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『労政時報』調査記事(2010/2/1掲載)
中堅・中小企業調査
業務・通勤災害の法定外補償
労政時報 労働災害の発生に備え、多くの企業では、労災保険法による法定給付に加えて、独自の上積みを図るための法定外補償(付加給付)制度を設けています。労務行政研究所では、主要企業を中心に、1、2年に1度、業務災害・通勤災害における法定外上積み補償の水準調査を行っていますが、今回、従業員1,000人未満の中堅・中小企業を対象とする集計結果を取りまとめました。
※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
インデックス

労働災害の発生状況
2008年の労災死亡者数は、1,236人・前年比7.1%減

厚生労働省が、2009年2月に発表した「08年における労働災害発生状況(速報)」によると、労働災害による死亡者数(全産業計)は1,236人で、前年比94人(7.1%)の減少となっています。

業種別の内訳では、「建設業」(424人)が全体の34.3%を占め、商業等を含む「その他」(335人)が27.1%でこれに続いています。

労災の死亡者数は、景気動向に連動して若干の増減があるものの、中長期的には、ほぼ一貫して減少傾向にあります。最近10年間(99~08年)でみても、99年を除き、対前年比減となっており、2000年以降、9年続けて減少しています。

法定外補償の実施状況
法定外補償実施率は、業務災害49.3%、通勤災害38.4%

規模別・産業別にみた実施率 [図表1]
労務行政研究所が07年に実施した、「人事労務管理諸制度実施状況調査」によると、上場企業クラスの法定外補償制度の実施率は、業務災害で49.3%、通勤災害で38.4%となっています。

規模別では、業務災害・通勤災害とも、大企業ほど実施率が高く、1,000人以上では、業務災害が63.2%、通勤災害が53.9%と、過半数に上ります。一方、1,000人未満をみると、300~999人では業務災害45.8%・通勤災害36.1%、300人未満ではそれぞれ38.6%・24.3%であり、おおむね業務災害は4割前後、通勤災害は2~3割台の実施率となっています。

また、産業別では、業務災害・通勤災害とも、製造業で5~6割前後に上るのに対し、非製造業では3~4割程度にとどまっています。

図表1 法定外労災補償制度の導入状況
図表1 法定外労災補償制度の導入状況

資料出所:労務行政研究所 「2007年人事労務管理諸制度実施状況調査」(第3700号-07.4.27 P66)

業務災害の遺族補償内容
一律=約2,100万円、有扶=約2,500万円。
補償額の分布(一律、有扶)は「3,000万~3,400万円台」が最も多い

[1]支給水準
今回調査・集計した、08年度の法定外遺族補償額は、全体の8割超を占める「一律」(=扶養者の有無を問わない)設定の企業で、2,065万円(前回02年度調査2,346万円)となりました。集計企業や社数の違い等から、今回集計では、若干の水準低下が生じたものの、大きな変動はみられません。

また、扶養者の有無により支給水準が異なる「有扶・無扶別」設定についてみると、有扶が2,480万円(同2,615万円)、無扶が1,972万円(同2,106万円)となっています。両者の格差は、有扶100に対して無扶が79.5で、02年度調査(80.5)とほぼ同じです。

[2]分布状況
続いて、遺族補償額の分布状況について、主な特徴点を見てみましょう。

まず、「一律」設定のケースでは、「3,000万~3,400万円台」(27.3%)が最も多くなっています。これに「2,000万~2,400万円台」(23.4%)が続き、両者で約半数(50.6%)に上ります。また、1,500万円未満も4社に1社以上(26.0%)を占めるなど、比較的幅広く分布しています。

次に、「有扶・無扶別」(各16社)にみると、有扶の最多頻値は、「一律」設定と同じく、「3,000万~3,400万円台」(8社・50.0%)で、全体の半数に上ります。一方、無扶では「2,000万~2,400万円台」(5社・31.3%)と「1,000万円未満」(4社・25.0%)が多く、両者で過半数(9社・56.3%)を占めます。

なお、最高額・最低額をみると、それぞれ「一律」設定で6,000万円・100万円、有扶では3,500万円・500万円、無扶では3,000万円・300万円となっています。

通勤災害の遺族補償内容
一律=1,400万円、有扶=約1,600万円。
最多分布は「1,000万~1,400万円台」

[1]支給水準
被扶養者の有無にかかわらず「一律」設定としている企業(全体の82.6%)の平均値は、1,432万円(前回02年度1,815万円)となりました。前回調査から400万円弱のダウンですが、これは、集計企業・社数の差異等による影響が大きいものとみられます。

一方、「有扶・無扶別」設定における有扶の水準は1,635万円(同1,450万円)、無扶は1,266万円(同1,132万円)となり、02年度と比べると、有扶では185万円、無扶では134万円アップしました。なお、無扶は有扶の7割台後半(77.4%)の水準であり、業務災害とほぼ同程度、02年度と比べても同傾向となっています。

[2]分布状況 [図表2]
設定の主流となっている「一律」の場合、「1,000万~1,400万円台」が28.2%で最も多くなっています。また、「1,500万~1,900万円台」も21.1%あり、1,000万円台に、全体の半数近くが分布していることになります。

「有扶・無扶別」(各15社)をみると、有扶・無扶とも、「一律」設定同様、「1,000万~1,400万円台」が最多(有扶6社・40.0%、無扶5社、33.3%)となっています。有扶では、これと「1,500万~1,900万円台」(4社・26.7%)を合わせて、1,000万円台が66.7%に上ります。無扶では、全体の8割(12社)が「500万~2,000万円未満」に集中しています。

なお、最高額・最低額をみると、それぞれ「一律」設定で3,300万円・100万円、有扶では3,280万円・500万円、無扶では2,780万円・300万円となっています。

図表2 業務災害、通勤災害の法定外死亡遺族補償額の分布状況(一律設定の場合)
図表3 業務災害、通勤災害の法定外死亡遺族補償額の分布状況(一律設定の場合)

注)

* ここでは、労務行政研究所が2008年11月18日から2009年1月16日にかけて、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)のうち、原則として従業員1,000人未満の企業3,039社を対象(ただし、持株会社の場合は、主要子会社を対象としたところもある)として行った調査をもとに、『日本の人事部』編集部が一部をピックアップし記事を作成しました。

調査は「中堅・中小企業調査 業務・通勤災害の法定外補償」と題されたもので、詳細は『労政時報 第3745号』(2009年3月13日発行)に掲載されています。


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