片道3時間の通勤
従業員に転居を前提とした転勤を命じたところ、転勤の命には従うが、現在の住居より通勤させて欲しいとの回答がありました。最寄駅から異動先までおよそ100km、通勤には2時間半から3時間かかります。同居の両親が高齢であること(介護の必要は無し)、が主な理由です。
通勤時間が往復で5時間以上かかることを承知していながら転勤を命じることに、安全衛生管理上の問題など生じませんでしょうか?申し出通り通勤を認める場合、講じておくべき措置などあればアドバイス願います。
投稿日:2009/01/06 16:36 ID:QA-0014721
- *****さん
- 東京都/販売・小売(企業規模 501~1000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
通勤時間に関する法的制限はございませんが、従業員への負担を考慮しますと片道で2時間程度が限度といえるでしょう。
往復5時間を超えるという通勤時間は明らかに無謀ですし、当該従業員の睡眠時間減に繋がる等健康面への悪影響は勿論、加えて本人にとっても会社にとっても非常に効率の悪い働き方といえますね‥
仮に本人が希望するとしましても、会社が認めてしまいますと長時間の通勤が原因で体調が悪化した場合、会社としての安全衛生管理上の責任を免れる事は出来ません。
転勤自体の必要性の程度や転勤先における社宅の有無等詳しい事情が分かりませんので具体的なアドバイスは出来かねますが、本人にも健康面で支障が生じる可能性が高い事を説明された上で、自宅からの通勤に関しては拒否されるべきです。
尚、高齢家族がいましても介護の必要性がないということであれば正当な理由とはいえませんが、他にも何か特別な事情があるかもしれません。
その辺も含めまして本人の言い分にも十分耳を傾けた上で、あくまで本人の健康面を第一に考えて決められる事が重要です。
投稿日:2009/01/06 22:40 ID:QA-0014724
相談者より
投稿日:2009/01/06 22:40 ID:QA-0035807大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
高齢両親との同居の必要性と転勤命令
■従来から、転勤については、勤務地限定特約がなく、特段の事情がない限り、転勤命令が権利濫用とされることは極めて稀れ、つまり、命令が無効になるのは例外で、原則として労働者は拒否できないとされてきました。権利濫用に該当するのは、① 業務上の必要がない、② 不当な動機・目的がある、③ 労働者に著しい不利益があるケースで、例外というだけあって、判例は労働者側に厳しいものでした。
■然し、育児・介護が社会問題としてクローズアップされると共に、この潮目が大きく変わり、2001年の改正育児・介護休業法で、「子の養育又は 《 家族の介護を行う 》 ことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育、又は 《 家族の介護の状況に配慮 》 しなければならない」(26条)と法的に背中を押されたのです。状況は、さらに進み、「家族の介護ができなくなる」として遠隔地への転勤命令の無効確認などを求めた訴訟の上告審で、大手食品会社の上告を棄却した、最近の最高裁決定まで至っています。
■ご相談のケースは少々異なり、応用問題になりますが、本人の転勤命令に従う意向か否かに関わらず、高齢の両親の同居を必要とすることを承知しながら、社会通念上、限度を超えた遠距離通勤を要する転勤命令を出すことは再考されるのが賢明だと思います。余人を以って代え難い、高度な業務上の要求か否か、再チェックされることを強くお勧め致します。
投稿日:2009/01/07 17:10 ID:QA-0014727
相談者より
投稿日:2009/01/07 17:10 ID:QA-0035809大変参考になった
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