年次有給休暇年5日義務化の就業規則と労使協定について
いつもお世話になっております。
先般、厚労省で表題の件に係るリーフレットが公開されましたので、改めて就業規則と、それに伴う労使協定内容を考えてみました。
会社の意図としては「従業員には自発的に5日以上の年次有給休暇(以下「有休」と表す場合があります)を取得してほしい。会社が強制的に取得命令を出すようなことはしたくない」という希望があります。
ご意見頂けましたら幸いです。
<就業規則案>
「第◎条 10日以上の年次有給休暇を付与された社員は、自身の有する年次有給休暇のうち年5日を、自身が立てた計画に基づき、確実に取得するよう努めなければならない。
なお、次回付与日2か月前の時点で取得日数が5日未満の者へは、労使協定に基づき、その取得時季を会社が指定することがある。」
<労使協定案>
(有休の取得促進)
第1条 当社は、従業員の自発的な有休の取得促進のために、以下のとおり取得推奨日を設け、これを周知する。
なお、本条は従業員の自由意思に基づく取得を阻害するものではない。
① 5~12月の第1・3週土曜日及び祝祭日とその前後
② 自身・家族の誕生日等、家庭あるいは親族に関するイベント当日とその前後
③ 年間労働日カレンダーに定める休日の前後
※ ①~③のうち、年間労働日カレンダーで既に休日となっている日は除く。
(有休の計画的消化)
第2条 1.従業員のうち、2019年4月1日以降に年10日以上の有休を付与された者は、最低5日を、付与日から次回付与日の前日(以下「取得期限」という)の2か月前迄に確実に取得できるよう、自身の取得計画を立案しなければならない。
2.計画と実際の取得日との相違は不問とする。
(事業主の時季指定権の行使)
第3条 1.第2条に基づく取得計画達成の見込がないと思われる従業員(取得期限の1か月前の時点で取得日数が5日未満であって、以後の取得見通しも立っていない者)へは、事業主の時季指定権を行使し、当社が指定する日(以下「指定日」という)に取得することを命じる。
2.第1項に基づく指定日は、取得期限の2週間前までに通知する。
3.次の各号の一に該当する時は、通知した指定日を変更することがある。
① 従業員が指定日を取得期限前の別日に変更することを希望した時(双方協議の上で決定する。)
② 従業員が取得期限前の別日に有休を取得した時(取得日数分、未到来の指定日を取り消す。なお、別日に取得することで年5日以上取得となる場合には、時季指定そのものが行われなかったものとみなす。)
③ その他やむを得ない事由により、変更を必要とする時
4.従業員が指定日を通知されたにも関わらず、これを無視あるいは拒否して有休を取得しない時は、就業規則に基づき、懲戒処分を課すことがある。
(事業主の時季指定権行使に対する従業員の拒否権)
第4条 第3条の規定に基づき、時季指定権を行使された従業員は、これを拒否できない。(第3条第3項に基づく指定日の変更は除く。)
投稿日:2019/01/15 16:45 ID:QA-0081612
- 零細総務さん
- 北海道/建築・土木・設計(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
両案、いづれも、よく練られている感じ
▼ 従来から、国内外問わず、批判対象であった日本の低調な有休取得率解消のため、遂に、強制法である労基法を適用することになった訳ですが、その内容は、「(自主的取得日数込みで)年5日」の強制取得で、水準面では、低空飛行のか感じです。
▼ 然し、労働者の有休取得のイニシアティブ制限、使用者の罰則つき法違反、という重要な変更をあることをシッカリ認識した上で、労使とも対応することが必要です。
▼ その観点から、就業規則案、労使協定案を拝見しました。現時点で、予見できない事態が発生するかも知れませんが、拝見した限りでは、とてもよく練られていると思います。
投稿日:2019/01/17 11:13 ID:QA-0081643
相談者より
ご感想を頂きまして、ありがとうございます。
再度見直して思ったのですが、労使協定案には、次回付与日前に有休5日以上取得しない状態で退職する社員が出た場合のことが明記されておりませんでした。(大抵の社員は1か月前までに申し出て退職しますので、問題ないかな?とも思っていますが、突然辞める社員が出ないとも限りません。)
このことについて規定する場合、第2条第1項(以下「取得期限」という)の部分になお書きで
「なお、次回付与日前に退職・解雇を申し出ている者あるいは退職・解雇を予定している者については、退職日の1か月前と読み替える」
としておけば、問題ないでしょうか?
