社会福祉法人 給与規定のあり方について
現在、とある社会福祉法人で、総務・経理等を担当しています。運営している児童福祉施設が2つあり、両者間では特に給与規定が異なり、支給水準を1つ目の施設と同じにして欲しいという2つ目の施設の労働組合の要望がつきつけられています。給与規定については当初からあった1つ目の施設が、国家公務員号俸給に沿って、人事院勧告に根拠をおいて昇給が行われています。一方、2つ目の施設は1つ目の施設よりは給与水準が低いです。経営者から両者の施設での職員の異動・交流などを今後検討したいいの要望があり、給与規定の統一化を図って欲しいと依頼されたのですが、当面、月給については、1つ目の施設の給与体系に合わせて、それでも残る格差については賞与で調整する方法で当面いくのはどうでしょうかと回答しました。現在、政府の行政改革が進み施設の収入である「措置費」も支給額が下がるかもしれません。私が素人なりに調べると、国家公務員号俸給制度は「終身雇用制度の維持と支給可能人件費には上限がない」ことを前提としていて、民間施設には適さないと考えております。それで、経営者には「今の給与規定は、民間施設である当法人では人件費の上限を将来突破する可能性があり、ウチには適さないのではないか。むしろ、「支給可能人件費の限度額」を大前提において、今後改正の議論する必要があるのではないかと返答しました。
私の考えている、支給可能人件費の総額をまず第一に考慮した新たな給与規定の作成という考えが正しいのか誤っているのかについてご意見いただければ非常に助かります。よろしくお願いします。また職員の職務に対する評価も昇給の検討材料にしたいと思っています。
投稿日:2006/09/14 14:29 ID:QA-0006017
- *****さん
- 香川県/医療・福祉関連(企業規模 31~50人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
社会福祉法人の人事制度について
以下、少々堅苦しい表現になりますが、弊職が手がけた社会福祉法人の人事制度改革プロジェクトを通じて得たポイントをお伝え致します。
■社会福祉法人全体に言えることですが、①行政措置福祉(クローズド型)②慈善的事業(福祉執行機関)③限られた法人・諸団体だけによる事業 ④競争の不在といった旧態依然とした認識が支配的で、行政改革の進行、自治体財政の悪化による「措置費」の切下げに加え、①利用者が選ぶ福祉(オープン型)②リーデイング産業化(サービス提供会社)③民間企業参入 ④本格的競争の激化といった現実に対する認識が希薄で、意識の切替えや具体的行動面では二歩も三歩も遅れているのが実情と見受けられます。
■措置受託の「守りの経営」、個性が発揮できない経営から、提供サービスの質の維持・向上を図りつつ、収益の拡大、つまり営利企業としての経営へのシフトが大変遅れています。当然、法人内の人事風土も、やってもやらなくても同じ、ぬるま湯的、護送船団方式が支配的です。民間企業の厳しい世界で生きてきた人たちから見ると、「終身雇用制度の維持と支給可能人件費には上限がない」といった「親方日の丸」の世界は石器時代の遺物が出現したように思えます。このような発想に基づく経営体が破綻するのは時間の問題です。
■「稼ぎの中からしか賃金は出てこない」という当たり前の経営発想に基づいた「支給可能人件費の限度額」は当然、人事政策の中核に存在しなくてはなりません。この貴重な経営資源を、発揮能力・貢献度に見合った処遇、やればやるだけ報われるという雰囲気、職員の求心力の向上を通じて、法人の利益創造への貢献、職員の活性化、コスト競争力の強化を実現することが、人事政策の目指すところです。ご相談の基本的な考えには正しく、上記の諸点が、具体的な基本方針の策定に役立てば幸甚です。
投稿日:2006/09/14 22:22 ID:QA-0006021
相談者より
私は経理・財務が専門で労務・人事管理分野は不得意なのですが、素人なりに思っていた、公務員給与体系を民間施設に取り入れてはいけないのではないかとの疑問に専門家の方の意見が聞けて、非常に参考になりました。どうもありがとうございました。(吸収合併した2つ目の児童養護施設は元々、県立の施設だったのですが、人件費が措置費収入を上回っていて、常に県費補填をしなければならず、県のリストラの一環として民間委譲されたものです)
投稿日:2006/09/14 23:42 ID:QA-0032510大変参考になった
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