就業規則の改訂に伴う、契約職員に対する強制力について
就業規則の一部改訂を予定しております。
その一部改訂の内容に就業時間の変更事項が含まれています。
変更内容は7時間から8時間になります。
①会社の就業規則が改訂されるということは個別契約している契約職員の就業時間も正職員同様、変更する強制力があるのでしょうか。
尚、契約職員の就業規則はありません。
②もし強制力がある場合、契約職員に対してどのように説明することが適切でしょうか。
③また、ある契約職員が就業時間の変更に合意をしない場合、会社として当該契約職員の中途解除をすることができるのでしょうか。 ④その場合、会社として残りの契約期間の給与補償の責任はあるのでしょうか.
ある契約職員が私は会社の就業規則が変更しても、私の契約書には7時間就業で契約しているので今回の就業時間の変更については私には関係ないといっています。
投稿日:2010/10/16 00:30 ID:QA-0023371
- *****さん
- 東京都/コンサルタント・シンクタンク(企業規模 501~1000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
就業規則改定
おはようございます。
ご質問の内容は、不利益変更と考えます。
従って、正社員についても、合意が必要となると考えられます。
その点は、正社員に説明をされ合意がされていると判断し、以下契約社員(期間雇用社員ですね)について、述べさせていただきます。
①当該就業規則には、適用範囲の条項があると思います。
・本規則の社員とは4条の規定により会社に採用された者を言う。
・「期間の定めのある社員」「契約社員」については、個別の雇用契約書に定めのある条項を除き、本規則を準用する。
等の記載がありますでしょうか?
記載方法は、企業によって異なりますが、この契約社員除についての記載が無い場合には、当該就業規則は、契約社員にも及ぶと考えられます。
②しかしながら、契約社員は個々の契約によりますので、就業時間の変更は、契約期間満了までは難しいと考えます。
①に書きましたように、契約社員の除外条項を追加することをお勧めします。契約書にない条項は、当該就業規則を準用とされると良いと思います。
③契約書に記載された就業時間の変更に合意しないことを理由に雇い止めをすることは、難しいと思います。
次回の契約更新まで、従来の就業時間で運用せざるを得ないと考えます。
もし、どうしても変更をしなければならない場合には、事情を誠意をもって説明し、ご理解をいただくことです。
④ご理解いただけない契約社員について雇い止めをする場合には、何らかの補填が必要となるやもしれませんが、その点はお話し合いではないでしょうか?
契約社員であっても、会社の一員です。
就業規則の変更は関係ないとは言えません。
会社が、なぜ7時間⇒8時間としなければならなかったかの理由・根拠をしっかり誠意を持って説明し、ご理解をいただくようお話し合いをされると良いと思います。
投稿日:2010/10/16 07:56 ID:QA-0023372
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
本人の不合意を事由に、中途解除をすることはできない
.
■ 法的効力の優先順位は、優位順に、① 労働基準法 ⇒ ② 労働協約 ⇒ ③ 就業規則 ⇒ ④ 労働契約 となります。優先とは、労働基準法には、労働協約も、就業規則も、労働契約も違反することはできず、違反部分は無効とされると云った関係です。
■ 然し、労働協約については、たとえ、労働契約の内容が、労働者に有利であっても。労働協約の効力が優先しますが、就業規則の場合は、就業規則の定める条件の基準に達しない労働条件を定める労働契約を無効にするのみで、基準を上回る部分については無効にしないということになっています。
■ 就業規則の不利益変更により、基準を上回ることになる労働契約の労働条件 ( 所定労働時間の延長 ) を無効にするためには、労働契約法第10条に定められた、厳しい手続きを踏むことが必要です。
■ 然し、その場合でも、当該契約職員との有期雇用契約に就いては、服務規律などを除き、就業規則は適用されず、格別に記載された、労働時間や賃金などの労働条件は、就業規則による不利益変更の対象外だと解するべきです。従って、この賃下げに合意をしないことを事由に、当該契約職員の中途解除をすることできません。
■ 因みに、「 期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない 」 とする労働契約法にも留意が必要です(17条1項)
投稿日:2010/10/16 12:51 ID:QA-0023373
相談者より
川勝様
先日は不利益変更による就業規則の変更に伴う、契約職員の扱いについてご相談を致しました。 とてもわかりやすく解説頂きましてありがとうございます。
もう一点確認をしたいのですが、契約職員の雇用契約には以下の2パターンがあります。
1)就業時間が7時間(変更前)
2)就業時間が7時間(変更前)就業規則の改訂に伴い、就業時間が変更する場合がある。
2)のパターンは前回更新時に就業時間が変更になることが既にわかっていたので上記のような一文を契約締結時に交わしています。
1)の場合は、おっしゃる通り当該契約期間の満了まで7時間就業の扱いをします。
2)の場合、当該変更がたとえ不利益変更であっても当該契約締結時に就業時間が変更することがあるという一文があるだけで8時間就業に変更するは問題ないでしょうか。
