人事評価制度の最新実態
~制度の改定や評価関連施策の実施状況、処遇への反映~
評価制度の現状はどうなっているのか、また、運用はどのように行われているのか、企業の課題認識にはどのようなものがあるか――。これらを探るべく、一般財団法人 労務行政研究所(理事長:矢田敏雄)では、2014年5月に、企業に対しWEBアンケートを実施しました。本記事では、制度の改定状況、評価関連施策の実施状況などを紹介します。
※『労政時報』は1930年に創刊。80年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌です。ここでは、同誌記事の一部抜粋を掲載しています。
◎調査名:「人事評価制度の実態と運用に関する調査」
1. 調査時期:2014年5月14~23日
2. 調査対象:『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した人事労務・総務担当者の計6694人
3. 調査方法:WEBによるアンケート
4. 集計対象:254社(1社1人)
人事評価制度の改定状況
2010年以降における改定状況
一般社員、管理職とも約半数が何らかの改定を実施
2010年以降に人事評価制度に関する改定(見直し、新制度の導入など)を行ったかどうか尋ねたところ、「改定した」企業は一般社員で46.5%、管理職で49.6%でした。
一般社員について規模別に見ると、「改定した」は1000人以上41.4%、300~999人45.5%、100~299人52.6%、100人未満45.0%と、100~299人で多くなっています。管理職は、1000人以上50.0%、300~999人48.9%、100~299人51.3%、100人未満45.0%と、100人未満が少なく、ほかは規模による違いは大きくありません。
産業別では、製造業では一般社員41.5%、管理職43.1%に対し、非製造業は一般社員51.1%、管理職55.7%と、非製造業のほうが製造業よりも10ポイント前後割合が高くなっています。
調査方法や集計(回答)企業が異なるものの、10年10月~11年1月に行った同趣旨の調査(第3797号-11. 5.13参照。以下、前回調査)では、06年から10年にかけて人事考課制度を改定した企業は、一般社員47.8%、管理職51.7%であったので、微減といえます。
制度の改定年は、[図表1]のようになりました。最も回答が集中しているのは、一般社員(33.1%)、管理職(34.9%)とも13年で、翌14年と合わせると、6割以上がこの2年間に改定を実施しています。
今後の改定予定
~6割強は改定の予定なし
今後の改定「予定あり」は、一般社員35.8%、管理職36.2%といずれも3割台の半ば。規模別に「予定あり」の割合を見ると、一般社員、管理職とも1000人以上と100~299人規模で約4割になっています。前回調査では、今後「予定あり」とする割合が、一般社員47.5%、管理職45.5%と、いずれも4割台の後半であったので、改定の意向は下がっているといえるでしょう。
また、10年以降の制度改定状況と、今後の改定予定との関係をクロス集計したところ、制度を改定し、今後も改定「予定あり」と答えた企業は、一般社員で13.0%、管理職で13.8%。反対に10年以降改定を行っておらず、今後も改定「予定なし」とする企業は、一般社員で30.7%、管理職で28.0%となっています。
今後の改定予定の内容はさまざまですが、評価基準・項目の見直し、目標管理制度の見直し、その他人事制度全体の見直し、よりメリハリを付ける――などが複数社から挙げられました。
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