企業における女性活躍支援の最新実態
女性管理職比率は平均4.9%、数値目標を設定している企業は19.8%
4 女性社員の育成、キャリア形成支援に向けた取り組み
女性社員の育成やキャリア形成に向けた研修[図表15〜16、事例4]「新入社員研修」38%、「中堅年次(入社3〜5年程度)での研修」が34%
入社時や管理職昇格前といったタイミングで行う階層別研修で女性社員の育成やキャリア形成を目的とした研修を実施しているかどうかを聞いたところ(複数回答)、「新入社員教育での研修」で実施する企業が38.2%、「中堅年次(入社3〜5年程度)での研修」が34.3%あった[図表15]。総じて役職が上がるほど、女性社員を対象にした研修は減っている。キャリア形成に向けた研修の内容は[事例4](省略)のとおり。
こうしたキャリア形成に向けた研修に関連して、職場の上司はどう関わっているかを聞いたところ(複数回答)、「研修結果や作成物等が上司へ情報提供される」が36.3%で最も多く、以下「上司自身が意識啓発等の研修に参加する」33.1%、「本人の育成計画作成などに関与する」32.3%と続いており、「職場の上司は関与しない」という回答は9.7%と少数にとどまった[図表16]。キャリア形成に際して、上司を巻き込んで進めていくことの重要性を企業が認識していることがうかがえる。
「(女性)部下育成」「両立支援」に関する上司(管理職)への評価項目・研修の設定状況[図表17〜18、事例5]「現在設けている」9%、「今後設ける予定」23%
上司(管理職)の評価項目・研修に「(女性)部下育成」「両立支援」を「現在設けている」企業は8.7%、「今後設ける予定」は23.2%であった[図表17]。具体的な評価項目・研修の内容については30ページの[事例5](省略)のようになっている。
一方、性別に関わりなく公平な人事考課を実施するため、上司(管理職)への評価者研修を「現在行っている」企業は58.0%であり、特に1000人以上の大手では7割を超えている[図表18]。
職場の上司、男性社員への意識・行動変革研修[図表19、事例6]現在取り組んでいる企業は18%、今後取り組む予定は42%に上る
女性社員の活躍推進のためには、女性社員自身の意識を変えることはもちろんだが、職場の上司や周囲の男性社員の意識や行動を変革することが重要になる。職場の上司、男性社員への意識・行動変革研修に「現在取り組んでいる」企業は17.9%、「今後取り組む予定」は41.5%見られた。意識・行動変革研修の対象層と取り組み開始時期、対象層、内容については[事例6](省略)のとおり。
「ロールモデル」となる女性社員との接点づくり[図表20〜21]現在実施している企業は19%、今後実施する予定も30%に及ぶ
当研究所が2015年3月に20〜50代のビジネスパーソンの女性を対象に行った「働く女性の仕事と家庭、企業の取り組みに関するアンケート」では、キャリアアップする上での職場環境面の不安として、「仕事と家庭の両立をしながらキャリアアップしている女性がいない、少ない」を挙げる声が最も多かった(第3888号-15. 5. 8/ 5.22)。女性社員の意識を前向きにしていくために、「ロールモデル(自分にとって具体的な行動や考え方の模範や学習する対象となる人材)」となる同性の先輩社員の存在は大きい。
「ロールモデル」となる女性社員との接点づくりを「現在実施している」企業は19.3%、「今後実施する予定」も29.5%見られた[図表20]。
接点づくりの内容(複数回答)としては[図表21]、「社内報や社内WEB等を通じて、ロールモデルの働き方を紹介」が67.5%と最も多い。次いで「ロールモデルとなる女性先輩社員がキャリア研修等で話す機会を積極的に設ける」55.0%、「社内報や社内WEB等を通じて、ロールモデルの生活や両立状況を紹介」52.5%が続いている。
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