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有賀 誠のHRシャウト!人事部長は“Rock & Roll”【第26回】
社長としての失敗(その2:戦略面での失敗)

株式会社日本M&Aセンター 常務執行役員 人材ファースト統括

有賀 誠さん

有賀 誠のHRシャウト! 人事部長は“Rock & Roll

人事部長の悩みは尽きません。経営陣からの無理難題、多様化する労務トラブル、バラバラに進んでしまったグループの人事制度……。障壁(Rock)にぶち当たり、揺さぶられる(Roll)日々を生きているのです。しかし、人事部長が悩んでいるようでは、人事部さらには会社全体が元気をなくしてしまいます。常に明るく元気に突き進んでいくにはどうすればいいのか? さまざまな企業で人事の要職を務めてきた有賀誠氏が、日本の人事部長に立ちはだかる悩みを克服し、前進していくためのヒントを投げかけます。

みんなで前を向いて進もう! 人事部長の毎日はRock & Roll だぜ!――有賀 誠

前回、ユニクロの柳井正さんとの価値観の議論から、自ら経営を行うべくエディー・バウアー・ジャパンの社長に就任した経緯をお伝えしました。ビジネスを急拡大させたいという日米独3ヵ国の株主の期待に応えるべく、私はまず売り上げを伸ばすことに注力します。そして、結論から申し上げると、私は社長として大失敗をしました。しかし、不足していたのは「努力」ではなかったと考えています。

当時のエディー・バウアー・ジャパンには日本中に50店舗がありました。小売業の本質は現場にあります。商品の見え方、お客さまの反応、競合ブランドとの差異、スタッフの士気など、すべての答えは店舗の現場にしか存在しません。そこで私は「毎週、最低10店舗は回る!」と決め、それを実行していました。

店舗では、モールの中を歩いて人流を眺め、自店舗の見え方を観察し、お客さまの気持ちになって買い物をして、店長やスタッフと話し、時には自ら接客も行いました。新宿にあるフラッグシップ・ストアには毎週臨店し、それ以外の店舗も回るべく、日本中を飛び回りました。休んだ日はほとんどなかったように記憶しています。

精力的に現場を回ることは一例にすぎませんが、とにかく「努力」はしたと思います。では、どこで失敗したのかを振り返ってみると、それは「戦略(とその徹底遂行)」と「(経営者としての)覚悟」だったのではないかと考えています。

戦略面では、以下の4施策を掲げました。

  1. ブランディング
  2. 店舗拡大
  3. ネット販売強化
  4. 組織強化

ブランディングの失敗

当時のエディー・バウアーのブランド・ポジションは、「ドレス寄りのカジュアル・ベーシック」でした。私は、このポジショニングを高めるためにプレミアム商品を投入し、店舗への集客と「連れ買い(=プレミアム以外の商品も買ってもらう)」を、また単価(=利益率)を上げることを目指しました。

具体的には、アメリカのエヴェレスト登頂隊が制式採用したカラコラム・ダウンジャケットを米国生産にて復刻(A)、世界初のダウンジャケットであるスカイライナーを同じく米国生産にて復刻、(B)、英国の老舗コート・メーカーのグローバーオール社とのダブルネームでダッフルコート(C)を投入しました。

図:ブランド・ポジション

ファッション雑誌やライフスタイル誌への記事広告の効果もあり、来店客は増え、これらプレミアム限定商品は瞬く間に売り切れました。宣伝効果やブランド認知にはつながったと考えられます。ところが、コアなファンはプレミアム商品だけを購入して帰り、期待していた「連れ買い」は実現しなかったのです。

ブランド・ポジションとともに課題として認識されていたのが、ブランド・エイジングです。1994年に日本に上陸した当初のお客さまの平均年齢は30歳代前半でした。しかし、それから10年が経ち、平均年齢は40歳代前半となっていました。つまり、固定客と一緒に齢を重ねていくブランドになっていたということです。そのままでは、いずれ「シニア・ブランド」になってしまいます。とはいえ、これまでブランドを支えて下さったお客さまを失いたくはありません。固定客層とともに、より若いお客さまも取り込むことで、せめて平均年齢の上昇を止めたいと考えました。

図:ブランド・エイジング

そこで、少しずつではありますが、色やシルエットを通して若返りをはかりました。具体的に当時のトレンドでいうと、「細く」「短く」です。この動きは、若者が多い店舗スタッフには好評でした。ところが、お客さまにはそうではなかったのです。サイズ感が変更になったことで、男性のお客さまは一つ上のサイズを買ってくださるのですが、女性のお客さまは「これまでSサイズだったのに、それが入らなくなった。このブランド、おかしい!」と、お買い上げいただけないまま帰られるのです。結果として、長年のファンを裏切る形になってしまいました。

店舗拡大の失敗

店舗については積極出店を続け、2年間で新たに20店舗をオープンさせました。社長退任時には全国に70店舗(レギュラー店60、アウトレット店10)、ほぼ日本全国をカバーする体制を構築しました。出店に際しての考え方は、次の4パターンです。

【出店に際しての考え方4パターン】

  • (1)コバンザメ(モールの中でユニクロ、無印、ギャップの近く)
  • (2)回遊狙い(L.L.ビーン、ティンバーランド、ノースフェイス等のアウトドア・テイストの競合の近く)
  • (3)若者狙い(パルコ、イクスピアリ等の若者が集うショッピング・エリア)
  • (4)看板効果(自由が丘、吉祥寺、博多天神、神戸元町などの目立つ路面店)