投稿日:2019/01/17 11:40 ID:QA-0081647参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
条項追加は賛成、良いサンプルに
▼ (実務的には、確定度の読み方の難しさは残りますが)退職予定者に関する条項追加は、協定の精度向上に繋がりますので、お薦め致します。
▼ 尚、厚労省からは、未だ、規則や協定に関する雛形は出されておらず、近日中にも期待薄の為、ある程度整理された相談内容は、関係者にとっても可なり参考になると思います。
投稿日:2019/01/17 13:45 ID:QA-0081649
相談者より
再びありがとうございます。
退職予定者の件ですが、
(有休の計画的消化)
第2条 1.従業員のうち、2019年4月1日以降に年10日以上の有休を付与された者は、最低5日を、付与日から次回付与日の前日(以下「取得期限」という)の2か月前迄に確実に取得できるよう、自身の取得計画を立案すること。
なお、付与日から10か月以内に退職(又は解雇)を予定している者については、取得期限を「付与日から職予定日の2か月前まで」と読み替える。(以下同様)
というように訂正しようかと思いますが、いかがでしょうか?
重ねて質問で恐縮です。
あまり考えたくないことですが、社員が事故等で突然亡くなり、死亡退職となった場合でも、年5日以上取得させなければならない義務に違反したとみなされてしまうのでしょうか?
事前に退職を申し出られた場合や、解雇通知をした場合などは、事前に退職する日がわかっているので対応しようがありますが、ある日突然亡くなってしまった場合、対応のしようがないと思うのですが…。
一切例外はないのでしょうか?
投稿日:2019/01/18 09:29 ID:QA-0081666参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件について特に差し支えはないものといえるでしょうが、年休の5日指定義務については年休取得がままならない事業所において確実に年休消化を図る為の立法主旨といえます。
加えまして、年休取得が本来労働者側にとりましては義務ではなく権利であることからも、命令・義務感を連想させるような「~なければならない」という文言よりは「~ものとする」といった表現に抑えた方が望ましいものと考えます。
また重要な事は規定内容がでどうであれ、実際に年休取得が確実に行われることといえますので、例えば職場の管理職がこれを阻害することがないよう法改正内容の周知及び啓発を徹底させることも実施されるべきといえます。
投稿日:2019/01/17 21:16 ID:QA-0081655
相談者より
再びありがとうございます。
退職予定者の件ですが、
(有休の計画的消化)
第2条 1.従業員のうち、2019年4月1日以降に年10日以上の有休を付与された者は、最低5日を、付与日から次回付与日の前日(以下「取得期限」という)の2か月前迄に確実に取得できるよう、自身の取得計画を立案すること。
なお、付与日から10か月以内に退職(又は解雇)を予定している者については、取得期限を「付与日から退職予定日の2か月前まで」と読み替える。(以下同様)
というように訂正しようかと思いますが、いかがでしょうか?
重ねて質問で恐縮です。
あまり考えたくないことですが、社員が事故等で突然亡くなり、死亡退職となった場合でも、年5日以上取得させなければならない義務に違反したとみなされてしまうのでしょうか?
事前に退職を申し出られた場合や、解雇通知をした場合などは、事前に退職する日がわかっているので対応しようがありますが、ある日突然亡くなってしまった場合、対応のしようがないと思うのですが…。
一切例外はないのでしょうか?
投稿日:2019/01/18 09:30 ID:QA-0081667参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
ご返事下さいまして感謝しております。
再度ご質問の件ですが、前段についてはそのような内容で差し支えないでしょう。そもそも5日指定義務自体が年休の自由取得といった原則に反する措置ですので、規定の文言の表し方も難しくなってしまいますが、極力義務感を出さない表現にされるのがよいでしょう。
そして後段については、突発的な事態ですので、そうした状況についてまで法違反を問われる事は考え難いでしょう。少なくとも罰則の適用という事態はありえないものと考えられます。
投稿日:2019/01/18 09:45 ID:QA-0081668
相談者より
ご回答ありがとうございました。
義務感を出してはいけないのですね・・・。
前述のとおり、会社としては自発的に5日取得してほしいという気持ちが第一にあるので、計画立案を義務化することで、社員にも会社が法違反に問われないためには有休を年5日以上取得するのは義務なのだと思ってほしいと考えておりました。
また、重ねての質問にもご回答いただきありがとうございます。
罰則が科せられることはないだろう、とのことで少し安心いたしました。
投稿日:2019/01/18 10:13 ID:QA-0081671参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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