夫婦で従業員の生活手当支給について
弊社は現在60歳定年制であり、60歳到達日翌日より多くの従業員が再雇用制度を利用し継続勤務をしております。
弊社の再雇用制度では60歳以降の給与を、60歳到達日より1年間遡った支給金額の50%ととしており、その内訳は基本給、等級手当、職務手当、役職手当、家族手当、住宅手当ならびに年2回の賞与の合計としております。
(通勤費や特殊勤務手当などは別途支給)
この度60歳を迎える従業員から、弊社で勤務している配偶者を世帯主と変更するため、再雇用後は配偶者に家族手当、住宅手当を支給してもらうことができないかと問い合わせがありました。
現行の再雇用制度では確かに世帯収入が減ってしまうため同社員の言いたいことは重々理解できるのですが、会社の対応として適切なものがあればご教示いただけますでしょうか。
現状では以下のような案を模索しております。
1.再雇用者の給与に家族手当、住宅手当が含まれているため配偶者が世帯主に変わろうと配偶者へは支給しない。
2.再雇用者の給与から家族手当、住宅手当分を差し引き、配偶者に家族手当、住宅手当を支給する。
投稿日:2025/12/04 17:10 ID:QA-0161572
- *****さん
- 東京都/繊維製品・アパレル・服飾(企業規模 301~500人)
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本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
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具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
貴社、会社規定の詳細はわかりかねますが、単に世帯主であることが要件で
あるのであれば、以下の対応が適切でしょう。
|2.再雇用者の給与から家族手当、住宅手当分を差し引き、配偶者に
|家族手当、住宅手当を支給する。
世帯主の変更手続きは、会社側で制限をかけられるものではなく、
また、規定外の個別対応も原則出来ず、会社の規定に沿った対応が必要です。
投稿日:2025/12/04 18:25 ID:QA-0161576
相談者より
ご回答誠にありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/12/05 11:36 ID:QA-0161624参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
提示案では 「(1)=配偶者には支給しない」が最も適切 です。
理由は以下のとおり:
1. 家族手当・住宅手当は「世帯手当」であって“二重支給禁止”が大原則
多くの企業が就業規則で以下のように定めています:
同一世帯内に重複支給しない(夫婦とも自社勤務の場合は一方のみ)
これは、
・コストの過大化を防ぐ
・同一世帯で実質的に同じ生活費を支出する性質の手当である
という制度趣旨によるものです。
今回も同世帯である以上、夫婦双方に支給することは制度趣旨に反し、一般的にも行われません。
2. 再雇用後の給料 50% に“家族手当・住宅手当が既に組み込まれている”点が重要
相談内容から、御社の再雇用制度は次の仕組みです。
60歳前1年間の
基本給+等級手当+職務手当+役職手当+家族手当+住宅手当+賞与
の合計額の50%を基準賃金として設定。
つまり、
・家族手当・住宅手当は「消えた」のではなく
→ 基準額に既に取り込まれて半減しているだけ
です。
したがって、
同じ世帯で配偶者に別途支給すると
→ 手当を二重計上することになり不公平かつ制度崩壊につながる
→ 他の再雇用者との整合性が取れなくなる。
3. では案(2)(差し引いて配偶者へ支給)はどうか?
これは実務的に問題が大きいです。
▼問題点
(1) 制度趣旨の不整合
再雇用者の賃金は、手当込みの総額50%で設計されているため、
後から手当部分だけを抜くと 設計の前提が崩れる。
(2) 他社員との公平性が崩壊
「配偶者が同じ会社にいる人だけ優遇される」
→ 他の再雇用社員から必ず不満・処遇差の指摘が出る。
(3) 労使合意済みの賃金決定ルールを後から恣意的に変えることになる
→トラブルのもと。
(4)制度の再構築が必要になるほど複雑化
→ 将来、監査や労基署の指摘になり得る。
4. 法的観点 ― 企業は「再雇用者の賃金を一律低減する設計が認められている」
判例(最判平成15.4.18)等により、再雇用後の賃金水準を一律に下げる制度自体は有効とされています。
したがって御社制度(60歳前給与の50%)も問題ありません。
よって、
再雇用後に世帯主変更で別途手当を配偶者へ付け直す
→ 制度の趣旨を損ない、整合性欠如となる
法的にも推奨されません。
5. 実務上の最善策(これが企業としての適切解)
現行制度どおり、配偶者への手当支給は行わない(案(1))
その代わり、本人に説明する際は次を明確化する。
・「あなたの家族手当・住宅手当は“消滅した”のではなく、
再雇用賃金50%に組み込まれている」
・「配偶者へ支給すると、同一世帯で二重支給になり制度趣旨に反する」
・「他の再雇用社員との公平性維持が必要」
6. 追加の選択肢(会社が将来制度変更を考える場合のみ)
もし、生活手当の減少が大きく問題になるようであれば、
生活保障目的の“高齢者加算”を別途設ける
(例:再雇用者全員に月5,000〜10,000円を一律支給)
これは“手当の付け替え”ではなく、制度全体の公平性を保った別枠措置であり、最もリスクが少ない方法です。
7.最終まとめ(結論)
・会社として適切なのは 案(1):配偶者へは支給しない
理由:
当該手当は再雇用の基準賃金に既に組み込み済み
配偶者に支給すると二重支給となり制度崩壊
他社員との公平性がとれず、トラブルの原因
法的にも再雇用賃金体系の変更は慎重であるべき
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/04 18:42 ID:QA-0161579
相談者より
ご回答誠にありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/12/05 11:36 ID:QA-0161625大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
会社のルールによりますので、
賃金規程で、家族手当、住宅手当の規定で支給要件を確認してください。
また、今回初めてのケースであれば、
夫婦で従業員の場合にどちらに支給するのか、途中変更は可能なのか等
検討し、規定に追記してください。
投稿日:2025/12/04 19:34 ID:QA-0161581
相談者より
ご回答誠にありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/12/05 11:36 ID:QA-0161626参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
普通に考えれば、2,が適正といえるでしょう。
世帯主を夫婦どちらにするかは夫婦間の問題ですから、配偶者を世帯主とするのであれば、再雇用者の給与から家族手当、住宅手当分を差し引き、配偶者に家族手当、住宅手当を支給するとするのは、合理的な判断といえます。
投稿日:2025/12/05 08:26 ID:QA-0161592
相談者より
ご回答誠にありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/12/05 11:36 ID:QA-0161627参考になった
プロフェッショナルからの回答
制度
人事制度に完璧なものは存在せず、常時状況や会社の方向性などに合わせて適宜変更していくことは普通だと思います。
本件は正しいかどうかではなく、法的に問題ない条項であれば、会社として取り決め、周知徹底すれば実効が上がるでしょう。
ただし、男女の役割や家庭の位置付けのような、さまざまな価値観がある現在の状況に合わせて、決して会社が価値観を決めつけることがないよう十分留意して下さい。
会社の第一優先は業務推進だと思われますので、業績に影響がない価値観への介入、結婚以外の形態や独身者が不利になることがないような制度設計は、業績重視のためにも重要だと思います。
投稿日:2025/12/05 11:23 ID:QA-0161621
相談者より
ご回答誠にありがとうございます。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/12/05 11:38 ID:QA-0161628参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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