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日立電子サービス株式会社
「自律考動」できる人財の育成に向けて
~「体験・体感型研修」でプロフェッショナルを育てる

荊沢光彦さん(人財開発本部 コンピュータシステム技術学校 校長)
広谷正宏さん(チーフエキスパート)

 ヒューマンスキル系では、どのようなものがありますか。

広谷:例えば、「落穂教育」による基本と正道の徹底を行っています。落穂教育とは、製品事故が起こった際の原因究明、再発防止を目的に、日立グループ内で行われている「落穂拾い活動」の考え方や方法を教える教育です。落穂拾い活動とは「なぜ?」を追及し、問題の原因を細部にわたり検証・究明するもので、日立グループの品質理念の具現化ともいうべき活動であり、顧客満足を支える土台でもあるわけです。それを教えることが、そのまま日立グループ社員としてのマインドの醸成を図ることになっていきます。これを朝礼時に「落穂の精神」として教えています。又、落穂会議へのTV会議での参加や、問題発生時にはクラス内で落穂ミーティングを実施するなど、徹底して教えています。

社会人基礎力の強化では、書く、話す、読む、聴くという「報連相」を教えていきます。最近の若い人は、こうした力が下がってきているのではないかと言われています。まずは、文章の書き方講座ということで、全員に文章の書き方を教えていきます。話す力については、朝礼時にミニ提案会を行っています。営業系はミニ提案会、SE系はコーチング、他のクラスは3分間スピーチ。とにかく、人の前で話をすることを、入校して2週間目くらいから徹底して行っています。読む力については、校内のリフレッシュコーナーに新聞を設置し、休み時間などを活用し、読んでもらうことで養っています。聴く力については、社外の人に来てもらって講話を行い、養っています。

そして「報連相」については、業務日報を毎日書かせています。以前は書くだけだったのですが、それだけでは効果が薄いため、書いた上で、担任のインストラクターの前で、その日に起きたことを全て報告させ、指導を仰ぐ、ということを行っています。

 かなり、きめ細かな内容とフォローですね。

広谷:ええ。そして、教育の集大成として「フレッシュマンコンテスト」を行っています。これは、基本動作教育の強化の一環ですが、「一連の流れ」の訓練成果の発表ということで10月から11月にかけて行っています。ここでは、仮想のお客様を想定し、ロールプレイによる「実践発表」を行います。これには次の二つがあります。

一つはメンテナンス部門(CEクラス)。CEがお客様から実際に障害を受け付け、出動準備をして、お客様を訪問します。そして、実際に機械にトラブルを仕掛けて、障害対策をその場で行う。審査員は、本当に基本に忠実にやっているか、間違いないかというところを重視し、採点していきます。終了の報告、マナーの審査なども合わせて行っています。

二つ目がソリューション部門(営業、SEクラス)。架空のお客様から引き合いがあり、いろいろなヒアリングを行いながら、お客様に最適な提案をしていきます。これを1週間かけて行い、最終日に提案、プレゼンテーションを行う、という形となっています。

審査員は、各職場の営業、SEの管理職に来てもらい、その会社の幹部という役割と審査員という役割の2つを担当しながら、実際に点数をつけてもらいます。優秀チームには金、銀、銅のメダルが授与されます。

 人間力の強化についてはどうですか。

チーフエキスパート 広谷正宏さん

広谷:人間力の強化のために、さまざまなプログラムを用意しています。アーティストの喜多郎氏をゲストに招き、プロとしての生き方を教わっています。その他、その道の専門家や相談役、役員からの話を聞くことで、人間力の強化を図っています。

この人間力の強化の中で、CSRマインドの醸成を行っています。それが、地域貢献活動。隣に品濃小学校があるので、6年生を対象にIT体験教室を2007年から行っています。2010年度は6月22日に開催し、6年生80名と先生方・父兄を呼んで、新入社員128名が対応しました。普段は教えられる立場の新人が、この日だけは教える立場になって、子どもたちと名刺交換や自己紹介をし、その後、パソコンの分解・組立や、意見交換を行います。子どもたちからは、「どうして日立電子サービスに入ったのですか」「仕事は楽しいですか」など、鋭い質問を受けます。最後に、当社のサービス歴史館を見学していくという内容ですが、これらを新人たちが全て取り仕切ります。

そして、大山クリーン登山。神奈川県伊勢原市にある大山に登って、ごみ拾いをして帰って来るというもので、今年で10回目を迎えましたが、「私は、環境に対するこんな取り組みをしています」という内容で、一人ひとり環境宣言をしてもらっています。このイベントは、入校して1ヵ月ほど経った5月の中旬に行いますが、ここでクラスの和、同期の絆が強まっていきます。

このような人間力の強化の中で2010年に初めて実施したのが、先ほどもお話ししたコ学生と喜多郎氏の交流会です。当社の「電サあんしんの森」という神奈川県にある森林で、喜多郎氏と間伐作業を行い、地球環境に関する思いやプロとしての生き方について意見交換を行いました。環境保全意識の高揚とプロの企業人としての心構えを理解してもらうのが目的です。最後には、間伐廃材の竹をくりぬいて楽器を作り、即興の楽器演奏を行ったことがとても印象に残っています。

 一連の教育の集大成としては、どのようなことを行っていますか。

広谷:12月にこれまでの教育の集大成として、「卒業まとめ発表会」を行っています。共通基礎教育が終わった後に仮配属があり、8月の初旬から9月くらいまで、現場実習に行きます。その実習で、配属先の上長と協力し、テーマを選定してもらっています。その後は自分なりに考えて進めていくわけですが、12月の発表会のときには、その模様がテレビ会議で全国に中継されます。当然、全国の拠点からさまざまな質問が出てきますが、配属先からは温かいメッセージも届き、これによって配属拠点との一体感が醸成されていきます。

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この記事ジャンル 新入社員育成

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*****さんがその他でオススメしました

北海道 医療・福祉関連 2011/02/01

まさに、理想的な人財開発体制だと思いました。
経営層の理解が深いのでしょう。ここまで徹底して運営できることを知り、同じ人財開発部として勇気をいただきました。

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