シフト勤務の場合における労働条件通知書の記載方法
宿泊業におけるシフト勤務制の労働者に対して労働条件通知書を交付する予定です。
宿泊の予約状況によって、月の出勤日数や出勤時間、さらに出勤日を確定することが難しく、1週間のシフト表を前週の終わりまでに通知するような形で働いてもらっています。このようなケースの場合、労働条件通知書の始業、就業の時刻や休日についてはどのように記載すべきかということですが、以下のような対応を考えておりますが、アドバイスをお願いします。
【1】始業・終業の時刻について
始業・終業の時刻:1か月単位のシフトにより定める(1日○時間以内、始業 6:00〜10:00/終業 20:00〜23:00 の範囲)
具体的な始業・終業の時刻は、シフト表により前週の○曜日までに通知する。
【2】休日について
休日:1か月単位のシフトにより定める(週1日以上、かつ4週4日以上)
具体的な休日は、シフト表により前週の○曜日までに通知する。
【3】労働日・労働時間の決定方法(補足記載)
労働日および労働時間は、業務の都合により月ごと・週ごとのシフト表により定める。1日の労働時間は6時間〜8時間程度で、拘束時間は最大で10時間を超えない範囲とする(※休憩時間含む)。
【3】のような補足記載をしておくことも考えておりますが、これに対する是非についてもコメント頂けますでしょうか?
投稿日:2025/08/06 08:07 ID:QA-0156427
- LATTEさん
- 山梨県/コンサルタント・シンクタンク(企業規模 1~5人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、概ね問題ないものといえますが、始業・終業時刻につきましては、6:00,7:00…といった考えられうる具体的な時刻を出来る限り多く記載された上で、「業務事情等により、始業 6:00〜10:00/終業 20:00〜23:00 の範囲で変更する場合がある」旨記載されるとよいでしょう。
また3につきましては、1,2の内容と殆ど被っていますので、不要といえます。
投稿日:2025/08/06 09:27 ID:QA-0156439
相談者より
ありがとうございました。ダブる内容については修正します。
投稿日:2025/08/07 08:59 ID:QA-0156493大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
(はじめに)
ご相談の件について、宿泊業のような繁閑差の大きいシフト勤務制における労働条件通知書の記載内容として、全体として適切な方向性です。ただし、労働基準法上・行政通達上のポイントを押さえたうえで、以下の点に留意・修正を加えることで、より実務的かつリスクの少ない内容になります。
1.前提:労働条件通知書に必要な事項(法定記載事項)
労働基準法第15条および施行規則第5条では、書面による明示が義務付けられている事項(絶対的明示事項)の中に、以下が含まれます。
・始業・終業時刻
・休憩時間
・労働日・休日
・就業場所
・業務内容
・賃金関連
・契約期間 など
これらは原則として「具体的に」かつ「明示的に」示す必要があります。ただし、変動性がある場合は、変動の範囲と決定方法を明示することで可とされています(厚労省「労働条件の明示のルールに関するQ&A」等)。
2.記載案に対するコメント・アドバイス
(1)始業・終業の時刻
記載案:
始業・終業の時刻:1か月単位のシフトにより定める(1日○時間以内、始業 6:00〜10:00/終業 20:00〜23:00 の範囲)
具体的な始業・終業の時刻は、シフト表により前週の○曜日までに通知する。
アドバイス→
概ね妥当な記載です。
ただし、「○時間以内」だけでなく、「労働時間の範囲」も具体的に明示(例:6~8時間)」とすると、法的にはより適切です。
拘束時間と労働時間は分けて記載するのが望ましいです(休憩を含めない労働時間で示すこと)。
改善案:
始業および終業の時刻:シフトにより定める。
始業:6:00〜10:00の間で指定
終業:20:00〜23:00の間で指定
1日の労働時間:6~8時間(休憩時間を除く)
具体的な時刻はシフト表により前週の○曜日までに通知する。
(2)休日について
記載案:
休日:1か月単位のシフトにより定める(週1日以上、かつ4週4日以上)
具体的な休日は、シフト表により前週の○曜日までに通知する。
アドバイス:
法定休日の要件(少なくとも1週間に1回の休日)を満たしており、記載として妥当です。
可能であれば、「1週間に1日の休日を原則としつつ、4週を通じて4日以上確保」と記載するとより明確です。
改善案:
休日:週1日以上(かつ4週を通じて4日以上)とし、シフトにより定める。
具体的な休日はシフト表により前週の○曜日までに通知する。
(3)補足記載(労働日・労働時間の決定方法)
記載案:
