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解雇制限後、穏便に辞めていただくには

いつもお世話になっております。

業務上の傷病による休業期間とその後の30日間は、労働者を解雇できない旨、労基法に定められていると思いますが、

勤続10年の倉庫業務を行っている76歳のパート社員の方が昨年、通常の社員にとってはそれ程、重くない荷物を持った際、脇腹が痛くなり、病院で検査したところ、肋骨が1本、骨折していたことがわかりました。

そして、先月、業務中に平らな何でもないところでつまづき、転倒した際、今度は手首を骨折しました。通常の社員は転んだ際、手をつくことで頭や胴体への衝撃を防げるかと思いますが、手をつくことでケガをしました。

現在、労災にて療養中ですが、二度目ですし、年齢も考慮し、退職していただこうと思っています。

この場合、療養期間が終わった後に30日間、働いてもらわなくても

療養期間が終わった時に30日前の解雇予告をすることで会社を辞めていただくことで問題ないでしょうか。

投稿日:2025/12/02 11:08 ID:QA-0161400

newyuiさん
神奈川県/その他業種(企業規模 31~50人)

この相談に関連するQ&A

プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答7

プロフェッショナルからの回答

米倉 徹雄
米倉 徹雄
KIZASHIリスキリング社会保険労務士法人 代表社員

回答いたします

ご質問について、回答いたします。

以下は、問題がある対応に該当します。

|この場合、療養期間が終わった後に30日間、働いてもらわなくても療養期間が
|終わった時に30日前の解雇予告をすることで会社を辞めていただくことで問題
|ないでしょうか。

治癒または症状固定になった後、30日間の解雇制限期間が満了してから、
改めて30日前の解雇予告または解雇予告手当の支払いを検討する必要があります。
症状固定になった後、30日間の解雇制限期間中は解雇不可です。

なお、勤続10年と長く勤務されておりますので、解雇ではなく、まずは話し合い
の元、合意退職(自己都合退職)が最も望ましい形かとは存じます。

投稿日:2025/12/02 11:49 ID:QA-0161408

相談者より

いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。

投稿日:2025/12/02 13:38 ID:QA-0161422大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

井上 久
井上 久
井上久社会保険労務士・行政書士事務所 代表

ご回答申し上げます。

ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。

1.結論(最重要ポイント)
療養期間中+療養終了後30日間は解雇禁止(労基法19条)
よって、
 療養終了当日に「30日前の解雇予告」を出しても無効
 (=30日間は法的に解雇できない)
ただし、“本人の合意による退職”の提案は可能(=違法ではない)
76歳・再度の労災・能力低下という状況でも、
 整理解雇や能力不足解雇の法的ハードルは極めて高い
したがって、もっとも現実的で穏便な方法は「合意退職(自己都合扱い)」に導くことになります。

2.法的根拠:労基法19条の解雇制限
労働基準法19条
業務上の負傷・疾病による療養期間中は解雇禁止
その後30日間も解雇禁止(=絶対的解雇制限)
ここで重要なのは、
・ 解雇予告は「将来の解雇」という意思表示
→ 解雇制限期間中に解雇予告をしても効力がない。
→ 解雇日は30日経過後であっても「予告の意思表示」が制限中なら無効扱い。
つまり、
「療養終了日に30日予告」をしてもアウト。
療養終了後30日経過までは、解雇に向けた手続きすらできない
と解されるのが判例・行政実務です。

3.ではどうするか?(合法的・穏便な対応)
▼ 方法1:本人に「合意退職」を提案(最も安全)
あくまで「会社都合ではなく自発的に辞める形」を提案
退職理由は「一身上の都合」
書面化(退職届)必須
圧力・強要と受け取られない工夫が必要
【説明例】
年齢による負荷の大きさ
安全配慮義務の観点から無理をさせられない
今後、同様のケガが起こる可能性が高い
無理のない働き方への転換を一緒に考えたい
ポイントは “本人の健康を思いやるトーンで丁寧に説明すること” です。

▼ 方法2:軽作業への配置転換を提案し、本人の「辞意」を引き出す
もし会社側が「復帰しても安全に働けない」と判断するなら、
「軽作業しか任せられない」
「勤務時間を短縮せざるを得ない」
などの条件提示は可能。
その結果、本人が
「それなら退職したい」
と判断する場合が多いです。
※これも 合意退職 であり、違法ではありません。

▼ 方法3:契約更新時に「能力不足による不更新」
パート(有期契約)であれば、
契約満了時に更新しないという方法があります。
ただし、不更新の合理的理由が必要。
今回のようなケースは
労災二度
年齢による業務適性の大幅低下
会社の安全配慮義務
を理由として不更新は十分認められます。
※療養終了直後でなくても、契約満了時点での判断となるため合法性は高い。

4.解雇は極めて困難(高リスク)
「能力不足」「安全に働けない」を理由に普通解雇することは、
高齢社員でも極めてハードルが高いです。
特に
労災による傷病 → 労基法19条の保護あり
労災2回 → 業務上原因であり、本人責任ではない
裁判では
「会社の安全配慮義務の問題」
に転化され、解雇無効リスクが高まります。