極端な話ですが、就業時間や給与の変更が期中にある場合があるという一文がはいっているだけで会社側の都合により変更することができるのでしょうか。 もしそうだとすると常にこうした一文を会社として入れておくことで合意なしに変更することができてしまうという理解になるのでしょうか。 契約職員の立場からすると会社都合でなんでもできてしまうように思えます。
投稿日:2010/10/23 21:04 ID:QA-0041431大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
御相談の件につきまして、各々回答させて頂きますと‥
①:契約職員の就業規則が無い場合ですと既存の就業規則が契約職員にも当然適用されます。
但し、これは「現時点での就業規則」であって、その内容を会社側の都合で不利益に変更した就業規則を適用する事は原則として認められません。ちなみに、こうした点は正社員の場合であっても同様です。
②:①で触れました通りそのままでは強制力は持ち得ない為、変更理由(業務運営の都合等)を具体的に説明された上で、労働者の個別同意を得る事が原則としまして必要になります。
③:中途解除は重大な契約違反となる為出来ません。労働契約法第17条でも「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と明記されています。文面のような会社都合による時間変更がやむを得ない事情に当たるとはいえません。
④:どうしても現状の労働時間で困るということであれば、解雇が禁止されている以上、合意退職に持っていく他ないものといえます。 その際は個々の労働者と十分話し合われた上で、金銭補償等を提示して依頼することになります。
但し、あくまで自発的な同意を得なければなりませんので、会社側から半ば退職を強要するといった事は出来ませんので注意が必要です。
尚、雇用形態のみならず個人の生活様式や就労意識も多様化している今日では、さまざまな働き方を認める事が今後まずます重要になってくるものといえます。
従いまして、1時間程の変更内容でトラブルとなるリスクを考えますと、御社事情にもよりますが契約職員も含め7時間労働を一律に8時間労働へ変更する必要もないのではというのが私共の見解になります。
投稿日:2010/10/16 14:35 ID:QA-0023376
相談者より
投稿日:2010/10/16 14:35 ID:QA-0041432大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- この回答者の情報は非公開になりました
不利益変更
今回の改定は「不利益変更」となりますので、こうした改定には十二分に注意を払ってお進め下さい。労務問題として大きなリスクとなることを勘案した上での経営判断が必要になります。
①会社の就業規則が改訂されるということは個別契約している契約職員の就業時間も正職員同様、変更する強制力があるのでしょうか。
尚、契約職員の就業規則はありません。
就業規則が無いので、正社員の就業規則を準用されるのが良いでしょう。
②もし強制力がある場合、契約職員に対してどのように説明することが適切でしょうか。
不利益変更なので合意が無ければ当然強制は出来ません。
③また、ある契約職員が就業時間の変更に合意をしない場合、会社として当該契約職員の中途解除をすることができるのでしょうか。 ④その場合、会社として残りの契約期間の給与補償の責任はあるのでしょうか.
一義的に会社がその責任は負わなければなりませんので補償が必要となります。
現実的な運用としましては、現在の契約社員の契約更改まで、現状を変えるのは避けられた方が良いのではないでしょうか。
投稿日:2010/10/16 22:08 ID:QA-0023381
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
本人の不合意を事由に、中途解除をすることはできない P2
.
■ ご指摘のように、「 就業時間が変更する場合がある 」 という、一文だけで、会社が、本人の合意なしに、どんな変更でもできるというのは、大きな誤りです。前回、申し上げましたように、当該契約職員との有期雇用契約に就いては、《 服務規律などを除き、就業規則は適用されず、格別に記載された、労働時間や賃金などの労働条件は、就業規則による不利益変更の対象外 》 と解するべきです。
■ 確かに、労働契約法第10条では、厳しい手続きを経て行われた就業規則の変更は、対象者全員を拘束し、不利益を蒙ることになることを事由に、個々の労働者は反対できないとされています。但し、有期雇用契約に関しては、たとえ、「 服務規律などを除き、就業規則は適用されず、ましてや、格別に記載された、労働時間や賃金などの労働条件は、今回の不利益変更は適用されない 」 というのが、正しい判断でしょう。。
■ 第10条には、「 労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、・・・この限りでない 」 という但し書きがありますが、「 就業時間や給与の変更が期中にある場合がある 」 という逃げ道を入れても、有期雇用契約に就いては、効力はないと考えます
投稿日:2010/10/24 11:22 ID:QA-0023494
相談者より
投稿日:2010/10/24 11:22 ID:QA-0041489大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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