労働日および労働時間は、業務の都合により月ごと・週ごとのシフト表により定める。1日の労働時間は6時間〜8時間程度で、拘束時間は最大で10時間を超えない範囲とする(※休憩時間含む)。
アドバイス:
非常に良い補足記載です。業務の特性を説明しつつ、決定方法を示しており実務にもマッチします。
「程度」や「最大で○時間を超えない」は曖昧になり得るため、法的な定め(休憩含まず)に照らして明確にした方が安全です。
休憩時間が1日の労働時間に応じて1時間以上必要(6時間超の場合)である点も補足しておくと丁寧です。
改善案:
労働日および労働時間は、業務の都合により月ごとまたは週ごとのシフト表により決定する。
1日の労働時間は6~8時間とし、休憩時間を除いた実働時間とする。
拘束時間は最大で10時間を超えない範囲とする。
シフト表は原則として前週の○曜日までに通知する。
3.その他の注意点
(1)変形労働時間制(1か月単位)を採用する場合は、就業規則や労使協定の整備と明示もお忘れなく。
(2)週40時間の法定労働時間の範囲内で運用されることを前提に、休日・労働時間配分のバランスに注意してください。
(3)36協定(時間外・休日労働に関する協定)を提出済みか確認も重要です。
4.まとめ:記載の是非
項目→評価→コメント
始業・終業時刻→〇→内容は良好、やや明確化を推奨
休日→〇→妥当、より明確にするなら文言修正
労働日・労働時間補足→〇→非常に実務的、文言の曖昧さにだけ注意
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/08/06 09:57 ID:QA-0156445
相談者より
いつも丁寧な回答ありがとうございます。アドバイスに基づき、記載内容を検討していきます。
投稿日:2025/08/07 09:01 ID:QA-0156494大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
全体的には、概ね整理ができていると感じておりますが、
以下の点をコメントさせていただきます。
1について・・・
・1日〇時間以内については、労働時間は〇時間以内と拘束時間ではないことを
表現するとともに、休憩時間についての記載もあった方が良いでしょう。
・始業と終業時間については、遅くても始業開始は10時であり、終業時間は早く
ても20時とも解釈ができ、労働時間の最短でも10時~20時までと8時間を超える
労働時間設定と解釈できます。齟齬が生じないよう、
より具体的に、標準的な始業・終業時間も複数記載していだいた上で、
〇時~〇時の範囲でシフトを組むといった内容にしていただいた方が良いです。
・シフト表により前週の○曜日までに通知する。について、前週とはいつを起点と
した前週かわかりませんので、1か月のシフトが開始する日の1週間前までには
といった具体的な表現とした方が良いでしょう。
3について・・・
補足事項としてあった方が望ましいと考えます。
投稿日:2025/08/06 12:07 ID:QA-0156453
相談者より
アドバイスありがとうございます。他の解答も参考にしながら、記載内容を再検討していきたいと思います。
投稿日:2025/08/07 09:02 ID:QA-0156495大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
まず、1か月単位の変形労働時間制としといった文言は不可欠です。
1か月単位の変形労働時間制を導入しないと1日8時間を超えるシフトは組めません。
その他、1~3まで規定することは問題ありません。3は規定した方がベターです。
投稿日:2025/08/06 13:43 ID:QA-0156460
相談者より
1か月変形についてのアドバイスありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
投稿日:2025/08/07 09:04 ID:QA-0156496大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
概ねこの内容で問題はないでしょう。
ただし、始業・終業時刻については、考えられる時間帯をすべて列挙したうえで、「ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらの時間帯を変更することがある。」といった体で記載しておくという方法もあります。
投稿日:2025/08/07 06:55 ID:QA-0156483
相談者より
いつもありがとうございます。アドバイスも参考にしながら対応します。
投稿日:2025/08/07 09:06 ID:QA-0156497大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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