人事評価制度の最新実態
~制度の改定や評価関連施策の実施状況、処遇への反映~
評価基準等の公開、評価結果のフィードバック、評価者訓練の実施状況
評価基準等の公開
8割以上の企業が評価基準等を公開している
90年代後半から2000年代にかけて、成果や業績志向を掲げた人事制度の導入が相次ぎました。それと同時に、被評価者にとって透明性・納得性のあるオープンな評価システムの構築も求められるようになりました。
そこで、評価の実施要領・基準等の公開状況を尋ねたところ、「公開している」企業は80.3%に上りました。規模別に見ると、1000人以上88.6%、300~999人81.8%、100~299人75.0%、100人未満65.0%と、規模が大きいほど公開している割合が高くなっています。
「公開している」場合の公開の対象は、87.3%が「全社員」で、「管理職のみ」(6.9%)や「一般社員のみ」(4.9%)など限定して公開している企業は少数となっています。
公開している内容を一般社員の場合について尋ねたところ(複数回答)、「評価項目」(97.5%)、「評価の実施要領」(95.6%)はいずれも95%以上、次いで「評価基準・着眼点」85.8%、「評価シート(考課票)そのもの」78.4%、「評価項目ごとの配点・ウエート」75.0%と続いています。
評価結果のフィードバック
87.4%がフィードバックを実施
評価基準等の公開と同様、評価結果に対する納得性を高める上で、評価結果のフィードバックは有効といえます。また、単に評価結果を伝えるだけではなく、改善点の明示など本人の気づきを促し、育成に役立てる企業も少なくないとみられます。今回の調査でも、評価結果を何らかの形でフィードバックしているのは87.4%に上っています。
フィードバックしている場合のフィードバックの対象者は、「全社員」が89.6%と際立っていて、「一般社員のみ」は5.4%。「管理職のみ」「希望者のみ」「会社・上司が必要と認めた者のみ」は、いずれもわずかにとどまりました。「その他」の内容としては “目標管理制度の対象者(係長以上)のみ” “1次評価と最終評価の結果が異なる場合” “問い合わせがあった場合” などが挙げられています。
一般社員について、フィードバックの方法を見ると、「記入済みの評価シート(考課票)を用いて説明」が56.3%、「フィードバックシートを作成して説明」は8.1%となり、「口頭での説明にとどめる」は27.0%でした。なお、「その他」(8.1%)として “給与通知書に記載” が複数見られました。
また、フィードバック面談の実施状況について尋ねたところ、91.0%とフィードバックを行う企業のほとんどで面談を実施しています。評価者と被評価者の意識のズレを防ぐとともに、部下育成につなげるために、必要な施策と位置づけられていることがうかがえます。
面談を実施している企業における目安時間の設定状況を見ると、「15分以上30分未満」が37.1%で最も多く、次いで「30分以上1時間未満」が23.3%でした。忙しい管理職が多い中で、面談時間の捻出に苦労している様子が見て取れます。ちなみに「目安時間は定めていない」は30.2%でした。
評価者訓練の実施状況
3分の2近くが実施。1000人以上では8割以上が実施
評価結果のバラつきをなくし、より公正で納得性の高い人事評価を実施するために、評価者訓練を実施する企業も多くなっています。評価制度をより意義あるものにするために、評価基準の公開や評価結果のフィードバックとともに有用な施策といえるでしょう。
今回の調査では、64.6%と3分の2近くの企業が評価者訓練を「実施している」と回答しました。特に1000人以上では81.4%と多数を占めます。一方、100人未満での実施割合は40.0%にとどまり、規模による格差が顕著となっています。
評価者訓練を実施している企業の評価者訓練の実施内容については(複数回答)、「“評価者訓練” として独立して実施」が50.0%、「管理職登用時の研修で実施」が46.3%などとなっています。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください → 「WEB労政時報」体験版
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。