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先送りされてきた雇用の問題とは?「労働ビッグバン時代」における人事・賃金の課題

2007年の通常国会が始まるとき、『労働ビッグバン』が最大のテーマになると考えられていました。終戦直後の1947年に労働基準法ができて以来、60年ぶりの大改正が行われる予定でしたが、議論は混迷し、安倍内閣の崩壊もあり、雇用改革は途中まで進んだところでいったん止まってしまいました(いわゆる「雇用ルール改革6法」のうち、改正雇用対策法、改正雇用保険法、改正パートタイム労働法が成立。継続審議となった改正最低賃金法、労働契約法は2007年11月の臨時国会で成立。改正労働基準法は未成立)。これら法改正の動向等を踏まえながら、今何が問題となっているのかを整理してみましょう。

日本型人事システムの終焉と残された雇用問題

(1) 「日本型人事システム」とは

戦後のわが国の雇用制度は、終身雇用と年功序列制をベースにしていました。これは高い成長が継続し、企業規模が拡大する状況で、製造業にふさわしい制度でした。学校卒業と同時に企業に就職し、序列の一番下から順番に仕事を覚えながら誰もが課長や部長など一定のレベルに達することができる、安定的で平等な仕組みだったともいえます。技能の伝承もこのような安定的制度の下で円滑に進んできたのです。

会社は最後まで生活に必要な所得を保障する代わりに、仕事の内容や場所は人事当局に一任、本人の希望にお構いなく辞令ひとつでどこへでも行かされる。「すべて会社に任せよ、決して悪いようにはしない」という暗黙の了解が前提で、日本型人事システムが成り立っていたのです。

上記の前提はこの10年の間に崩壊しました。バブル崩壊の後、日本を代表するような銀行が次々と倒産し、生き残った企業も厳しいリストラを実行せざるを得ない状況に追い込まれたのです。合併してポストが大幅に減り、格下げになる管理職職員も珍しくはなくなりました。

社員は会社に任せては安心できず、自分で人生設計をせざるを得なくなりました。人生の中途で会社から追い出された人は新たに仕事を探さざるを得ませんが、そのような労働市場は日本にはほとんどない状況でした。中途採用の場合それまでの経験やスキルが十分に評価されることは少なく、能力の高い労働者は外資系企業に新たな活躍の場を求めることとなったのです。

(2) 「サービス経済化」の進展による影響

90年代に起こった変化はこれだけではありません。他の先進国と同じように日本でもサービス経済化が進みました。工場労働者のように朝8時から夕方5時までと決まった労働時間ではなく、早朝から深夜に至る幅広い時間帯での勤労が求められ、産業構造の変化のスピードは加速し、労働者を衰退部門から成長の見込める分野にすみやかに移動させる必要が高まりました。さらに女性が労働市場へ進出するに伴い、出産、子育てや家事の負担と仕事をどうバランスさせるのか、といった新たな問題が90年代に集中的に顕在化してきました。

コスト削減を急ぐ企業では長時間労働やサービス残業が蔓延し、「過労死」という言葉に表されるような事態が頻発しました。長時間労働に疲れ、給与をカットされた若者は結婚、出産を控えるようになり、出生率は急速に下落、高齢化は世界一のスピードで進んでいきます。そして、グローバル化や情報技術の進歩についていけない人々は社会の底辺に放置され、家に引きこもり、ニートになっていったのです。

一方で企業は過剰債務、過剰設備、過剰雇用の整理に忙しく、労働者の生活の向上は今日まで先送りされてきました。日本企業の雇用慣行は明らかに時代の変化についていっていません。その結果、一流大学を卒業した優秀な若者の間では、日本企業や中央官庁ではなく、外資系の証券会社やコンサル会社に行くのが最も人気があるのが実状です。

(3) 失業率の上昇と下がった賃金

90年代の後半から労働市場で何が起こったのか、データで確認するとこの時代が労働者にとっていかに苦しい時代であったかがわかります。まず失業率で見ると、1990年には2%であったのが、その後徐々に上昇し、2002年には5.4%に達しました。その後景気の回復とともに低下しましたが、最近でも4%程度であり、かつてのレベルにまでは下がってはいません。

