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となりの人事部
第53回 ソフトバンクグループ
武田健佑さん、島村公俊さん

“300年以上成長し続ける企業”を目指すソフトバンクグループの
人材育成戦略(後編)
――研修を内製化する仕組みが、人と組織を成長させる[ 3/3ページ ]

2014/10/31

人材育成に向けての今後の展開

―― 今後、ソフトバンクグループの人材教育・研修の取り組みに関して、何か計画していることなどございましたら、お聞かせください。

武田: 多くの社員の知恵・知識、経験・ノウハウを、共有していきたいと思っています。そう考えると、「ソフトバンクユニバーシティ」が持っているものだけでは、提供する範囲が限られてくるでしょう。そこでもっとハードルの低い、講師として認定されていなくても、社員は気軽に自分のノウハウや経験を共有できる場、社員同士が学び合う場を作りたいと考えました。それが「知恵マルシェ」です。

「知恵マルシェ」は、早朝、昼、夜など、就業時間内には含まれない時間帯に開催しています。回数としては夜が一番多く、例えば18時30分から1時間程度での開催です。早朝は8時くらいから、昼は昼休みを利用して行っています。

「ソフトバンクユニバーシティ」は、研修としてリリースするという立場上、全社員が必要とするスキルを対象としていますが、「知恵マルシェ」はかなりマニアックでニッチな分野も対象としています。主催者がイントラネットを通じてこうした内容で開催したいと情報を流し、それを人事がチェックした上で、興味・関心を持った社員が申し込むという流れです。

例えば、「マジシャンから学ぶプレゼンテーションのテクニック」。マジシャンは観客に自分の手の動きに注目させながら、別のところで仕掛けを行います。そうした相手の「目線」をどう操るかというテクニックを、社内のプレゼンテーションでいかに応用するのかといった内容です。弊社では「No.1採用」という採用を行っていて、いろいろな分野でナンバーワンの実績を持つ人材を採用しています。この主催者もそうなのですが、一見業務に関係なさそうな分野であっても、その道で圧倒的な実績を残してきた人材からであれば、学ぶところは少なくありません。

島村公俊さんPhoto

島村: それ以外にも、「実践! 親子のコミュニケーション」のようなものもあります。親子の間に温かい空間が生まれ、子育てが少しラクになるコミュニケーションのコツを教えてくれるので、仕事にも役立つ! と大人気の講座です。女性社員の方を中心に多くの方が参加されています。

「研修」だと、一部において進め方や伝えてほしいポイントなど決まり事も多少あるのですが、「知恵マルシェ」は、完全にオリジナルで自身の経験や大切にしていることを自由に伝えていいわけです。「研修講師」だとハードルが高いけれど、2時間程度のカジュアルな勉強会だと、主催者側もかなり心理的なハードルは下がります。また、参加する側も、カジュアルな勉強会の方が参加しやすい、そちらの方が好きという方も実際は結構多いんです。

武田: 「知恵マルシェ」は2013年7月にスタートしましたが、これまで約700人が参加していて、回数は70回を超えています。いずれにしても私たちは、知恵や知識を共有するのが、研修という場と、「知恵マルシェ」というカジュアルな場と、どちらであってもいいと考えています。とにかく、社員同士が学ぶ場に参加することに大きな意味があるからです。

―― 最後に、これから新たに「研修の内製化」に取り組もうとしている企業に対して、何かアドバイスをお願いします。

武田: 最初に申し上げたように、300年以上成長し続ける企業の人材開発とはどうあるべきかを日々考えています。そのためにも、ソフトバンクグループ以外の方々の知見を、積極的に学んでいきたい。多くの企業の方と交流して、意見を交換する機会を持ち、内製化が進んでいる企業があれば何か一緒にできることはないか考えるなど、他社の方々と一緒に人材育成・人材開発をより成長させていければいいと思っています。そのためにも、我々でできる協力は惜しみなくさせていただきます。何かあれば、ぜひ気軽にお声掛けください。

島村: 人材育成の基本は、社内の人間が社内の人間に教え、伝えることだと思います。それを本気で取り組むことによって、内製化する部分と外部に出して協力を仰ぐ部分の線引きが明確に見えてきます。外に出ていくコストを、社内にしっかり投資することで、社内にノウハウがたまり、知恵や知識を互いに共有しあう土壌が築かれていきます。私は、これこそが、社員の才能を活かしあう人材育成のあるべき姿だと信じています。

武田: 大切なのは、社員のため、事業への貢献のためであること。だからこそ、自分たちが成長していくために必要な情報やテクノロジーをよく知っている、現場での体験やノウハウを持つ人たちから学ぶのが重要なんです。今回は「内製化」についてお話しましたが、別にそれを外部に求めてもいいのではないでしょうか。そういう意味でも、人材育成には柔軟な発想と対応がとても重要だと思います。

武田健佑さん 島村公俊さんPhoto
(2014年9月25日、東京・港区のソフトバンク本社にて)

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