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がん患者等の就労支援
ガイドラインと企業対応

森本産業医事務所 代表

森本 英樹

4. 両立支援における原則

両立支援の根底にある重要な原則として、以下の点が挙げられます。

[1]自己保健義務と安全配慮義務の両立
[2]本人の意向の確認とコミュニケーション
[3]医学の専門家の意見聴取と尊重
[4]役割の明確化
[5]社内制度の枠組みの設定と遵守
[6]本人と職場の両者への目配り・気配り
[7]個人情報の取扱いへの留意

以下、具体的に説明します。

[1]自己保健義務と安全配慮義務の両立

自己保健義務とは、従業員は労務を提供するために自身の健康の維持・増進に努め、不調を感じたときや健康診断での異常が指摘された場合には、医師の診察を受けるなど回復に努めなければならないという従業員の義務です。一方で、安全配慮義務は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、会社が必要な配慮をする義務で、安全健康配慮義務と呼ばれることもあります。つまり、当該病気にかかった従業員は治療・療養に努め、労務の提供が可能になる程度まで健康状態を回復させるために力を注ぐ必要があります。また、会社は持病を持つ従業員に対し、病状を悪化させぬような手立てをとる必要があります。両立支援でもこの二つの義務がともに遂行されているかの視点を持っていただきたいと思います。

[2]本人の意向の確認とコミュニケーション

就業配慮は本人と会社の両者の同意が原則となります。職場復帰の際には、会社は復帰後の業務として本人にどのような業務を求めるかを明確に本人に伝達すること、本人は業務についての懸念点や配慮を求める事項を会社に伝えることが、ボタンの掛け違いを防ぐポイントです。会社が安全配慮義務を果たすためには、復職可能の診断書が出た時点で自動的に復帰するのではなく、上司や人事が本人と復帰前に面談し状況を把握するとともに、懸念事項を明確化したうえで解消を目指すことが重要です。

なお、多くの会社では、「有給を含め〇日以上の休業」のあった従業員に対し、診断書の提出や産業医との面談を求めることを就業規則や内規に定めています。

[3]医学の専門家の意見聴取と尊重

photo

労働安全衛生法68条と労働安全衛生規則61条には、会社はある一定の病気にかかった従業員の就労を禁止しなければならないという規定があり、その際には医師その他専門家の意見を聴かなければならないとされています。ガイドラインの対象となるすべての病気が、この法律の適用範囲内というわけではありませんが、病気とそれに起因する症状、そして就業上の配慮は多種多様であることから、会社が安全配慮義務を果たすためには、医師から就労に関する医学的な意見を聴取したうえで、当該従業員の就労を判断する必要があるという趣旨が含まれています。

病状を最もよく知る主治医への情報収集について、産業医や産業保健スタッフなど産業保健専門職は職場と病状の両者を理解できることから適任ではありますが、約6割の事業場でしか連携がとられていないようです 3)。50人未満の事業場など産業保健専門職が選任されていない場合は、連携先の確立を検討するとともに、当面は事業場の人事労務担当者などが情報収集役となる必要があります。

[4]役割の明確化

人事労務担当者と職場の上司、そして産業保健専門職の役割が明確でないと混乱をきたします。職場の上司は、当該従業員に求める職務内容を明確にし、本人から病状をヒアリングしたうえで、就業上懸念される事項を整理する必要があります(一例として、連続30分程度の立作業ができるまで体力が回復しているか、安全に車を運転して営業できるかなど)。また、職場として一定の配慮ができるのであれば、それを明確化できるとなお良いでしょう(例えば、残業制限や休養室の利用など)。また、上司は日々のコミュニケーションにより、当該従業員に関する体調を把握する必要があります。

人事労務担当者は、社内制度の確立・周知や相談窓口の設置などの全体対応に加え、産業保健専門職の意見を踏まえ復職可否の判断・就業上の措置を決定する、両立支援プランの承認を行う等の個別対応の両者が必要になります。

[5]社内制度の枠組みの設定と遵守

今回のガイドラインでは、両立支援のために制度や体制の整備を行うことが望ましいとされています。項目として、時差出勤などすでに導入している企業も多い内容から、時間単位の年次有給休暇や在宅勤務といった現状では導入企業数が少ない内容まで記載されています(時間単位の年次有給休暇制度を導入している企業は16.2% 8)、テレワークの導入企業は11.5% 9))。

給与や人事評価とも密接に関連する項目ですので、育児や介護に対する制度と同様に、会社としてどうありたいと考えるのか、中長期的な視点を持って検討を進める必要があると筆者は考えます。両立支援の準備段階として、両立支援の基本方針策定や衛生委員会での審議、労使の協力などがガイドラインでは推奨されています。

[6]本人と職場の両者への目配り・気配り

上司や人事の判断が、どちらかに偏りすぎないようにするという意味です。両立支援が必要な従業員に偏りすぎると、仕事をカバーする同僚の不満が高まりますし、同僚に偏りすぎると、健康面で不安を抱える従業員を排除する殺伐とした職場になりかねません。

就業配慮の程度や見通しについては、医学的には予測困難な面も多々ありますが、上司や同僚が切実に求める情報でもあるので、幅を持たせた情報として意見を聴取しておくことが望まれます。なお、就業配慮の関係する同僚などへの情報開示についてはガイドライン上でも示されています。本人の同意が原則となりますが、関係する周囲から理解を得るための情報開示は、重要であると筆者は考えます。

[7]個人情報の取扱いへの留意

情報管理規程の制定と原則本人の同意の2点が重要です。ガイドラインでも、本人の同意に関する署名欄が設けられています。さらに理解を深めたい方は、厚生労働省から指針 10)が発出されていますので、そちらをご覧ください。


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