求人と求職の比率を表す有効求人倍率は1992年から2005年までの13年間、1を下回りました。企業は過剰な労働者を削減するため、新規採用を減らしました。大学卒業者にとっての「就職氷河期」といわれたゆえんです。

そして何よりも労働者が手にする賃金が下がり始めました。これも1997年をピークに2004年まで連続して下落しました。先進国では賃金が国全体として下がること自体が珍しいことですが、このように長期にわたって下落が続くことはきわめて異例のことであり、それだけ日本の不況が深刻であったことを物語ります。この間、企業収益は2002年を底に急回復を遂げたため、付加価値に占める労働の取り分、すなわち労働分配率は下落することになりました。2002年から今日まで続く戦後最長の景気回復にあって労働者がほとんど利益を得ることがなかったのは否定しえない事実です。

今後2%程度の成長しか望めない日本経済の中で、企業の競争力を維持しつつ、労働者の生活の改善を確保するための制度はどのようなものか、これが2007年の「労働ビッグバン」に求められた課題です。

(4) 規制緩和か規制強化か

労働市場改革の問題を難しくしているのは、改革の方向という根本問題について経営側と労働側の意見が対立しているのみならず、学者の間でも意見が分かれていることです。また、今までの制度変更がもたらした効果や諸外国での経験についても評価が分かれています。

一般的に見て労働側では解雇を規制したり、残業や最低賃金について政府が規制したりすることで労働者の利益を守ろうとします。これに対して経営側は、労働市場において自由に労使間で物事を決定できるフリーハンドを確保したいという考えが強いでしょう。

この10年間で労働市場での最大の変化は派遣労働者の増加です。派遣労働者は企業側から見ると正規社員に比べてコストが3分の2程度と安く、必要なくなればいつでも解雇できるため、90年代を通じて急速に拡大し、90年代初めは20%程度であったものが現在では全労働者の3分の1を占めています。

もともとは建物の清掃やプログラマーなど特殊な職種に対してのみ認められた制度でしたが、数回の法律改正を経て1999年にすべての業種に適用可能になり、以降全業種で派遣社員が広まりました。これは雇用の拡大には大いに貢献しましたが、90年代後半以降毎年給与が減少していく元凶ともなったのです。ワーキング・プア、ネットカフェ難民という言葉が広まるほど、底辺の労働者の生活条件は悪くなっています。

2007年通常国会における法案審議

(1) 雇用ルール改革6法

2007年の国会で議論されたのは、改正雇用対策法、改正雇用保険法、改正パートタイム労働法、改正最低賃金法、労働契約法、改正労働基準法の6法案であり、前述の通り、そのうち前者3法は夏までに成立しました。議論の多かった残りの後者の3法につき、その主な論点をご説明します。

(2) 改正最低賃金法

まずは最低賃金法。改正のポイントは「生活保護との整合性に配慮する」という条文を入れることでした。現在の最低賃金は県によっても異なりますが、1時間 当たり610円から719円です。これだと月の手取りは10万円程度にしかならず、生活保護支給額よりも低くなる場合が少なくありません。働いている人間 の収入が、働かない生活保護受給者より少ないのは制度としてはおかしいので、「整合性に配慮する」という文言が法律に入れば、最低賃金を大幅にあげる必要 が出てきます。

経営基盤の弱い中小企業や最低賃金ぎりぎりの賃金が少なくない地方ではこの影響は大きく、倒産に追い込まれる企業も出る可能性があります。特にこのような低い賃金は女性、パート、臨時雇いなどの職種、業種ではタクシー、クリーニングなどサービス業に多く見られます。他方で野党はこの文言ではあいまいで、より明確な全国一律の最低賃金を法律で決めるとの主張をしたため、通常国会では通りませんでしたが、その後の与党と野党との交渉で「健康で文化的な最低限度の生活ができるよう配慮する」との文言に変更することで合意し、2007年11月に成立しました。

