評価されづらい?「大学院卒」の転職
海外との違いが大きい
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海外では博士・修士の方が即戦力
「外資系企業のほとんどは、日本企業以上に即戦力採用ですが、新卒でも中途でも、博士・修士などの学位取得者の方が有利だと聞いています」
留学経験者で、海外の就職事情を知っている人からは、こうした話を聞くことが多い。たしかに、アメリカなどでは大学院卒の方が有利で、専門分野の学位を持っている場合、新卒でも初年度の年収が8~9万ドルになるというケースもあるという。日本円に換算すると1000万円に近い。それだけ、大学院卒の学位を持つ人材を即戦力として評価しているのだろう。
その理由の一つは、日本よりも海外の大学院の方が、より実務に即した教育が盛んで、学生も熱心に学んでいるからだ。海外の一流大学・大学院の勉強がハードであることはよく知られている。また、海外企業はジョブディスクリプションに基づいてピンポイントで採用するため、学んだ専門性を生かしやすい、ということもある。
「博士や修士が多数活躍している実績があるから、企業もまた採用したいと思うし、優秀な人材が勉強して学位を取ろうとする。海外では、そういう良い循環ができているということではないでしょうか」
「しかし、日本では大学院に行くよりも、これまでの実務経験をアピールした方がいいということですね」
人材紹介会社の転職相談では、どうしても一般論を話さざるを得ない。しかし、納得している様子の転職希望者を見ながら、本当にこれでいいのだろうか、とも考えてしまう。
世界の大企業は、最高の教育を受けた人材をどんどん活用している。海外のユニコーン企業では、経営陣全員が大学院卒という会社も珍しくない。いつまでも「現場たたき上げ」だけが幅をきかせているようでは、日本企業の成長は難しいだろう。
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