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管理職でも埋まらない男女の年収差。5カ国比較で見る❝日本の見えない課題❞

リクルートワークス研究所 研究員
石川 ルチア氏

管理職でも埋まらない男女の年収差。5カ国比較で見る❝日本の見えない課題❞

日本では、男女の賃金格差が大きいことがOECDなどのデータで示されている(※1)。この課題是正に向けて、政府と企業がさまざまな取り組みを進めている。その1つが女性の管理職登用を増やす施策であるが、同じ役職についていても男女間の年収には差がある。

リクルートワークス研究所が実施したGlobal Career Survey 2024 (GCS 2024)では、日本とドイツ、フランス、英国、米国、中国、スウェーデンで雇用されている30代・40代の大卒者に年収を聞いた。その回答を基に、レポート「日本型雇用の問題は何か」で7カ国における男女の年収格差の要因を分析したところ、年齢、学歴(大卒・院卒)、勤続期間、週労働時間、雇用契約(無期・有期)、職種、企業規模、業種、さらに役職といった要素をそろえた場合でも、日本の男女間には約24.3%の年収差が残ることが明らかとなった。同じ条件で英国も約27%残ったが、フランスは約11.7%まで年収差が縮小し、ドイツおよび米国は2%前後と男女差がほぼなくなった。日本の男女間格差は、多くの主要国に比べて顕著であることがわかる。

日本、ドイツ、フランスでは同じ役職なのに男女で年収差がある

役職ごとの男女の年収差を確認しよう。紙幅の都合上、7カ国のうちドイツ、フランス、英国、米国の4カ国と日本を比較する。これらは先進国の中でも経済規模が大きく、制度面や雇用慣行においても比較研究の対象として頻繁に用いられる国々である。

年収の平均値を確認すると、日本とドイツでは、部長・課長クラスと係長・主任クラスのいずれにおいても男女間に年収差が認められ、フランスでも部長・課長クラスで男女間の年収差があった(図表1)。米国では性別による年収差が統計的に有意でなく、英国の部長・課長クラスでは女性の方が男性よりも年収が高かった。前述の要因分析の結果と差異がある理由は、要因分析では学歴や勤続年数、職種など、年収に影響しそうな条件をそろえたうえで、性別だけの違いがどのくらい年収に影響しているかを見ているが、図表1は役職クラスごとの平均年収を比較したものだからである。つまり、英国では業種や職種、企業規模などが男女で同じ場合は年収差があっても、役職クラスだけで比較するならば、女性の方が高い年収を得ることは珍しくなく、男女格差がほぼないとこのデータでは言うことができる。

英国では役職内の男女差が目立たない一方で、日本やドイツ、フランスでは、同じ役職についていてもなお、年収に有意な男女差が存在する。日本では格差解消のために女性管理職を増やすべきという論調が多く見られるが、これら3カ国のデータを踏まえると、そうした努力が格差の解消には直接的につながらない可能性がある。

図表1 男女の年収の平均値(国、役職別)
図表1 男女の年収の平均値(国、役職別)

(*)男性と女性のサンプルの平均値を比較して、統計的に有意な差があるかどうかを判断するt検定を行った。結果、5%水準で有意であり、男女間で差があると解釈する。
(†)サンプルサイズ100未満のため参考値とする(※2)

日本の管理職は男女で裁量の違いがない

なぜ、同じ役職についている男女で年収に差があるのか。背景として考えられるのが、役職のレベルは同じでも、担っている責任や裁量の範囲に男女差がある可能性である。管理職は、役職が上がるごとに責任や裁量が増え、賃金も上昇する。そのため、男女で仕事の範囲や裁量の大きさが違うとしたら、それが年収格差の一因になっている可能性がある。GCS 2024には、仕事の責任範囲や裁量を直接測定する設問はなかった。そこで、仕事において「指示を仰いで進める/自分で決めて進める」割合を合計が100%となるように尋ねた設問を使い、裁量の違いを間接的に測った。

