企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

となりの人事部
第83回 スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社

顧客を感動させるサービスは従業員の「内発的動機」から生まれる
マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか(後編)

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 人事本部 人事部 部長 久保田 美紀さん
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 人事本部 人事部 部長 久保田 美紀さん
3万3千人を超えるパートナー(従業員)のうち、約8割がアルバイト。若手のスタッフも多いスターバックスではエンゲージメントを重視して、仕事や組織を自分ごと化し、顧客や地域のために能動的に行動できる人材を育成しています(前編参照)。人事部長の久保田美紀さんは、こうした人材育成のポイントを「内発的動機の醸成」であると語ります。個人の価値観が多様化し続ける中、スターバックスはどのようにしてパートナーの内発的動機を引き出し、エンゲージメントの向上につなげているのでしょうか。後編ではその具体的なプロセスをうかがいます。
プロフィール
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 人事本部 人事部 部長 久保田 美紀さん プロフィール写真
久保田 美紀さん
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 人事本部 人事部 部長
くぼた・みき●ドイツ系IT企業で採用・教育・部門人事を経験した後、2010年スターバックス コーヒー ジャパンに人材開発部長として入社。リテイルおよびサポートセンターの人材開発・組織開発に従事した後、2016年より人事部長に就任、現在に至る。米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

学生アルバイトも目標設定を行い、4ヵ月に一度の人事考課でレビュー

―― 顧客のために能動的に行動できるパートナーを、どのように育成しているのでしょうか。

スターバックスでは「OUR MISSION」として、「人々の心を豊かで活力あるものにするために―― ひとりのお客さま、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティーから」と掲げています。さらにそのミッションを達成するための行動指針として「OUR VALUES」を定めています。新しく入社するパートナーには、まずこれらのミッション・バリューに共感してもらえるよう働きかけています。

といっても、ミッションやバリューのすべてに共感する必要はありません。特に採用時点では、「私はミッションやバリューのここが好き」といったように、一部でもいいので共感してもらえればいいと思っています。

まず考えてもらうのが、将来の目標や理想の人物像など、その人が将来なりたい姿。学生アルバイトの方も多いので、必ずしも「スターバックスでどうなりたいか」という目標である必要はありません。たとえば、将来就きたい仕事などをあげる方もいます。それを実現するために、スターバックスでの仕事を通じて何を身につけたいかを考え、「個人の成長目標」を決めていきます。

加えて、パートナーの「パフォーマンスに関する目標」も設定します。スターバックスの各店舗では、ストアマネジャーがミッションとバリューをもとに、「地域でこんな存在になりたい」という思いを込めた店舗ビジョンを掲げています。それを実現するためにはどのような行動をとればいいのかを言語化するのです。

こうして設定した目標のもと、4ヵ月ごとの人事考課の際に、振り返りを行います。

―― アルバイトの学生などに対して、明確な人事考課やレビューを行うのは、他社にはあまりない例ですね。

例えばスターバックスのバリスタは、マルチタスクが求められる大変な仕事です。率直に言って、他に時給の高い、割の良いアルバイトはいくらでもあります。それでも、スターバックスで働きたいと言ってもらえる方が多いのは、上司や同僚からのフィードバックを通じて成長を実感できる機会が多いことがあげられます。学生の頃にこうした経験を積むことで自己理解につながり、就職活動が順調に進む方も多いようです。

スターバックスでアルバイトを経験した学生が、就職活動の際に選考を受けに来てくれることも少なくありません。あるいは、新卒で別の企業に就職しても、第二新卒としてスターバックスに戻って来てくれるケースもあります。こうした方が多いのは、ミッションやバリューに共感して行動し、それを適正に評価される仕組みがあるからだと考えています。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。
※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

