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女性は「管理職」を目指さなければならないのか
~女性のウェルビーイングの視点から考える~

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子氏

女性は「管理職」を目指さなければならないのか~女性のウェルビーイングの視点から考える~

要旨

2010年代に入ってから、政府は「女性活躍」に旗を振り、企業は女性管理職の数値目標達成に向けて様々な取り組みを続けている。しかし、当の女性にとっては、「管理職に登用される=良いこと」なのだろうか。

勿論、どのように働くかは個人の自由だが、女性のウェルビーイングの視点から、筆者は「管理職を目指した方が、女性自身にとってメリットが大きい」と考える。

第一の理由は、女性の老後の貧困リスクを避けるためだ。現役時代に会社員だった女性の老後の暮らしに目を向けると、収入の柱となる厚生年金の受給額は、平均で月9~10万円に過ぎず、男性よりはるかに低水準である。未婚や離別した女性には、厳しい生活が予想される。実際に、一人暮らしの女性は貧困率が4割超という研究もある。資産も潤沢ではない。より処遇の高い管理職を目指す方が、貧困リスクを回避できる。

第二の理由は、管理職という経験が、本人の人生にとって、プラスになると考えられるからである。定年後研究所とニッセイ基礎研究所が昨年10月に行ったインターネット調査では、大企業に勤め、管理職経験がある中高年女性の約7割が、「管理職の仕事は人生経験としてプラスだ」と回答した。非管理職では経験できなかったこと、管理職になって初めて見えてきたことがあるからだろう。

「女性活躍」という言葉と、自身の状況に距離感を感じる女性も多いと思うが、現在の状況がどうであれ、中高年女性にとって“老後”は間もなくやってくる。働けるのは今のうちだ。安心した老後を迎えるため、また、女性にとって人生の経験値になる「何か」を得るために、長い職業人生の後半に、「管理職」の景色を覗いてみても、良いのではないだろうか。

1――はじめに

2010年代に入ってから、国の成長戦略「日本再興戦略」に「女性の活躍推進」が盛り込まれ(2013年)、女性活躍推進法が施行(2016年)されるなど、政府は女性活躍の旗を振っている。企業も、女性管理職の数値目標を達成すべく、様々な取り組みを行っている。しかし、当の女性にとっては、どうなのだろうか。「管理職に登用される=良いこと」なのだろうか。生き方や働き方は個人の自由であり、家族がいれば、仕事と家庭の用事だけで十分忙しく、仕事以外にもやりたいことはあるのに、その上、管理職を目指さなければいけないのだろうか—―。

この問いに対し、女性のウェルビーイングの視点から、筆者は「管理職を目指した方が、女性自身にとってメリットが大きい」と考えている。必ずしも「管理職」というポジションでなくてはならない訳ではないが、その人なりに「キャリアアップ」と、それによる「年収アップ」を目指した方が、結果的にプラスになると思うからである。

勿論、どのように働くかは個人の自由であり、病気や障害等のために、働きたくても働けない場合もある。ただ、もし「働く」という選択肢があるならば、自律的にしっかり働き、より処遇の高いキャリアを目指してほしい、という趣旨である。その理由の第一は、女性の老後の貧困リスクを避けるため。第二は、管理職という経験が、本人の人生にとって、プラスになると考えられるからである。本稿では、この二つの理由について説明する。

2――女性の老後の暮らし

2-1│女性の厚生年金受給額は月9~10万円がピーク

まず、現役時代に会社員だった女性の老後の生活について説明すると、収入の柱となる厚生年金保険の年金月額の階級別分布は、図表1のようになっている。男性(青色)は「17~18万円」がピークとなっているのに対し、女性(赤色)は「9~10万円」がピークである。男性に比べれば、女性の厚生年金は、はるかに低水準である。厚生年金月額の平均額を見ても、男性が約16万円であるのに対し、女性は約10万円であり、女性は男性の3分の2強しかない。年金受給額は、基本的に現役時代の賃金水準と勤続年数で決まるため、これまで女性では管理職に就く人が少なく、平均勤続年数が短いため、このような格差が生まれていると見られる。

