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入社したパートをすぐ辞めさせないために

小杉雅和(こすぎまさかず)

職場になじませるためにはコミュニケーションと教育が重要

もちろん面接だけで、仕事内容や大変さを伝えきれるわけはありません。実際に働いてみて初めて分かることは多く、応募者が抱くイメージとのギャップ を、ゼロにすることはできません。パート・アルバイトに、現在の職場に入社した際に不安を感じたかを聞いた結果では、「感じた」が20.5%で、五人に一 人となっています。これに「ある程度感じた(51.1%)」を合わせると、実に71.6%のパート・アルバイトが不安を感じながら入社しています。

不安の内容を具体的に見てみると「仕事に慣れることができるか(75.8%)」、「職場になじむことができるか(68.4%)」の二つが圧倒的。そ の他「具体的にどのような内容の仕事をするのか(41.5%)」「店長や正社員はいい人か(39.5%)」など、不安の対象は「仕事」と「人間関係」に大 別されるようです。

そこでパート・アルバイトを雇用している事業所に、新規入社のパート・アルバイトが早く職場になじむための工夫をしているか聞いたところ、「工夫している(42.4%)」「工夫していない(44.9%)」「わからない(12.7%)」という結果となりました。

また、「工夫している」事業所に、その内容を聞いたところ、「勤務中は積極的に声をかける(59.8%)」が最も多く、「業務説明やオペレーションの指導など導入教育を行う(50.8%)」も半数以上が回答しました。

■パート・アルバイトが早く職場になじむための施策の内容(複数回答)

ここからは、「新人パート・アルバイトに声を掛け、積極的にコミュニケーションを 取ろう」とする姿勢が見てとれます。入社したてのパート・アルバイトは、仕事や職場のルール、人間関係などを把握しきれずストレスを感じています。新人が わからないことを誰にも聞けず、ストレスを抱えた状態が続くことは、「辞めてしまう」大きな原因となります。仕事においても人間関係においても疎外感を与 えないよう、周りから積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。

また、導入教育では、なぜこの仕事をするのか、この仕事がどういうことにつながるのかなど「仕事に関する意識づけ」も重要です。自分の仕事に意味があり役に立っているという意識を持つと、“やりがい”につながるからです。

今まで確認してきたように、パート・アルバイトの早期離職を防止するには、応募してきたパート・アルバイトが会社や仕事に抱いている「イメージ」と 「実際」とのギャップを面接でしっかり埋めること。さらに入社後、「仕事や人間関係への不安」には、新人を温かく迎え入れるため積極的にコミュニケーショ ンをとり、しっかりした教育を施すこと。そういうことが、「すぐに辞めさせない」ためのポイントだと考えます。

<パート戦力化に関する取材記事は、人と仕事研究所WEBサイトで検索・閲覧できます> TOP ⇒ コラム/取材記事 ⇒ 現場イズムバックナンバー

アイデム人と仕事研究所は、求人媒体を発行する株式会社アイデムの研究部門です。アイデムは1970年に創業して以来、「人材採用」の側面から、企業経営のサポートをしてまいりました。そうした活動のなかで人と仕事研究所は、「採用後の人材を活かし、企業力を高めていただく」ための、各種情報・サービスの提供を行い続けてきています。 パート・アルバイトの活用を目的に調査・分析を行う「パートタイマー白書」や、人事マネジメントの成功事例記事、募集時賃金を集計し、その動向を伝える各種レポートなど。いずれの情報・サービスも、求人媒体事業を通じ、大手企業とは異なる“中小企業の「人」に関する課題”をつかむアイデムならではの、実践的な内容を旨としています。
詳細はこちらをご覧ください→アイデム人と仕事研究所

●文/小杉 雅和(こすぎまさかず)
【担当分野】賃金統計・アンケート調査等の作成、分析。

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【用語解説 人事辞典】
組織社会化
リアリティー・ショック