若手採用のパラドックス第二新卒はあてはまらない? 企業が求める“すぐに辞めない若手”
せっかく採用した新入社員がすぐに辞めてしまう、という悩みを抱える企業は少なくない。新卒の約3割が入社3年以内に退職している、というデータもある。そのため採用時には“すぐにやめない人材”であることが選考ポイントになっているともいわれる。人材紹介会社で扱う「第二新卒」に対しても、その点を重視する企業は多いが、第二新卒なら当然の“一度辞めた人”であることが問題になることもある。
次は二度と辞めたくないと思うはず
「弊社は第二新卒を含む若手採用に、積極的に取り組んでいきます。ぜひ人材紹介各社にもご協力いただきたく、本日の説明会にお集まりいただきました」
集中的に採用を強化したい企業が、人材紹介会社のキャリアアドバイザーや営業担当を集め、説明会を開催することがある。採用趣旨のプレゼンテーションや、好結果を出した場合のインセンティブの案内などが行われるのが一般的だ。この日は若手採用がテーマということで、第二新卒の募集条件や求める人物イメ-ジなどが詳しく説明された。一通りの説明が終わると質疑応答に移り、何人かが手を挙げた。
「さきほど“すぐ辞めない人”を紹介してほしいというお話がありました。しかし第二新卒は、新卒で入社した会社を1~2年で退職した人がほとんどです。面接の際に“すぐ辞める人ではないか”と、マイナス評価をされてしまうことはないでしょうか?」
サービス業などを中心に、「新入社員が短期間で退職する」という悩みを抱える企業は多い。そのため、面接で応募者の「定着性の高さ」をなんとか見極めたいと、各社とも腐心している。スカウト採用やリファラル採用(紹介・縁故)が注目されているのも、それが理由の一つだ。
「第二新卒は確かに一度退職された方ですが、私どもは、しっかりした考え方を持った人材であれば、一度辞めたことによって“二度と辞めたくない”という気持ちになり、より慎重に企業を選ぶはずだと考えています。むしろ、そこに期待しています」
この企業では、人材紹介会社からの第二新卒紹介を、一種のリファラル採用と位置づけているようだった。キャリアアドバイザーが仕事内容や職場環境を詳しく説明し、本人が納得した上で応募してほしいのだという。
さらに、若手社員の早期退職を防ぐために行われている企業努力について、説明が行われた。サービス業であるため、過去には定着率が良くない時期もあり、さまざまな改善を行ってきたという。現在の離職率は他業種と比較しても決して高くはないと、採用担当は自信を見せていた。しかし、かつて退職者を多く出したことがある企業は、どうしても転職希望者に警戒されてしまう。