(3) 労働契約法

次に労働契約法です。解雇の易しさ、難しさは労働市場の機能を高める上で決定的に重要です。産業構造や技術の変化が激しく、企業が潰れたり誕生したりすることが頻繁に起こるようになると、経営側としては不必要になった労働者は迅速に解雇できることが望ましいでしょう。解雇が難しいと採用するときも慎重にならざるを得ず、派遣労働者やパートタイムに依存せざるを得ませんが、それではお互いに不安定で、技術の習得も円滑にいきません。逆に労働の側からすると、いつ解雇されるかわからないようなことでは困ります。

そこで解雇に関するわかりやすいルールが必要になるのですが、日本にはそのようなルールはなく、古い判例がかろうじて参考になる程度でした。実際には日本はヨーロッパ大陸諸国と同様に解雇は難しく、そのことが新規の正社員採用を妨げている、と考えられています。OECDも2007年3月にそのような趣旨の勧告を日本に対してしています。そこで労働契約法を新たに制定して、解雇をしやすくするとともに、そのための条件を明確にし、恣意的な解雇を防ぐことが提案されました。

この改正法案も夏時点では労働側の賛同が得られず継続審議となりましたが、その後の与党と野党の交渉で「就業の実態に応じた均衡」、「仕事と生活の調和」を確保する内容で2007年11月に成立し、2008年3月1日からの施行となっています。

(4) 改正労働基準法案

最後に労働基準法の改正法案です。これは時間外労働(残業)の割増賃金の割増率の引上げがポイントです。現在は、残業代は通常時間の25%増しとなっています。しかるに日本では長時間の残業が恒常化しているため、割増率を上げることで、企業側の負担を増やし、ひいては残業を減らすことを狙ったものです。

しかしながら実際の引上げ幅については野党および労働側が欧米並みの50%を主張したのに対して、政府の提案は経営側の抵抗も考慮して月80時間を超える分についてのみ50%アップとする、としました。しかし残業が月80時間を超えるのは極めて異常なケースで、労働側は法律改正の意味がないとして反対したため、通常国会を通過せず継続審議となり、秋の臨時国会でも成立しませんでした(現在も継続審議中)。

(5) ホワイトカラー・エグゼンプション

このように労働制度を改正するための法律は6本のうち5本がすでに成立しました。しかし対立点を回避するためあいまいな妥協が目立ちます。法律変更の効果は今後これらの法律がどのように実施されるのかにかかっています。

もう1つ、今年話題となったのは「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼ばれる、管理職に対する残業代の不払い制度ですが、もともと管理職は仕事の手順を自分で決められるはずだからか、残業がいやであれば通常の勤務時間内に完了するようにすれば良いし、自分の判断で遅くまで仕事をするなら、それに対して残業代を払わなくてもよい、というのが考えの基本で、外国でも見られる制度ではあります。

しかし部下を持たない管理職も多く、また実際には管理職といえども、トップに近い人たちを除けば仕事の量や手順を自由に選べるわけではありません。結局、この項目は若い管理職の残業代をタダにするだけの内容ということで労働者の反対が特に強く、法案自体が国会に提出されることなく放棄されました。

これからの賃金をどう考えるか?

(1) 働く人が実感できない経済成長

今回の景気回復は従来とは異なる点がいくつかあります。戦後最長の90年代不況の後、ようやく正常な成長路線に戻った日本経済ですが、それは80年代までの実質5%程度の成長にはほど遠い低成長経済です。戦後最長の好景気といわれても名目での成長率はマイナスで、ほとんど実感の伴わない成長です。しかもデフレが続いています。にもかかわらず、企業収益だけは過去最高の水準を5年連続で更新しました。このような予想外のことが可能になったのは、賃金が名目的にも実質的にも切り下げられたことによります。

この点を分析するために、通常一単位を生産するのに必要な労働のコスト(通常、「単位労働コスト」と呼ばれる。ここではUnit Labor Cost、「ULC」と略する)が使われます。この変化率は賃金の伸び率から生産性の伸び率を差し引いたものとなりますが、賃金と生産性の変化率が一致していれば、賃金の伸びは生産性で吸収され、ULCはゼロとなります。仮に前者のほうが高ければ、ULCはプラスになりコストは上昇し利益が圧迫されますが、企業としては際限なく利益を削減することはできないため、いずれ物価上昇になるでしょう。通常先進国経済ではULCはプラス1~2%、すなわち賃金が生産性よりもわずかに高い速度で上昇し、マイルドなインフレとなるのが普通です。

