残業見合い手当廃止による従業員減給について
弊社では人事制度の改定による、新年度から下記改定が行う予定です
❶残業見合いを廃止
❷賞与を月給に統合
❶の場合、今まで25H/月、5~6万の手当てが基本給に内包されましたが、廃止によって、月残業が25H未満の場合、実質減給となる試算です。
会社側が年収を維持するために❷の月給統合や、インセンティブの支払いなどで対策を打っていると言い、社員側が実質の減給ではないかと不満噴出。特に残業できない(育児・介護)社員にとって不利益が大きいです。
会社側のやり方は労働契約法の第9条に該当しませんか?
投稿日:2025/12/19 11:47 ID:QA-0162260
- TARAKIDAさん
- 東京都/その他業種(企業規模 10001人以上)
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
本件は、結論から申し上げますと、会社側の対応は労働契約法9条(不利益変更の禁止)に該当する可能性が高く、少なくとも慎重な検討と補完措置が不可欠な事案と考えられます。
1.法的整理(労働契約法9条・10条)
労働契約法9条は、労働者の合意なく労働条件を不利益に変更することを原則として禁止しています。
また、就業規則変更による場合でも、10条に基づき「合理性」が必要です。
本件では
・固定残業(残業見合い)手当の廃止
・賞与の月給化
という制度改定自体は許容され得ますが、結果として実収入が減少する労働者が生じるかが最大の判断ポイントになります。
2.「実質減給」の評価
ご質問のケースでは、
・従来:残業25時間未満でも5~6万円は確定支給
・改定後:残業実績に応じてのみ支給
となり、残業をしない・できない労働者ほど収入が下がる構造です。
特に
・育児・介護等により残業制限がある社員
・会社の業務配分上、残業機会が少ない部署
については、本人の責に帰さない理由による恒常的な減収が見込まれます。
このような場合、裁判例・行政解釈上も
「形式上は制度変更だが、実質は賃金減額」
と評価されるリスクが高く、9条該当性は否定しにくいと考えられます。
3.会社側の「年収維持策」の評価
会社が
・賞与の月給統合
・インセンティブ制度
を用意している点は一定の配慮ではありますが、次の点が問題になります。
(1) 全員が確実に年収維持できる設計か
→ 個人差・業績評価次第で減るなら不十分
(2) 残業できない層への代替措置があるか
→ 固定的な職務手当・調整給等がない場合、不合理とされやすい
(3) 一時的措置か恒久措置か
→ 経過措置なしの恒久的減収は不利に評価される
これらが欠ける場合、「配慮したつもり」という会社側主張は、法的には通りにくい傾向があります。
4.実務上の留意点・対応策
会社として許容されやすくするためには、少なくとも以下が必要です。
・経過措置(差額補填・調整給)の設定
・育児・介護等の事情を有する社員への個別配慮
・不利益の程度・期間を限定する設計
・丁寧な説明と個別同意の取得(重要)
5.まとめ
本件は、
「制度改定」そのものではなく「結果としての減収」が問題
であり、現状の設計のままでは、労働契約法9条違反を指摘されるリスクは相応に高いと考えられます。
特に残業制限のある社員への影響を放置した場合、合理性の欠如を理由に紛争化する可能性があるため、制度設計の再検討または経過措置の導入が強く推奨されます。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/19 19:22 ID:QA-0162275
相談者より
先生、ご回答ありがとうございます。
会社側が改定を撤回しないだろうと思いつつ、今やれることは社員一人一人の声を上げるしかないです。ありがとうございます。
投稿日:2025/12/22 16:04 ID:QA-0162338大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、確かに実質上減給で不利益変更に当たるものといえますが、元来残業を固定化するような制度は長時間労働の温床にもなりますし、それで残業も減らす方向性であれば直ちに違法行為となるとまでは言い切れない面もございます。
尚、こちらは会社の人事労務管理の立場からのお尋ねに回答させて頂く主旨のサイトですので、この度のように労働者側からのご質問については、今後は労働基準監督署の労働相談コーナー等労働者向けの相談窓口へお尋ね頂ければ幸いです。
投稿日:2025/12/19 19:28 ID:QA-0162276
相談者より
ありがとうございます!
