新日鉄住金ソリューションズ株式会社:
あるべき未来像から「仕事」を考え、「働き方」を語る
それが企業社会を支える人事パーソンの使命(後編)[前編を読む]
新日鉄住金ソリューションズ株式会社 人事部専門部長/高知大学 客員教授
中澤 二朗氏
人事パーソンとして学び、成長できる千載一遇のチャンスが到来
貴重なお話をありがとうございました。では、最後に、企業で人事関連の業務に取り組む方々に向けて、メッセージをお願いいたします。
われわれ人事のスタッフが、一番心にとめておかなければならないことは何か。あまりに当然のことで恐縮ですが、「現場あっての会社」だという事実です。現場の仕事は、人事課題に対応することではありません。現場の最大の任務とは、その日一日の生産や営業をつつがなくこなすこと。そしてできれば、ほんの少しでもより良い明日を作るために、未来への仕込みをすること。つまり、人事課題は、最初から最後まで人事自らが収めなければならない、ということです。現場のマネジャーが理解していないのならば、理解するような内容と仕組みを提供する。誤解があり、対立があれば、それをなんとかするのも人事です。
たとえば、いま私たちには、“大地”そのものが問われていると思います。もちろん木を見ていて、森だってちゃんと見ています。でも、大地そのものが揺れ動いているとは思っていない。その大地を変えた方がいいのか、このまま使い続けた方がいいのか。そんな疑問はつゆほども抱いたことがなかった、というのが本音ではないでしょうか。つまり、人事にとっても「初耳」なのです。
しかし見方を変えれば、これは人事として成長できる千載一遇のチャンスです。日本だけでなく、世界の雇用に関するアプリケーション、OS、ハードウェアをまとめて勉強できるからです。そのためには、原論を踏まえ、歴史をたずね、他国との比較を欠かさないこと。いつの時代にあっても踏まえるべきは、「原論・歴史・比較」だと私は考えています。そうすれば噛み合わなかった議論も、きっと噛み合うようになります。そもそも議論を噛み合わせること自体が人事の仕事であれば、まずは人事同志の議論を噛み合わせることから始めたいものです。そうでなければ、この国の「働き方改革」は、いつまでたっても前進しません。