女性が受給する年金が月9~10万円でも、夫と同じ家計で暮らしている場合はあまり問題ないかもしれないが、未婚や離別の場合は、厳しい生活が予想される。しかも、長寿化によって女性の“老後”は延びている。また有配偶であっても、夫と死別した後に遺族厚生年金を受け取る場合は、女性自身の厚生年金額が加味されることもある 1。従って、老後の年金水準を確保し、安心した老後を送るために、現役時代に年収水準を上げておくことが重要になる。

図表1 厚生年金保険(第1号)老齢年金の年金月額階級別受給権者数(令和3年度末)

1 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」(令和3年度)によると、遺族年金の平均月額は約8万円。

2-2│一人暮らしの高齢女性は貧困率が高い

実際に、65歳以上で一人暮らしの女性は、貧困率が高いという研究がある。これは、東京都立大の阿部彩教授が、国民生活基礎調査のデータを用いて、等価可処分所得が日本全体の中央値の50%未満となる「相対的貧困」にある人の割合を分析したものである。世帯タイプ別の分析結果を見ると、65歳以上だと、例えば男性の「夫婦のみ世帯」の貧困率が14.4%であるのに対し、女性の「単独世帯」の貧困率は44.1%となり、すべてのカテゴリーのうち最も高かった 2。単独世帯の高齢女性の4割以上が貧困ラインにある、という結果である。従って、女性はシングルになると、貧困リスクが高いと言える(図表2)。

図表2 性別・世帯タイプ別に見た相対的貧困率(65歳以上、2021年)

2 阿部彩(2024)「相対的貧困率の動向(2022調査update)」JSPS 22H05098, https://www.hinkonstat.net/(「貧困統計ホームページ」」

2-3│一人暮らしの高齢女性の3割は貯蓄200万円未満

2-1|で、女性の年金が少ないことを説明したが、年金などの収入で家計を賄えなければ、資産を取り崩して生活していくことになる。しかし、シングルの高齢女性の貯蓄は潤沢とは言えない。厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、女性の単独世帯の貯蓄額は、「65歳以上」と「75歳以上」のいずれも、3割が貯蓄額200万円未満(図表3の凡例「貯蓄がない」または「100万円未満」、「200万円未満」)という状況である。

図表3 女性の単独世帯の貯蓄額の分布

3――管理職に就いた方が女性にとってメリットが大きい

3-1│管理職の方が賃金が高い

2までで、老後の女性の暮らし、特にシングル女性の老後の暮らしに目を向け、年金水準が低く、貧困リスクが高いことを説明してきた。このような貧困リスクを回避し、老後の生活を安定させるために、より処遇の高い管理職を目指す方が、女性にとってメリットがあると言える。

ここで役職ごとの処遇について、総務省の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータを確認すると、男女ともに、役職が上がるほど1か月分の平均賃金(残業代は含まない)が高くなっている(図表4)3。女性について見ると、非役職者が25万3,000円であるのに対し、係長級33万8,000円、課長級43万5,000円、部長級52万円である。従って、基本的に「女性は管理職に就いた方が賃金が上がる」と言える。これが、女性は管理職に就いた方がメリットが大きいという一つ目の理由である。

図表4 役職ごとの1か月の平均賃金の違い

3 ここで言う「賃金」は、令和4年6月分の所定内給与額。残業代などを差し引いた額で、所得税等を控除する前の額。

3-2│管理職経験は自身の人生にとってプラス

「女性は管理職に就いた方がメリットが大きい」と考える第二の理由は、よりポジティブなものだ。それは、実際に管理職を経験した中高年女性自身への調査結果から、女性は管理職に就くことで、人生にとってプラスの経験ができると期待できるからである。

一般社団法人定年後研究所とニッセイ基礎研究所が昨年10月、共同研究として行ったインターネット調査「中高年女性の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」では、大企業に勤め、管理職経験のある45歳以上の中高年女性に対し、自身の経験をどのように捉えているかを尋ねた。具体例として8項目を記し(図表5に記載)、「そう思う」「ややそう思う」「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「そう思わない」「分からない・該当しない」の六つの選択肢で回答してもらった。このうち、「そう思う」と「ややそう思う」の割合の和を記したものが図表5である。