分析の結果が図表2である。真ん中の点が仕事を「自分で決めて進める」割合の平均値で、上下の線は回答者の大多数がその範囲内にいることを表している。ドイツとフランス、英国では、部長・課長クラスで男性の平均値が女性を大きく上回った。係長・主任クラスでは男女差が小さく、男性は役職が上がると裁量も広がる傾向があったのに対し、女性の裁量は役職が上がってもほぼ変化しなかった。これら3カ国では、特に上位職で裁量に男女差があり、それが年収格差と関連している可能性が窺えた。一方日本では、どちらの役職クラスにおいても「自分で決めて進める」割合の平均値に男女差は見られなかった(部長・課長クラス 男性8.46、女性8.67、係長・主任クラス 男性7.63、女性7.79)。

図表2 仕事を「自分で決めて進める」割合の平均値(12点満点)
図表2 仕事を「自分で決めて進める」割合の平均値(12点満点)

(*)男性と女性のサンプルの平均値を比較して、統計的に有意な差があるかどうかを判断するt検定を行った。結果、5%水準で有意であり、男女間で差があると解釈する。
(†)サンプルサイズ100未満のため参考値とする(※2)

つまり、日本の課題は欧州の3カ国と異なっている。同じ役職についている男女の裁量がほぼ同じでも年収には差があるということは、「女性の方が裁量が小さいから年収が低い」との説明は日本にはあてはまらないのである。

役職だけでは見えない、女性管理職の配置と報酬の偏りを見直す

ドイツ、フランスと日本の部長・課長職では、同じ役職でも男女に年収差がある。欧州の場合は、女性の裁量が低く抑えられていることが関係しているようである。しかし、日本の場合は裁量に違いがないのに年収には差があり、同じ仕事に対して同じ報酬が支払われていない可能性がある。これまでの研究でも、条件をそろえてもなお残る日本の男女格差について、決定的な要因はまだ明らかになっておらず(※3)、不透明な部分が多いだけに深刻な課題と言える。

現在、女性活躍推進法により、従業員数301人以上の企業には男女賃金の差異の公表が義務付けられている。ただし、必須なのは正規・非正規に分けたデータと限定的である。公表に加えて、企業が女性を管理職に登用する際に、前職での低い給与額をベースにしていないか、補助的な部門や人数・予算規模の小さい部門に偏っていないか、などさまざまな視点での検証が求められる。つまり、日本では勤続期間や役職といった属性データの検証では不十分で、各社は報酬の決め方や配属の実態といった運用を丁寧に分析して偏りを是正する必要がある。

米国では給与履歴を禁止する法律(Salary History Bans)があり、カリフォルニア州やニューヨーク州など22州と24都市で採用時に応募者の給与を尋ねることを禁止している(※4)。過去の給与に基づいて賃金を決めると、既存の格差がそのまま反映されてしまうためである。また、1つの役職に給与レンジがある場合に、その中で昇給するための基準を社員に開示することも有効とされている(※5)。日本企業において、女性の管理職を増やす際には、同時に賃金格差の是正にも取り組むことが期待される。賃金の公平性は、組織の信頼性や人材確保にも関わる重要なテーマである。制度や運用を見直し透明性を高めることが、管理職における男女格差の是正だけでなく、すべての働き手が納得感を持てる職場づくりへの第一歩となるだろう。

(※1) OECDによる2023年の発表では、フルタイム雇用者の男女賃金格差が日本はOECD加盟国で3番目に大きく、22%である。
(※2)5カ国の役職クラスごとの男女別回答者数は下記のとおり。

図表3 5カ国の役職クラスごとの男女別回答者数

(※3)たとえば鈴木(2023)は、英国と比較して日本では女性がスキルを高めても高賃金の職につく傾向が弱く、性別の違いが賃金格差に直接影響していると指摘している。また、Pennerら(2023)の同一企業内で同じ職種につく男女を対象とした国際比較研究では、調査対象の15カ国の中で日本の男女間賃金格差が最も大きく残った。
(※4)HR DIVE(2025) ❝Salary history bans: A running list of states and localities that have outlawed pay history questions❞
(※5)SHRM(2024)❝Managing Pay Equity❞

リクルートワークス研究所

リクルートワークス研究所は、「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」を使命に掲げる(株)リクルート内の研究機関です。労働市場・組織人事・個人のキャリア・労働政策等について、独自の調査・研究を行っています。
https://www.works-i.com/

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