上記パターンのうち、(1)(2)は成功したりしなかったり、(4)はもともと宣伝投資です。ただ、(3)は大失敗で、数ヵ所のパルコに出店をしましたが、客層とのマッチングが悪かったのでしょう。いずれも短期間での退店を余儀なくされました。

この積極出店が招いた結果は、売上微増、固定費激増、そして当然の利益減でした。

ネット販売強化の失敗

販売チャネルとしての将来性からすると、当時売り上げの10%しかなかったネット販売の重要性は明らかでした。サイトを大幅に改修し、商品検索機能に加え、オンライン試着や推奨コーディネートを盛り込みました。これらは、当時としては最先端のシステムです。

また、米国本社が広宣用に採用していたのはジョージ・クルーニー(「渋い二枚目」の定義ともされる)似のモデルで、それが当地では受けが良いらしいのですが、日本市場では評判がよくありませんでした。国民性や文化からくるテイストの違いということなのでしょうが、日本ではオーランド・ブルームのようなタイプ(さわやかなイケメン)の方が好まれるのです。そこで、日本用の写真にはモデルの変更を求めました。共通化ができないということはコスト増につながりますが、仕方ありません。

さらには、Yahoo、楽天、ショップ・チャンネルなどに出店をしました。これは確かに売り上げ増加につながるのですが、出店料を召し上げられるので、利益は残りません。

以上、諸々の施策により、ネット販売は年率10%程度の伸びを見せます。ただ、期待していたのは100%成長であり、思ったほどの新規顧客を獲得はできませんでした。しかも、伸びしろの一部はカタログ顧客からの置き換えです。いわゆるカニバリゼーション(とも食い)が起こっていました。

組織構築の失敗

エディー・バウアー・ジャパンの組織を見ると、マネジメントには住友商事からの出向者が多く、プロパー社員はおとなしくて、まじめで受け身の体質でした。

ユニクロから移った私は、社風をアグレッシブなものに変えたいと思い、プロフェッショナルの採用、女性登用、若手登用を進め、その方向性に合わない出向者には住友商事に帰任してもらいました。また、専門職制度を導入し、デザイナーやマーチャンダイザーの中でとがった才能を厚遇したのです。さらには、ユニクロから優秀な元部下を招き、右腕になってもらいました。

しかし、売上が伸びていない中、採用の急拡大により固定費が急増しました。そして、今でも悔やまれるのは、頼りになるCFOを採用できなかったことです。ハーバード出身の素晴らしい候補者がいたのですが、株主から「その給与では住友商事の次長よりも高くなる」と反対され、採用を諦めたのでした。財務や経理に弱い自分のことを考えれば、ここは戦うべきでした。結果的に、トップラインとコストのバランスをコントロールできないという、経営として実にお粗末な大失敗を犯すことになります。

さらには、環境面でも逆風に見舞われました。冷夏暖冬だったのです。涼しい夏には誰もTシャツやポロシャツを買いません。そして、冬が暖かいと、エディー・バウアーの主力商品であるダウンジャケットは売れないのです。株主へはそれを説明するわけですが、当然「そこを何とかするのが社長であるお前の仕事」と言われて終わりです。

ここまでご紹介をしてきたように、戦略面では、ブランディング、店舗拡大、ネット販売強化、組織強化の4施策すべてにおいて失敗しました。これを経営的に振り返ると、以下の4点を挙げることができます。

  1. トップラインへの短絡的注力(店舗・人員への積極投資→固定費増加→ボトムラインの悪化)
  2. 楽観シナリオのみで突っ走り、リスクヘッジができていなかった
  3. 環境が悪化した際の方向転換の判断ができなかった
  4. 自分の弱みを補完するパートナーを作ることができなかった

今回は戦略面での話をさせていただきました。次回は、「(経営者としての)覚悟」について述べたいと思います。

有賀誠の“Rock & Roll”な一言
ロックンローラーは一本気な生き様や
若くして天国に召されることもカッコいい。
でも、経営者はそれではダメ。
複数シナリオの想定や保険をかけることも必要だぜ……。


有賀 誠さん(株式会社日本M&Aセンター 常務執行役員)
有賀 誠
株式会社日本M&Aセンター 常務執行役員 人材ファースト統括

(ありが・まこと)1981年、日本鋼管(現JFE)入社。製鉄所生産管理、米国事業、本社経営企画管理などに携わる。1997年、日本ゼネラル・モーターズに人事部マネージャーとして入社。部品部門であったデルファイの日本法人を立ち上げ、その後、日本デルファイ取締役副社長兼デルファイ/アジア・パシフィック人事本部長。2003年、ダイムラークライスラー傘下の三菱自動車にて常務執行役員人事本部長。グローバル人事制度の構築および次世代リーダー育成プログラムを手がける。2005年、ユニクロ執行役員(生産およびデザイン担当)を経て、2006年、エディー・バウアー・ジャパン代表取締役社長に就任。その後、人事分野の業務に戻ることを決意し、2009年より日本IBM人事部門理事、2010年より日本ヒューレット・パッカード取締役執行役員人事統括本部長、2016年よりミスミグループ本社統括執行役員人材開発センター長。会社の急成長の裏で遅れていた組織作り、特に社員の健康管理・勤怠管理体制を構築。2018年度には国内800人、グローバル3000人規模の採用を実現した。2019年、ライブハウスを経営する株式会社Doppoの会長に就任。2020年4月から現職。1981年、北海道大学法学部卒。1993年、ミシガン大学経営大学院(MBA)卒。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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群馬県 半導体・電子・電気部品 2022/03/11

 

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