社員の才能と情熱を解き放つ、
ヤフー「人材育成関連の施策」の
プロデューサー(前編)
圧倒的なスピードで人事改革を実現した「秘訣」とは何か?

ヤフー株式会社 執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長

本間浩輔さん

人と組織に関心を持った社員が自然と集まってできた「本間塾」

 本間さんが行われている「本間塾」に関して、実施することになった経緯や目的、研修の内容などをお聞かせください。

本間浩輔さん Photo

ある本でヤフーには「安宅塾」と「本間塾」があると紹介されましたが、実は、公式には存在するのは「安宅塾」だけで、「本間塾」は公式ではありません。「安宅塾」は課題解決法を徹底指導するものであるのに対し、「本間塾」はコーチング、リーダーシップ、人間関係構築、組織開発など対象としています。こうしたソフト面に関する相談に乗ったり、勉強会などを開催したりしていました。教えるというよりも、一緒に考えるというアプローチですね。

十人社員がいると、そのうち、二、三人は「人」に対して興味・関心があります。その人たち人や組織マネジメントに関する知識を紹介すると、必死になって勉強し始めます。そういう人にたちが集まって勉強会を始めた時に、「それでは本間さんを呼ぼう」ということになって、私は話をしに行くわけです。こうした現象が、「本間塾」の実態です。

 人の重要性に対する、社内への布教活動みたいなものでしょうか。

私が伝えたかったのは「人を中心とした経営」です。組織は優れた経営戦略で動くのではありません。そもそも企業はさまざまな矛盾を抱えているからこそ、人を一番大切にするべきであるという考えが私のベースにあります。「本間塾」は、このような価値観を持っている社内の人たちをネットワークで結び付けた集合体です。

「本間塾」で話してみて、感じたことがあります。「研修」では乾かすことが重要だということです。のどが乾いてもいなのに、「栄養があるぞ」と言って無理やり飲み物を与えても、人は飲もうとはしません。同じように、上司が部下との関係で悩んでいるからこそ、人とのコミュニケーションの取り方、部下との関係構築をどうするかを、自ら学ぼうとするわけです。このように「本間塾」は人の問題に困っている人が集まって、皆で考え話し合って議論を深めていく場であり、一つのインナーコミュニティーであると言えます。

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