応募先は、紹介会社のコンサルタントに教えるべき?
個人情報と信頼関係
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選考状況を秘密にすることで生まれるデメリットも
人材紹介会社にすでに応募した企業の情報を話したくないという人には、いくつかのパターンがある。
一つめは「不採用になった時に恥ずかしい」というものだ。人材紹介会社にとって、採用・不採用は日常茶飯事なので、特に何も感じないのだが、転職活動をしている人の素直な感情としてはあるのかもしれない。
二つめは「先入観にとらわれずに紹介してほしいから」というパターン。コンサルタントからすれば、応募先への感触や選考で感じたことが違った角度から企業や求人を提案するきっかけになることもあるので、むしろ率直な意見を聞かせてほしいというのが本音だ。
三つめは「個人情報を漏らすことで思いがけない影響が出るのでは」という不安。「強引な人材紹介会社が自分たちの紹介した企業に人材を入社させるために、他の案件をつぶしにいくことがある」といった噂を聞いたことがある、という人もいた。いわゆる「都市伝説」なのだが、転職活動で不安な気持ちになっている人は、警戒してしまうのだろうか。
少し前に転職のお手伝いをさせてもらったCさんも、そんな「教えてくれない人」の一人だった。しかし何社か紹介を進めていくうちに、相談を受けることになる。
「実は来週、G社の最終面接なんです。御社経由で応募しているT社も、同じ週に最終面接ができるようにしていただけないでしょうか」
結果的に、T社の面接を翌週に設定することができた。G社とT社、両方から内定をもらったCさんは、二社の条件を比較した上で、T社への入社を決めてくれたのだった。
「G社からは内定後、三日以内に返事がほしいと言われていたんです。そこで長らく返事を保留にすると、入社意欲が低いと思われて、入社後肩身が狭くなるかなと……。もしT社の最終面接がもっと後になっていたら、焦ってG社に決めてしまっていたかもしれません」
人材を求める企業は、さまざまな駆け引きで候補者を獲得しようとする。こんなとき、さまざまな転職の事例を知っているコンサルタントだからこそ、力になれることもある。何かあったときには頼ってもらえるよう、求職者との信頼関係を築く大切さを、改めて感じた瞬間だった。
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