キャリアアップできるなら、転居もOKという女性求職者
転居を伴う、女性の転職 企業側が考えすぎることも――?
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これはチャンスだと思いました
数日後、大阪のスタッフから連絡が入った。
「Nさんですが、ぜひチャレンジしてみたいとのことでした。東京への引っ越しも問題ないそうです。お付き合いされている方がいるのかどうかはさすがに聞けませんでしたが、あの口調なら大丈夫だと思います」
どうもこちらの取り越し苦労だったようだ。P社に推薦すると、もともと候補者が少ない職種ということもあり、すぐに会いたいという。しかも、大阪から何度も来てもらうのは大変なので、一日で1次面接から役員面接まですべて行ってくれることになった。書類選考時点での感触は悪くないようだ。
面接当日、事前に約束したホテルのロビーでNさんと待ち合わせた。
「今日は遠いところをありがとうございます。大阪の担当スタッフが申し上げたと思いますが、最初の2~3年は東京勤務になります。面接では、それでもいいのかという質問が出ると思いますので、しっかりと説明できるよう事前にシミュレーションしておきましょう」
現職は研究職だというNさん。落ち着いているがさっぱりした雰囲気の方で、転居を伴う転職に前向きにチャレンジしたい理由を説明してくれた。
「新しい分野に挑戦させてもらえることが一番の理由です。研究職は希望者が多いわりに受け皿が少なくて、転職を通じてキャリアアップするのが難しいのですが、P社の場合は、本社でしっかり教育してもらえるということだったので、未経験者としてはありがたいです」
聞いてみると、大阪でも実家から独立して住んでいるのだという。
「将来的に関西に戻れるなら、何年間かは東京で働いてみたいと思っていたぐらいなんです。外資系企業で働いてみたいという希望もありましたし…」
Nさんは大学時代に半年ほど留学した経験があり、外資系企業にも興味を持っていたのだそうだ。日本の企業の場合、男女の扱いに差をつけないという原則はあっても、転居を伴うような仕事については、やはり男性をイメージして人材採用を行っているケースが少なくない。
「いいチャンスをもらえたので、ぜひ頑張りたいです」
Nさんと話しながら、女性は地元志向が強いと決めつけているのは、転職を手伝っている私たちなのかもしれないな…そんな気が強くしたのだった。
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