これを見ると、「管理職の仕事は面白い」と、仕事の内容を評価する見方は39.5%にとどまったが、「管理職の仕事は人生経験としてプラスだ」は66.5%、「管理職になって初めて見えてきたことがある」は64.6%に上った。つまり、管理職の仕事の内容が必ずしも面白くなかったとしても、自身の人生にとってプラスに働いた、と総括している女性が多い。非管理職では経験できなかったこと、管理職になって初めて分かったことなどがあるためだろう。

この共同研究では、アンケートと並行して、大企業11社に「ダイバーシティ・中高年社員活躍に関する大企業取組インタビュー調査」を実施したが、その中の1社へのインタビューでも、管理職経験のある女性が、自身の経験を振り返って、「若い人に伝えたいのは、管理職になると責任は増えるが、それによって見えるものが違ってくる。自分の人生にとってプラスになる」と語っていたことが、大変印象的であった。

図表5 管理職を経験した中高年女性の総括

4――終わりに

2010年代半ば以降、政府が「女性活躍」や「輝く女性」という言葉を発信するようになってから、正社員として働いていても、何となく白けた気持ちを感じた女性は多いのではないだろうか。その理由の一つは、現在の自身の状況との距離感にあるのかもしれない。「これまで、会社ではやりがいのある仕事をさせてもらえなかったのに、今さら」と思う女性もいれば、「家庭を回すのが大変で、管理職どころではない」と失笑している女性もいるかもしれない。中高年の世代では、既に結婚・出産で退職した女性が多いこと、女性管理職が少ないこと、そもそも非正規雇用で働く女性が多いこと、家事労働が女性に偏っていることなどを考えれば、「女性活躍」という言葉が白々しく響く、というのも当然だと思う。

ただ、現在の状況がどうであっても、中高年女性には、間もなく”老後”がやってくる。働けるのは今のうちだ。20歳代、30歳代などの若い女性にとっては、結婚や出産、育児など、目の前のライフステージのことを考えるのに精いっぱいで、二つも三つも先のステージである”老後”まで視野が及ばないかもしれないが、やはり、いずれ”老後”はやってくる。「女性活躍」という言葉への距離感や抵抗感を解消できなかったとしても、老後、自身が困窮することがないように、働けるうちに、少しでもキャリアアップと年収アップを目指す方が、得策と言えるのではないだろうか。少なくとも、現在のように、ジェンダーギャップが大きい日本では、老後の年金水準には大きな男女格差があることは、若い女性たちにも知ってもらいたいと思う。

結婚して世帯になれば、夫の年収があるから大丈夫だろう、と思う人もいるかもしれないが、現実には、未婚率は上昇している。また、結婚しても、離別する可能性もあれば、女性の方が平均寿命が長いため、死別してシングルになり、細々と遺族年金で暮らす女性も多い。自身がしっかり働くのが、安心した老後を迎えるための、いちばん確実な自己防衛策ではないだろうか。

そして何より、本稿で紹介したように、筆者らの共同調査で、管理職を経験した女性の約7割が、その経験を、人生の中で肯定的に受け止めている。女性管理職が少ない日本では、これまでは、とにかく「登用」のステージばかりに注目が集まりがちだったが、このような「就任後」の当事者の意識をフォローできたことは、大きな意義があると筆者は感じている。

管理職の仕事自体が大変であり、職場の組織運営や働き方等にまだまだ課題があるとしても、「給料」や「社会的地位」というだけでは説明しきれない、女性にとって、人生の経験値になる「何か」が得られるなら、長い職業人生の後半で、その景色を覗いてみても良いのではないだろうか。

株式会社 ニッセイ基礎研究所

ニッセイ基礎研究所は、年金・介護等の社会保障、ヘルスケア、ジェロントロジー、国内外の経済・金融問題等を、中立公正な立場で基礎的かつ問題解決型の調査・研究を実施しているシンクタンクです。現在をとりまく問題を解明し、未来のあるべき姿を探求しています。
https://www.nli-research.co.jp/?site=nli

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