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人事の解説と実例Q&A 掲載日:2025/07/10

管理職昇格で給与減――逆転現象の原因と対策

昇格によって時間外手当(残業代)が支給対象外になり、一般社員の時よりも給与の手取り額が減少してしまう「給与の逆転現象」が発生することがあります。これは、昇格した社員のモチベーション低下を招くだけでなく、他の社員の昇進意欲に悪影響を与えたり、組織全体の活力低下にもつながったりする恐れがあります。本稿では、管理職昇格時における給与の逆転現象と、企業が取り得る具体的な対策について解説します。

管理職昇格で給与減――逆転現象の原因と対策

管理職昇格時における「給与の逆転現象」

管理職に昇格したにもかかわらず給与が減少するケースが生じる背景には、労働時間制度の違いや企業側の処遇設計の不備があります。以下では、その主な要因と法的な枠組みを説明します。

最大の要因は「残業代の支給対象外」

管理職に昇格し、労働基準法上の「管理監督者」に該当するとされた場合、時間外労働や休日労働に対する割増賃金(残業代)の支払い義務が法的に免除されることになります。そのため、一般社員の時に残業が多く、残業代によって総支給額が高くなっていた社員の場合、昇格後に基本給や役職手当が増えても、それ以上に残業代の減少分が大きければ、給与は下がります。特に、恒常的に長時間労働が発生している職場や、基本給の水準が低く残業代が給与に占める割合が高い場合、このような逆転現象が顕著になります。

不十分な役職手当・基本給の昇給

昇格に伴い、通常は基本給の昇給や役職手当の支給が行われますが、それらの金額が不十分であると、手取り額の減少は避けられません。

企業によっては、役職手当の設定が低く、昇格時の昇給幅も限定的な場合があります。人事担当者は、処遇が職責の重さに見合っているかを慎重に検討する必要があります。

労働基準法上の「管理監督者」とは

労働基準法第41条第2号では、「監督若しくは管理の地位にある者(いわゆる管理監督者)」は、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用除外とされており、これが、時間外割増賃金の支払い対象から外れる根拠となっています。

ただし、「課長」や「マネジャー」といった役職名があるだけでは管理監督者とは認められません。実態として、以下のような要素が求められます。

  1. 経営者と一体的な立場で職務を遂行していること
  2. 部下への指揮命令など、相応の責任と権限を有していること
  3. 出退勤などについて厳格な管理を受けず、一定の裁量で勤務時間を決められること
  4. その地位にふさわしい賃金などの処遇がなされていること

これらの要件を満たさない場合は、たとえ管理職であっても管理監督者とは認められず、残業代の支払い義務が生じる可能性があります。また、管理監督者も、深夜労働(22時~翌5時)については割増賃金の支払いが必要です。

給与の逆転現象が招く問題点

給与逆転は個人の処遇だけでなく、組織全体にも負の影響を及ぼします。

昇格者のモチベーション低下と離職リスク

責任が増したにもかかわらず給与が下がる状況は、昇格者のモチベーションを著しく損ない、離職につながることがあります。

また、「昇格すると損をする」という印象が社内に広がれば、優秀な社員が昇進を敬遠するようになり、マネジメント層の人材育成に支障をきたす可能性もあります。

「名ばかり管理職」問題と法的リスク

実態として管理監督者に該当しないにもかかわらず、残業代を支払わずに管理職として扱うケースは「名ばかり管理職」として法的リスクを抱えることになります。労働基準監督署からの是正指導や、社員による未払い残業代請求など、重大なトラブルにつながりかねません。

なお、未払いの残業代の請求権は3年(2020年4月改正後)まで遡及(そきゅう)可能であり、企業にとっては多額の支払いリスクとなる場合もあります。

給与の逆転現象への具体的な対策と制度設計

賃金制度の見直し:役職手当・基本給の適切な設定

逆転現象を防止するには、管理職に対する基本給や役職手当を見直し、昇格前の給与(残業代を含む)と比較して、昇格後の処遇が著しく下回らないよう調整することが重要です。役職手当に等級を設け、責任の重さや貢献度に応じた段階的処遇とする方法も有効です。

管理監督者の範囲の再検討と適切な処遇

実態として管理監督者に該当しない社員は、役職名が「管理職」でも労働時間管理の対象とし、時間外労働に対する割増賃金を支払うなど、制度と実態の整合性を確保することが求められます。

「名ばかり管理職」を生まないためには、管理監督者の要件を明文化し、該当する職位のみに適用する姿勢が不可欠です。

一時金や賞与での調整・補填策

賞与や一時金で年収ベースの調整を図る方法もあります。管理職としての成果や責任の重さを反映させることで、一般社員との年収逆転を回避できます。ただし、賞与は業績変動の影響を受けやすいため、固定給による補填(ほてん)が困難な場合の補助手段として位置づけるべきです。

昇格者とのコミュニケーションと丁寧な説明

昇格前面談の実施

昇格を打診する際は、職務内容、期待される役割、処遇条件(基本給・手当・賞与など)、および労働条件の変化について明確に説明する必要があります。特に、管理監督者となることで残業代が支給されなくなること、また、その法的根拠と背景について丁寧に伝え、理解を得ておくことが重要です。必要に応じて、労働条件通知書や就業規則の改定に基づいた説明・同意取得も検討します。

昇格後の給与明細に関する説明

昇格後に、最初の給与明細を受け取った際、社員が誤解や不満を抱かないよう、基本給、役職手当、残業代不支給の影響などについてあらためて説明する場を設けます。年収ベースでの比較や賞与見込みを示すことで、納得感を高める工夫が求められます。

まとめ

管理職への昇格は、社員にとって大きなキャリアの節目であり、企業にとっては重要な人材育成の機会です。処遇設計の不備により、社員の意欲がそがれる事態を避けるためにも、制度設計・運用・説明のすべてにおいて、実態に即した適切な対応が求められます。

この記事の監修

井上 久

井上 久
井上久社会保険労務士・行政書士事務所 代表

井上 久 昭和30年11月25日の69歳です。2021年4月1日に開業しました。得意な業務は、交通事故相談とクレーマ一・ヘビークレーマ一対応です。「本気・本音・本物」のアドバイスをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

井上 久 昭和30年11月25日の69歳です。2021年4月1日に開業しました。得意な業務は、交通事故相談とクレーマ一・ヘビークレーマ一対応です。「本気・本音・本物」のアドバイスをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

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この記事ジャンル 報酬制度

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