以降人事側に沿う質問するように気を付けます
投稿日:2025/12/23 14:33 ID:QA-0162417大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
情報提供
以下、情報提供いたします。
「労働契約法の第9条に該当しませんか?」とのことですが、不利益変更への該当性に関連した裁判例として以下のものがあります(ノイズ研究所事件 2006年6月22日 東京高判決)。ここでは、「旧賃金制度の下で支給されていた賃金額より顕著に減少した賃金額が支給されることとなる可能性」が存在することをもって「就業規則の不利益変更に当たる」旨とされています。
※ 新賃金制度は人事考課査定に基づく成果主義の特質を有するものであること、したがって、本件給与規程等の変更は、年功序列型の賃金制度を上記のとおり人事考課査定に基づく成果主義型の賃金制度に変更するものであり、新賃金制度の下では、従業員の従事する職務の格付けが旧賃金制度の下で支給されていた賃金額に対応する職務の格付けよりも低かった場合や、その後の人事考課査定の結果従業員が降格された場合には、旧賃金制度の下で支給されていた賃金額より顕著に減少した賃金額が支給されることとなる可能性があること、以上のとおり認めることができる。
※ 本件給与規程等の変更による本件賃金制度の変更は、上記の可能性が存在する点において、就業規則の不利益変更に当たるものというべきである。
投稿日:2025/12/20 08:58 ID:QA-0162285
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
今回の制度改定は、労働契約法第9条等で定める労働条件の不利益変更に該当する
可能性は一定あります。
固定残業代の廃止により、育児や介護中の社員が月額5万円以上の減収となる事態
は、重大な不利益とみなされるケースもあります。会社側が主張する賞与の統合等
は、確実性のない代償措置と判断されるリスクもあります。
ご質問者様は労働者側となりますので、社内に労働組合があれば、団体交渉の
議題に上げるが、ない場合は、お近くの労働局(総合労働相談コーナー)にて、
助言・指導を求めるのが現実的ではないでしょうか。
投稿日:2025/12/21 07:47 ID:QA-0162291
相談者より
確実性のない補償であること、改めて認識できました。ありがとうございます。
投稿日:2025/12/23 14:35 ID:QA-0162419大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
日本の人事部Q&Aをご利用くださりありがとうございます。
早速ですが、ご相談の参考となりそうなポイントを以下列挙しておきます。
■労働契約法との関係
会社が労働者との個別の合意なく一方的に就業規則を変更し、労働者に不利益な労働条件を課すことは、労働契約法第9条により禁止されています。一方、同法第10条では、就業規則の変更が合理的な事由にもとづき、労使間で充分な協議を経たうえで、変更内容が労働者に周知されていれば、労働者の同意がなくとも就業規則の不利益変更が認められる…としています。
■不利益変更の合理性
就業規則の不利益変更の合理性を判断するうえで、参考となる労働裁判の判例に第四銀行事件があります。この判例を貴社のケースにあてはめると、次の4つの要件を満たすかどうかで合理性の有無を判断することになると思われます。
(1)労働者が受ける不利益の程度
育児介護により残業できない社員にとって月5~6万円の減給は実質的かつ重大な不利益変更といえる。
(2)労働条件を変更すべき必要性
会社側が残業見合いを廃止しなければならない経営上の必要性と切迫性があるか?
(3)代償措置の相当性
賞与の月給統合やインセンティブによる年収維持が残業できない労働者の不利益を補填できるのか?
(4)労使間の交渉状況
労働者の間で不満が噴出している様子だが、労使間にて丁寧な協議が行われ、合意形成がなされているのか?
■ノーワーク・ノーペイの原則
ノーワーク・ノーペイの原則によれば、使用者は労務の提供がない部分について、労働者に賃金を支払う義務はありません。しかし従来の残業見合い(固定残業代)が、長年にわたる労働契約上の既得権あるいは期待権として社内で認識されていれば、ノーワーク・ノーペイの適用ではなく、賃金体系という労働条件そのものの不利益変更に該当します。
■育児・介護を阻害する可能性
労働基準法および育児・介護休業法等に基づき、使用者は育児や介護を行う労働者に対し、必要な時間を確保できるよう配慮する努力義務があります。今回の改定が、これらの社員を事実上狙い撃ちにするような結果(残業できないことで著しく収入が減る=時短勤務をしずらくなる)を招く場合、変更の相当性が否定される可能性が高いです。
■今後の対応について
本サイトは全国の人事担当者や経営者、専門家などが組織の枠を超えて学び合うための場を提供するものです。ご質問者様の「会社側のやり方は…」という文言が引っかかるのですが、もし労使間の紛争に発展する可能性があるのなら、所轄の労働基準監督署あるいは都道府県労働局にご相談頂くのが宜しいかと存じます。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2025/12/22 08:31 ID:QA-0162311
相談者より
大変参考になりました、ありがとうございます。
人事側に声を上げるようにしています
投稿日:2025/12/23 14:34 ID:QA-0162418大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
判断
単純な給与額の問題ではなく、業務内容を見直して、効率的働き方を実行するという目的は合理性があります。人事部門であれば、そうした目的の明確化を行い、社員にも従前の方法が通じなくなっている現状などをしっかり伝え、理解を推進しましょう。
尚、裁判などの法律的判断は当人事管理サイトの主旨ではありませんので、法律相談をご利用下さい。
投稿日:2025/12/22 14:49 ID:QA-0162330
相談者より
ありがとうございます!
投稿日:2025/12/23 14:36 ID:QA-0162420大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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