ところが、わが国では90年代後半から賃金が下落しはじめましたが、その間も生産性は改善したため、単位労働コストが大幅にマイナスとなりました。図で示したように、これはほかの先進国には見られない、極めて特異な現象ですが、このことは企業収益を改善する効果を持ちます。2002年から3年にはマイナス4%程度にまで下がったため、これだけでも年20兆円の企業利益になります。このうちの一部を製品価格の引き下げにまわせば、デフレと企業収益の改善が同時に起こります。これがデフレ下での収益改善を可能にした最大の要因です。

このような状況が2003年度から2007年度まで続き、毎年最高収益を記録し、それを不良債権の処理や、借入れの返済に充てることにより、企業の財務内容はバブル崩壊以前のレベルにまで回復したのです。

単位労働費用(賃金上昇率─生産性上昇率)

(2) 引き続き下がり続ける賃金

5年続いた最高の収益のおかげで、日本企業はバブル崩壊で失った企業資産を回復することができました。銀行の不良債権比率は正常値である1.5%に下がり、マクロで見た需給ギャップも2006年末をもって解消しました。これからは賃金決定の基本である生産性に見合った賃金が払われるべきであり、これについては経営側も異存はないはずです。

昨年の冬頃に、経済同友会の北城代表幹事は新聞紙上で「生産性に見合った賃金」の必要性を説いていました。発言の趣旨は、生産性を超えるような賃金引上げ要求はすべきではない、ということであったと思いますが、2007年の春闘での平均賃金上昇率は、経済団体連合会の調べでは大手企業平均で1.9%です。中小企業も含めればおそらく1.5%にも達しないでしょう。これでは平均的な生産性上昇率である2%を下回っています。

景気の回復にもかかわらず、最近は再び賃金の下落傾向が鮮明になっています。名目の現金給与総額は2006年12月以降今日まで前年比マイナスです。戦後最長の景気回復が続き、過去最高の利益が5年も続き、失業率も低下し、有効求人倍率は1を超えています。大卒の新規採用はバブル期を超える売り手市場です。しかるに賃金だけは下がっているという事態は、理由は何であれ異常と考えざるを得ません。

(3) 目指すべき賃金上昇率は?

2002年から始まった景気回復は円安、金利安、賃金安の3つの「安」という補助装置をつけての回復でした。曲がりなりにも健康体を回復した以上、これからは徐々にこれらの補助装置を外していく必要があります。すでに円安は11月に入って急速に修正モードに入りました。日銀はかねてから金利の正常化、すなわち利上げの機会を窺っています。賃金についても引上げの方向で検討すべきでしょう。

それでは、来年度の賃金上昇率はどの程度が適当なのでしょうか。日銀が2007年11月1日に公表した「経済・物価情勢の展望」によれば、日銀政策委員の大方の見方として2008年度の実質経済成長率は2.1%です。人口増はないのでこれは生産性の上昇率と同じです。消費者物価は0.4%の上昇とされており、これらから見て来年度の名目成長率は2.5%程度でしょう。仮にULCの1%程度の上昇を許容するとすれば、来年度の賃金上昇率は3.5%程度を見込んでも良いのではないでしょうか。もちろんこれは平均値での議論であり、これを上回る企業もあれば、下回る企業もあるでしょう。仮に景気が予測より減速する場合には、年度途中にボーナスで調整することも可能なはずです。

筆者自身は賃金交渉に参加した経験はないので詳しいことはわかりませんが、実際には春闘ですべてが決まってしまうわけではないようです。日本経団連の資料によれば2007年春の労使交渉では大手企業で1.9%、中小企業では1.64%のアップになりました。しかし、労働者が受け取る賃金は2007年4月以降も前年同月比でマイナスが続いており、春闘の成果は統計にはほとんど表れていません。これには多くの要因が絡んでいます。

1つは企業別組合形態をとる日本の場合、春闘の成果は組合組織の弱い、あるいはない産業や企業には及ばないということです。労働組合組織率が20%以下と国際的に見て著しく低く、春闘交渉の意義がそもそも乏しいのです。ヨーロッパ諸国でも近年組合組織率はかなり下がっていますが、賃金交渉のカバー率は8割にもなり、中央での交渉結果が末端にまで反映される仕組みになっています。

