【労働法超入門】雇用保険の給付制限期間の緩和等
労働新聞社
改正雇用保険法は令和2年4月から段階施行されていて、令和2年には、このほか8月に被保険者期間の計算方法、10月に給付制限期間に関する改正が実施されています。
まず、前者についてですが、雇用保険の給付の中には、基本手当をはじめ、被保険者期間が一定月数以上あることが、受給資格要件とされているものが少なくありません。
従来、「賃金支払基礎日数が11日以上ある月」を、被保険者期間1ヵ月とカウントしていました。しかし、改正後は、「賃金支払基礎時間が80時間以上ある月」も、被保険者期間の計算に加えることになりました。
短時間のパートの中には、雇用保険の加入条件(週の所定労働時間20時間以上)を満たしていても、1ヵ月の出社日数が少ない人もいます。そうした人は、ちょっと欠勤すると賃金支払基礎日数11日以上という条件を満たせず、保険給付をもらえないケースがあります。そうした不利益を解消するため、時間による判断基準も追加したものです。
次に後者ですが、被保険者が離職し、ハローワークに求職に行くと、基本的には待期期間(7日間)経過後から、基本手当の支給がスタートします。しかし、(1)重責解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇)、(2)自己都合退職(正当な理由のない自己都合による退職)の場合、給付制限が課せられます。
従来、(1)(2)ともに制限期間は原則3ヵ月と定められていました(短期で離入職を繰り返す特殊なケースでは1ヵ月)。
しかし、改正後、(2)の自己都合退職に関しては、「5年間のうち2回まで」に限り制限期間が2ヵ月に短縮されます。より自分に合った仕事を探したいという人が、安心して職探しできるように後押しするのが目的です。
重責解雇や5年のうち2回の制限を超える自己都合退職については、これまでどおり3ヵ月の給付制限が課せられます。
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