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職場のモヤモヤ解決図鑑【第72回】
女性の健康課題、他社の管理職はどのように支援している?[前編を読む]

職場のモヤモヤ解決図鑑

自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!

漫画「女性の健康課題、他社の管理職はどのように支援している?」
山下 健悟(やました けんご)
山下 健悟(やました けんご)
関東圏のメーカー課長職45歳。20人ほど部下がいる。部下がもっと働きやすく、活躍できるチームを目指し、試行錯誤の日々。

部下が月経痛で早退した様子を見たことから、女性が必要とするサポートについて気になっている山下さん。月経痛や子宮がん健診など、女性特有の健康課題は、「他人に話しづらい」と感じる社員は少なくありません。管理職として配慮するべきことや、企業ができる支援策を見ていきます。

働く女性が求める支援

経済産業省が実施したアンケートでは、女性特有の健康課題へのサポートとして、社員は以下のような施策を会社に求めています。

  • 業務分担、適切な人員配置
  • 治療などの休暇制度
  • 柔軟な勤務体制
  • 上司や部署内でのコミュニケーション

従業員の健康を促進し企業の生産性向上につなげる健康経営への注目とあわせて、女性特有の健康課題や対策にも、関心が寄せられています。しかし、育児休暇や時短勤務、フレックス制などワークライフバランス関連の施策と比較して、女性の健康支援の整備は充実しているとはいえない状況です。

労働基準法をもとに、比較的整備されている「生理休暇」でも活用状況は2割に留まるなど、制度があっても活用されていないのが実状です。

管理職がやってはいけないこと/やるべきこと

会社の制度を女性従業員が適切に活用するためには、周囲のサポートや上司の理解が大切です。管理職の立場から行うべき支援や、逆に適切ではない対応について見てみましょう。

管理職がやってはいけないこと

配慮を欠いた発言や行動

「生理中?」「もう更年期か」など、プライバシーに踏み込んだ発言はセクハラに該当します。また、仕事だからといって部下の体調や症状について公の場で話題にすることは避けなければなりません。

管理職がやるべきこと

リテラシーの向上

まず、管理職本人が女性の健康課題に対するリテラシーを向上させることが重要です。部署やチームなど自身がマネジメントする組織内で、リテラシーが不足していると感じる場合は、研修を開催することも有効です。

社内制度の確認

また、管理職として社内でどのような制度が整備されているのかを確認することも大事です。生理休暇やがん検診、健診や受診のための有給休暇制度など、女性特有の健康課題に関して、仕事と治療の両立をサポートするさまざまな制度があります。管理職が制度内容や活用の条件について理解を深めることで、従業員からの申し出があった際にスムーズに対応できます。

個別のフォロー

本人の健康状態について業務上把握する必要がある場合は、「答えられる範囲で教えてほしい」「答えなくてもいい」と声をかけるなど、配慮した上で確認するのがポイントです。さらに、周囲のフォローが必要な場合は、体調や症状など話してよい範囲を事前に本人とすり合わせることが重要です。

一般的な体調不良のときの対応の仕方としても、心に留めておくとよいでしょう。

リテラシーを向上させ、会社の現状を知ることで、足りない部分が見えてくることもあるでしょう。その場合、会社にさらなる支援策を働きかけるのも、管理職の重要な役目です。女性特有の健康課題に関する相談窓口を設置したり、産業医との連携を強めたりするなど、支援策を充実させることで、女性の働きにくさの解消につながります。

女性の健康に注目した施策例

最後に、女性の健康問題に特化した支援制度や取組みを進める企業例を紹介します。

研修の実施、サポート体制の整備で安心して働ける職場に|浅野製版所

東京都に拠点を構える浅野製版所は、従業員数42名のうち4割以上にあたる18名が女性従業員です。同社では2020年2月に全女性従業員を対象にPMS(月経前症候群)研修を実施。女性が自身の身体について正しい知識を学ぶことで、リテラシー向上を図りました。参加した社員からは、食生活や睡眠の質を意識するようになり、生活習慣の改善につながったという声が寄せられました。

また、同社では従業員の急な休みに対応できるチーム体制を整えています。チームでメンバーのスケジュールを共有し、月経に限らず、体調不良で誰かが休んだ際にスムーズに対応できる環境となっています。

電気・建設業界で女性に配慮した健康休暇を導入|河村電器産業

河村電器産業は職場に男性が多く、女性従業員が月経痛で休む際、男性上司に話しづらい状況がありました。そこで同社では、生理休暇の名前を変更。「健康休暇」とし、月経痛やPMSに限らず、健康診断や不妊治療、更年期障害による不調など、対象範囲を拡大させました。

女性従業員は、これまであった年12回の有給生理休暇とあわせ、合計で15回の休暇を取得できます(男性従業員は年3回)。有給休暇とは別に取得できる休暇であり、半日単位の取得も可能です。

男性の子育て支援から女性社員の支援に発展|長岡塗装店

長岡塗装店では、建設業という男性中心の職場であり、そもそも離職率が高いという課題がありました。そこで、男性の子育て支援にはやくから着手。子の看護休暇や出産祝い金、保育費用の補助など、性別に関係なく制度を利用しやすい風土づくりに取り組みました。

このように働きやすい土壌があるなかで、女性従業員を採用し、その支援に着手。2019年には制度改革を行い、無給だった生理休暇が有給となりました。有休を取る際は、総務の女性部長にLINEで申請。利用する社員に配慮しています。

会社として、女性特有の健康課題支援を単独で考えるのではなく、ワークライフバランスや子育て支援、健康支援などすべてがつながっているものとしてとらえ、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。

【まとめ】

  • 女性特有の健康課題に対しての支援策は、多くの企業で発展途上である
  • 体調不良に対応する際は、可能な範囲で話してもらうなど、プライバシーへの配慮が重要
  • 生理休暇の申請方法や名前を工夫することで、女性社員は休暇を取得しやすくなる

なるほどなあ。生理休暇があればいいわけではなく、使う側の気持ちに配慮した制度設計が大切なのか

メールにしても上司宛に直接だと伝えづらいから、Web上の申請フォームで手続きができると、心理的負担は減るんじゃないかしら

うちの会社の制度はどうなっているんだっけ……まずは調べてみよう

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

職場のモヤモヤ解決図鑑【第71回】 月経やPMS、仕事への影響は? 管理職が知るべき女性の健康課題
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この記事ジャンル 健康管理

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