(4) 団塊世代の退職の影響

この1~2年顕著な傾向として、いわゆる「2007年問題」があります。昭和22年、23年生まれの団塊の世代がちょうど今年、来年で60歳の定年を迎えています。これらのうちかなりは嘱託などの非正規社員として会社に留まっていますが、その賃金は依然より大幅に低く、その結果全体の賃金水準が下がっています。大学・大学院卒業予定者の就職戦線が売り手市場化し、初任給も上がっているはずなのに、全体として賃金が上がらないのにはこのような事情があると考えられます。

60歳になった人がその後も会社に留まり、以前よりも安い賃金で雇用されるのは悪いことではありません。年金支給開始時期が65歳に引き上げられていくので、60歳を超えて働く必要は明らかです。日本の年功賃金は若いうちは会社への貢献度よりも低い賃金しか貰えず、年とともに上昇し、高齢になると生産性が下がっても賃金だけは高止まりする、という構造でしたが、これは終身雇用があってはじめて維持可能な制度です。

しかるにバブル崩壊後の10年間、日本を代表する大企業でもリストラが行われました。もはや年功とともに上昇する賃金体系は維持不可能で、労働者も途中で転職することを前提に考えれば、各時点で会社への貢献に見合った賃金を受け取る構造にすべきであり、一定の年齢以降は年とともに賃金が下がるような仕組みが良いでしょう。子供が独り立ちした後はそれほど高い給料は要らないはずです。逆に子育てや学齢期の子供を抱えた働き盛りの勤労者にはもっと給与を出すべきです。

バブル崩壊後の賃金動向を見ると、若い人の賃金が大きくカットされています。これが少子化のひとつの原因であることは間違いありません。したがって、今後の賃金交渉にあたっても、このような若い人の賃金を最優先に考えることが不可欠だといえます。

おわりに~正しくない中国責任論~

最後に、このところよく耳にする議論についてコメントしておきたいと思います。それは「グローバリゼーションの結果、日本の労働者は中国など隣国の安くて優秀な労働力と競争することになる。だから賃金が上がらないのはやむを得ない。」というような議論です。

経済学者は要素価格均等化定理を持ち出して、かかる考えの正しさを強調します。筆者もそのような理論に魅力を感じますが、経済学の定理は現実の市場で起こることと合わないことが多いものです。仮に中国の安い賃金ゆえに日本の賃金が下落しているのであれば、日本以上に中国から輸入している米国やヨーロッパの賃金も日本と同様下落するはずですが、現実にはそうなっていません。さらに中国の安い賃金の影響は貿易が行われるモノの分野、すなわち製造業に現れるはずで、貿易のないサービス業は関係ないはずです。

ところが2000年から5年までの間、日本では製造業の賃金が3.2%上昇したのに対してサービス業では5.4%下がっています。理論とは逆の結果となっているのです。米国でも同じような実証分析が行われましたが、繊維のように中国との貿易で直接的な影響を受けた産業の賃金が下がったという結果は出ていません。日本の労働界は経営側のプロパガンダにうまく乗せられてしまったとの感が否めません。

日本法令発行の『ビジネスガイド』は、1965年5月創刊の人事・労務を中心とした実務雑誌です。労働・社会保険、労働法などの法改正情報をいち早く提供、また人事・賃金制度、最新労働裁判例やADR、公的年金・企業年金、税務などの潮流や実務上の問題点についても最新かつ正確な情報をもとに解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2008年2月号の記事「『労働ビッグバン時代』における人事・賃金の課題」を掲載します。『ビジネスガイド』の詳細は日本法令ホームページへ。

【執筆者略歴】
●根津利三郎(ねづ・りさぶろう)1970年東京大学経済学部卒業後、通商産業省入省、1975年米・ハーバード大学ビジネススクール卒業、1995年OECD科学技術産業局長、2001年株式会社富士通総研 常務理事、2004年より現職。

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【用語解説 人事辞典】
ADR
同一労働同一賃金
給与公開制
高度プロフェッショナル制度
ギグ・エコノミー
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無期転換ルール
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