの高い仕事を期待していない企業がかなり存在する。その一方で「より若いうちから育成する必要がある業務だから」が40.8%。若い10代から技能を蓄積させていく必要性がある仕事にも高卒者の需要があるということです。

具体的な業種で言うと、高卒者の需要がある仕事は、サービス部門の拡大や営業力の強化が求められている金融や保険、また不動産やサービス業。それと、技術を継承していかなければいけない製造業ですね。一方、情報通信など、その分野に関して高度な知識が必要とされる産業では、高卒者が継続的に採用されているケースはごく稀ですし、今後も採用が急に増えるということはないでしょう。

しかし自動車とか輸送機器といった手作業、人間の力がいるような業種では、どうしても高卒の労働者が欠かせないと言いますね。具体的な社名は差し控えますが、あるメーカーは毎年大量の高卒者の新卒採用を続けています。その人事担当者の話によると、「バブル景気の頃に比べたら、今は天国ですよ」と。どういうことかというと、バブル時代は工場の生産ラインで働くよりも、サービス業のほうが格好いいとか言われて、なかなか質の高い高卒の人材が集まらなかったのだそうです。それが今は、優秀な人材がどんどん来るようになっているという。バブルの頃は他に就職先がたくさんあったので、わざわざラインに入って汗みどろ、油まみれになることはないと考える人が多かったのでしょう。そんな考え方が変わってきて、生産ラインの仕事であっても大手メーカーに正社員として入社できたら「魅力的だ」となってきたんですね。昔と今では就職環境が大きく変わったという背景があるわけです。

もっとも、このメーカーに限らず、長期的な観点から計画的に人材を育成するポリシーを持っている企業というのは、高卒者を継続的に採用してきています。逆に高卒者を採用しても「定型的な仕事をさせるのだから、育成するつもりはない」などと考えている企業は、計画的に高卒者を採用していない感じがします。

高卒採用の定着率については、どうでしょう。人材育成に力を入れ、高卒採用を継続的に行っている企業ほどその定着率が高い、とは言えませんか。

そうとは一概に言えないのが難しいところです。高卒者の定着率が低いために採用を継続している、という企業も少なくありません。「高卒者を10人採用したとして、1年後、また3年後に何人定着していますか?」とアンケートで企業に実態を訊いたら、1年後は8.1人、3年後は6.6人という結果でした。およそ3割強の人が、3年のうちに辞めていくのですね。

原 ひろみさん  労働政策研究・研修機構研究員

ただ、人材育成に力を入れている企業は最近、OFF-JT的なかたちのしっかりした育成制度を導入しています。同時に、OJTにも力を入れている。たとえば、高卒者の同期の輪を強めるような取り組みをしたり、2、3年先輩の社員とのコミュニケーションを密にする仕組みを入れたり、高卒者の内面的な部分をケアしていこうという企業も少なくありません。そうした企業では、定着率が高くなって、育成投資が無駄にならないと言いますね。

高卒者を継続的に採用していない企業では、自ずと社員間に年齢差が生まれてくるので、職場のコミュニケーションがうまくいかない場面もしばしば出てくるのです。しかし継続的に採用している企業では職場に年齢の近い先輩がいます。人事担当者に訊くと「この差は本当に大きい」と言うんです。実際、そうだと思います。10代で働き始めて、その職場に雑談や相談のできる先輩が1人もいないとなったら、やっぱり心細いでしょう。逆にそういう先輩が周りにたくさんいれば、「辞めよう」と気持ちが揺れても「ちょっと待て」と諭されるかもしれないし、仕事だってしやすくなると思うのです。

企業と高校のコミュニケーションを深める必要性

「バブル景気の頃と比べたら今は天国」というお話がありましたが、高校新卒者の「全体的な質」という点で言うと、この数年間で上がっていますか、それとも下がっているのでしょうか。

これもアンケート結果なのですが、過去5年間に高校新卒者の採用を行った企業を対象に、1990年代前半に採用した高卒者の質と、今採用できる高卒者の質を「比較してどう思うか」を訊いたのです。すると、「質は変わらない」とする企業の割合が43.7%で最も高くなりました。その一方で、「低くなっている」という企業が28.7%で、「高くなっている」(13.0%)の倍以上の数字でした。