※投稿をしたコメントは、『日本の人事部』事務局で確認後、掲載されます。投稿後すぐには掲載されませんので予めご了承ください。

となりの人事部のバックナンバー

株式会社ユナイテッドアローズ:
すべてはCSマインドから始まる リピーターを生み出し続けるユナイテッドアローズの「理念経営」とは
まもなく創業30周年を迎えるセレクトショップ最大手、ユナイテッドアローズ。その人気を支えている理由の一つが、徹底したCSマインドにもとづいたクオリティーの高い接...
2018/09/25掲載
エイベックス株式会社:
ベンチャーに負けない、スピードとイノベーションを。
創業30年、エイベックスが目指す構造改革とは?
今年で創業30年を迎えるエイベックスは、「第三創業期」として、大きな改革に乗り出しています。ベンチャーに負けないスピードとイノベーションを目指し、さまざまな改革...
2018/08/30掲載
株式会社ラッシュジャパン:
会社の決定による一方的な異動は行わない
従業員の「オーナーシップ」が生む、ラッシュジャパンの価値とは
コスメやバス・ヘアケア用品で知られるラッシュには、基本的には会社の一方的な決定による異動はありません。店舗の運営にも、細かいルールはなし。店長やスタッフの自主性...
2018/07/10掲載

関連する記事

山本 寛さん:
優秀な若手をひきつける「リテンション・マネジメント」
人が辞めない組織をつくりあげる極意とは
少子化に伴う労働人口の減少が進行する中、優秀な人材に長く組織で活躍してもらうための施策である「リテンション・マネジメント」が注目を集めています。特に企業の将来を...
2018/07/18掲載キーパーソンが語る“人と組織”
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社:
顧客を感動させるサービスは従業員の「内発的動機」から生まれる 
マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか(前編)
店内に入ると、明るくにこやかに迎えてくれる店員たち。何を注文しようか迷っていると、おすすめのドリンクやおいしい飲み方をアドバイスしてくれる。注文したドリンクを待...
2017/09/07掲載となりの人事部
森永雄太さん:
ただ「健康増進」を唱えるだけでは届かない 
健康経営を従業員のやる気につなげる「ウェルビーイング経営」の考え方(後編)
従業員の健康につながる施策に会社をあげて取り組む「健康経営」の考え方が定着しつつありますが、一方で若い人ほど「健康」という言葉を軽くとらえてしまいがちであるのも...
2017/08/09掲載キーパーソンが語る“人と組織”
森永雄太さん:
ただ「健康増進」を唱えるだけでは届かない 
健康経営を従業員のやる気につなげる「ウェルビーイング経営」の考え方(前編)
従業員の健康増進につながる施策に会社を挙げて取り組む「健康経営」の考え方が定着しつつあります。少子化が加速し、労働人口が減り続ける中、一人ひとりが長く働き続けら...
2017/08/02掲載キーパーソンが語る“人と組織”
社内の見えざるルールを“見える化”し、“人にやさしい組織”を実現する本当の意味での【働き方&組織改革、ダイバーシティ】――人材育成・組織開発の課題を解決する、革新的・効果的手法とは?
人材育成のコンサルティングを行う株式会社ベーシックの代表取締役・田原祐子さんが、組織や企業戦略に詳しい一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生さ...
2015/09/10掲載注目の記事
従業員のエンゲージメントを高めるソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

学びを可視化する ビジログ 紀尾井カンファレンス

注目コンテンツ


従業員のエンゲージメントを高めるソリューション特集

従業員のエンゲージメントを高めるヒントとなるセミナーやサービス、ダウンロード資料をご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


戦略人事の基盤となる「人事給与システム」<br />
導入を成功させるためのポイントとは?

戦略人事の基盤となる「人事給与システム」
導入を成功させるためのポイントとは?

給与計算業務や社会保険手続きなどの労務管理から、採用・異動・評価といっ...


「働きがい」が業績向上を実現する<br />
~成長する組織をつくる働き方改革~

「働きがい」が業績向上を実現する
~成長する組織をつくる働き方改革~

すでに関連法令も成立し、「働き方改革」への対応は待ったなしの状況といえ...