5.最適解(推奨フロー)
労災治癒(症状固定)まで待つ
30日経過後に面談
「今後の業務遂行の困難さ・安全性」を丁寧に説明
本人の意思を尊重しつつ「働き方変更 or 合意退職」を選択
有期契約の場合は、次の契約更新で不更新通知
退職トラブル回避のため、合意内容を書面化

6.結論
療養期間終了日+30日間は、解雇・解雇予告ともに禁止
よって「療養終了日に30日前の予告 → 30日後退職」は無効
穏便に辞めていただくには
 (1)合意退職を丁寧に提案する
 (2)軽作業提案→本人辞意
 (3)契約満了時に不更新
解雇は最もリスクが高く、避けるべき
以上です。よろしくお願いいたします。

投稿日:2025/12/02 11:50 ID:QA-0161409

相談者より

いつもお世話になっております。
法的な解釈、何パターンかの対応法について詳細にご説明いただき、大変参考になりました。
ありがとうございました。

投稿日:2025/12/02 13:51 ID:QA-0161423大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

対応

ハードルも高く運用が難しい解雇ありきではなく、話し合いこそが最優先ではないでしょうか。
今般の事象から業務が無理であり、代わりの性作業業務すら骨折などの危険があること。事務作業など適性の有無などを話し合って、これ以上仕事がないことを説明氏、納得の上で退職してもらえれば一番望ましいと思われます。
もめれば規定通りの進行であっても、結局会社に手間とその分のコストがかかることになります。

投稿日:2025/12/02 13:11 ID:QA-0161413

相談者より

いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。

投稿日:2025/12/02 13:54 ID:QA-0161424大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

小高 東
小高 東
東 社会保険労務士事務所 代表(特定社会保険労務士) 

ご質問の件

手続としましては、
療養期間が終わった時に30日前の解雇予告をすることは可能です。

解雇制限は解雇を制限するものであり、解雇予告を制限するものではないからです。

ただし、復帰してすぐに解雇予告というのも、感情を逆なでするリスクが
ありますので、よく話し合って、退職勧奨あるいは合意退職をお勧めします。

投稿日:2025/12/02 15:23 ID:QA-0161437

相談者より

いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。

投稿日:2025/12/02 18:18 ID:QA-0161468大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

服部 高明
服部 高明
服部 社会保険労務士事務所 代表

解雇制限期間中の解雇予告の可否

 以下、回答いたします。

(1)労働基準法第19条による解雇制限期間中に解雇予告をなし得るか否かについては、『通説は、本条は「解雇を制限しているだけであって解雇予告を制限しているのではないから、禁止期間後に満了すべき解雇予告を禁止期間内に発することは法律上差し支えない」と解している』とされています。(「令和3年版 労働基準法 上」厚生労働省労働基準局編)

(2)これに則れば、「療養期間が終わった時に30日前の解雇予告をすることで会社を辞めていただくこと」は可能であると認識されます。

投稿日:2025/12/02 20:57 ID:QA-0161471

相談者より

いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
説得力のあるご回答、ありがとうございました。

投稿日:2025/12/03 18:57 ID:QA-0161533大変参考になった

回答が参考になった 0

人事会員からの回答

オフィスみらいさん
大阪府/その他業種

療養期間経過後に解雇予告をするのはいいとしまして、たとえ解雇予告がなされても、その時点で直ちに労働契約関係が終了するわけではございません。

解雇予告期間中といえども、労働者には労務提供を行う義務があり賃金全額請求権も確保されており、使用者には賃金を支払う義務があります。

一方で、予告期間中に労働者が欠勤すれば賃金の減額は可能、会社の都合で休ませたときは休業手当(労基法第26条)の支払い義務が発生し、解雇予告期間中といえども、労働関係は正常に存続しているということになります。

肋骨1本骨折、手首骨折、年齢等を総合的に考慮すれば、復帰ができても完全な労務の提供は不可能(債務の不完全履行)と言わざるを得ないでしょうから、退職していただくことには合理性も認められるでしょう。

であれば、勤続10年という会社への功績を評価すれば、解雇ではなく、双方でよく話し合い合意退職で着地するのが賢明ではないかと考えます。

投稿日:2025/12/03 08:58 ID:QA-0161486

相談者より

いつもお世話になっております。
より詳細にご説明いただき、理解が深まりました。
ありがとうございました。

投稿日:2025/12/03 18:51 ID:QA-0161532大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

ご相談の件ですが、制限されているのは解雇措置のみですので、制限期間中に解雇予告をされて制限期間後に解雇される分には差し支えございません。

従いまして、安全配慮の観点からも示された対応が妥当といえるでしょう。

投稿日:2025/12/03 19:11 ID:QA-0161534

相談者より

いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。

投稿日:2025/12/04 10:31 ID:QA-0161557大変参考になった

回答が参考になった 0

回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
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