その結果をどう見たらいいでしょう。

どう捉えるかは難しいですよ。なぜかと言うと、高卒採用者の数自体が減る中で、企業の採用基準のレベルが上がっているため、実際にはそうでないのに「質が低くなっている」と企業が思っている可能性がありますから。また、反対に、1990年代後半の高校生というのは遊興に走りがちで、質が低かったとも言われていますが、それにもかかわらず「変わらない」「質が低くなっている」という回答が多いとすれば、当時よりさらに質が低くなっているとも受け取れます。

ところが、面白いのは、企業は同じ年齢の高卒者と大卒者の能力について、それほど差がないと見ていることです。高卒7年目と大卒3年目の職業能力の比較について調査したら、「あまり変わらない」と考えている企業の割合が高い。定型業務の処理能力においては、同じ25歳ぐらいの年齢でも、「高卒の7年目のほうが優れている」と考えている企業が多いんですね。ただ、思考の柔軟性とか、対立意見やもめごとをまとめていく調整能力という項目になると、高卒者は大卒者に比べて能力が高くないという結果も出ました。

高卒者の能力を維持・向上させていくことが大事と思いますが、それについて高校側はどのような対応が必要ですか。

原 ひろみさん  労働政策研究・研修機構研究員

卒業後に就職を希望する生徒に対して、十分な基礎学力を身につけさせ、また職業教育も充実させていくことが必要でしょう。しかし「高校の先生たちは今の企業でどんな能力が必要とされているのか、理解しているだろうか」という声もあります。私も、たとえば企業が高卒者に求めている「思考の柔軟性」とは何かといったときに、企業の人事部が考えている「思考の柔軟性」と、高校の先生たちが考えているそれとの間にギャップがあるかもしれない、その2つが必ずしも一致していないという気がするんです。

おそらく企業の側は具体的な業務を前提にした「思考の柔軟性」を求めているのだと思いますが、先生の側からすれば、学校の試験の応用問題を解くことができるとか、そういうことを「思考の柔軟性」と捉えているかもしれません。高卒者の採用・就職をめぐって企業と高校はもっと話し合うべきであって、両者のコミュニケーションが深まっていかないと、採用のミスマッチも起きるだろうし、就職しても育成に力を入れてもらえないという不満も出てくるだろうと思うのです。

小さな仕事でも「会社のために」と思って働く

素朴な質問ですが、企業にとって高卒者を採用する最大の魅力とは何でしょう。

各企業にヒアリング調査をした結果では、いい意味で自社のカラーに染まりやすい、素直に染まってくれるのが魅力だと言いますね。たとえば、単純作業で貼り付けたシールが曲がっていないかどうか、それをチェックするというような仕事をさせると大卒者は嫌な顔をする。でも高卒者には「それが自分の会社にとって大事な仕事だ」と頭を切り換えて取り組む人が多く、しかも、どうすればチェック漏れを防げるかとか、技も磨こうとすると。とにかく会社のためにがんばってくれるというのです。また、個人情報保護についても、会社のためにと思ってくれる高卒の正社員のほうが、派遣社員などよりも安心だと言う企業も少なくありません。

そのような評価もある一方で、これまで高卒採用について議論が少なかったように思います。

大学などへの進学率が上昇傾向にあり、とかく高卒採用は限定的な問題と捉えられがちです。でも2004年春の高卒就職者数は約20万人で、大卒就職者(約30万人)に次いで新規学卒労働市場の中で大きな割合を占めています。家庭の事情などから大学進学ではなく就職を選択する高校生は多いですし、自発的に大学進学よりも就職したいという高校生も少なくありません。そういう状況がある限り、高卒採用の機会確保するための対策をしっかり考えていく必要があると、最後に言いたいですね。

取材は10月3日、東京・練馬の労働政策研究・研修機構にて
(取材・構成=天野隆介、写真=羽切利夫)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル 新卒採用

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