企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ソシキシャカイカ 組織社会化

組織研究において、新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのことを「組織社会化」といいます。個人が組織に参入するときは、必ずこの組織社会化の過程を通過しなければならないと考えられています。
(2012/5/28掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

組織社会化のケーススタディ

急がれる新人の適応と“一人前”化
組織が変われば何度でも学び直しを

組織社会化」とは平たくいうと、新参者が職場になじんで一人前になっていくプロセスのこと。新入社員がわかりやすい例として挙げられるでしょう。入社直後は学生気分が抜け切らず、右も左もわからなかった彼らが、新入社員研修を終え、それぞれの職場に配属される頃には、組織社会化の途上にあるわけです。

さらに平たくいうと「組織人になる」、あるいは「会社や組織の色に染まる」といった意味合いも含まれるでしょう。考えてみれば、新人教育とは本来、この「組織社会化」を図り、促す取り組みです。新人をいかに早く、効率的に組織に適応させて必要なスキルを習得させるか――直属の上司やマネジャーはもちろん、新人を迎えた現場のメンバーなら誰もが日々心を砕いているに違いありません。ビジネス環境が厳しさを増すなか、新人が自然と成長して一人前になるのを待つ余裕など、どの組織にもないはずです。

現に昨今、多くの企業で、新人の組織社会化をスピードアップさせる傾向が顕著になってきました。新卒内定者研修や入社時研修を早期化・強化し、メンター制度の導入やOJT制度の見直しを進めるなど、いずれもその方針に沿った施策といえます。新人の戦力化が急務であることだけが、理由ではありません。組織社会化が進まない、あるいは不十分な新入社員は、職場環境に適応できていない状態で働いていることになります。それが続けば、多くが“3年3割”といわれる早期離職の道を辿るか、メンタルヘルスの不調に陥りかねません。そのリスクを抑えるためにも、会社として組織社会化を強く促進し、職場への順応を急がせなければならないというわけです。

もちろんほとんどの場合、組織社会化のプロセスは、新人のときに一度くぐれば終わりではありません。終身雇用が当たり前だった時代でも、誰もが異動のたびに新しい組織や職場環境に順応する必要に迫られ、あらためて組織社会化され直していたのです。まして現在は雇用の流動化が進み、組織間の人材の移動が激しくなる一方、M&Aや事業再編も繰り返され、組織そのものが揺れ動いています。ひとつの組織で社会化され、せっかく一人前になっても、その組織自体が変化してしまうかもしれないのです。

組織社会化のプロセスを経て修得した知識やスキルは、その組織でしか機能しないものであることが多いといわれます。また一定の経験や能力を培っても、職場によってそれを発揮するための手続きや方法論が違うというケースもあるでしょう。前の職場での実績をかわれて栄転した人が、新しい職場で行き詰まり、ついにメンタルを害してしまった……というような話に触れると、組織社会化の重要性と難しさを痛感せざるを得ません。キャリアを積み重ねていくためには、私たちは何度でも学び直す必要があるのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

組織再社会化
組織研究において、組織に新しく参入した個人がその成員となるために、組織の価値観や規範を受け入れ、職務遂行に必要な技能を獲得し、組織の人間関係に適応していく過程を組織社会化といいます。これに対し「組織再社会化」とは、すでにある組織の一員として組織社会化され仕事を行ってきた人が、転職などの組織間移動に...
組織市民行動
「組織市民行動」とは、企業や団体の従業員が自分の職務の範囲外の仕事をする「役割外行動」の一種で、英語ではOCB(Organizational Citizenship Behavior)と呼ばれます。 この概念を提唱した米・インディアナ大学のデニス・オーガン教授らによると、組織市民行動は「従業員の行動...
トランザクティブ・メモリー
「トランザクティブ・メモリー」(Transactive memory)とは、1980年代半ばに米ハーバード大学の社会心理学者、ダニエル・ウェグナ―が唱えた組織学習に関する概念で、日本語では「交換記憶」あるいは「対人交流的記憶」「越境する記憶」などと訳されます。組織学習の一つの側面である組織の記憶力(...

関連する記事

中村和彦さん: 組織に関する問題を「人」「関係性」に働きかけることで解決 いま日本企業に必要な“組織開発”の理論と手法とは(後編)
組織開発をどのように進めていけばいいのか、また、その際に人事部はどう関わっていけばいいのかなどについて、組織開発の実践に取り組んでいる研究者の南山大学教授の中村和彦さんに具体的な話をうかがっていきます。
2015/09/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
人事マネジメント「解体新書」第38回 学習する組織“ラーニング・オーガニゼーション”を実現する方法(前編) ~自ら学ぶ風土を作り、持続的成長を実現していくために
企業を取り巻く経営環境の急激な変化は、ビジネスサイクルを短縮化し、知識・技術の更新スピードを速めるなど、組織に対して絶え間ない「変革」を求めている。この変革を実現するには、組織として継続的に学習を続け、改善を繰り返していくことが必要だ。これが近年、「学習する組...
2010/06/28掲載人事マネジメント解体新書
中村和彦さん: 組織に関する問題を「人」「関係性」に働きかけることで解決 いま日本企業に必要な“組織開発”の理論と手法とは(前編)
なぜ組織開発が近年注目されているのか?日本企業がどのように組織開発を進めていけばよいのか?組織開発の実践に取り組んでいる研究者の南山大学教授の中村和彦さんに、詳しいお話を伺いました。
2015/09/04掲載キーパーソンが語る“人と組織”

関連するQ&A

これからの組織のあり方
マネジメント 組織論の質問です。 自律型組織、ティール型組織などへの志向が一つのメインストリームとしてあると思いますが、一方で従来型の軍隊式組織、官僚型組織もその有効性は完全には否定出来ないと思います。 自律型、軍隊型それぞれの組織が有効に機能するのは、それぞれ一定の条件下によると思いますが、この点...
組織マネジメントの評価項目
お世話になっております。 人事考課の評価項目の一つに、管理職者に対して、組織マネジメントの評価を考えております。 一般的な組織マネジメント能力に関する評価項目をご教授いただけますでしょうか。 宜しくお願い致します。
就業規則の変更届について
就業規則に社内の組織名を記載している場合、社内の組織変更に伴い組織名を変更することになりますが、このような労働条件の変更以外の修正であっても、労働基準監督署への変更届は提出する必要ありますでしょうか。宜しくお願い致します。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
人事・労務の専門家が親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 採用 ]
分類:[ 人材開発 ]
健康経営を戦略的に推進するステップとは?取り組み事例と外部サービスの選び方

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


健康経営の実践に必要なステップ、外部サービスを選ぶ際のポイント

健康経営を戦略的に推進するための必要なステップや取り組み事例、外部サービスを選ぶ際のポイントをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の未来を拓く 強い管理職のつくり方~アセスメントツールを“人材育成”に活用する、効果的な手法とは?

会社の未来を拓く 強い管理職のつくり方~アセスメントツールを“人材育成”に活用する、効果的な手法とは?

長期的な不況が続き、グローバル化が進むなか、この時代を企業が生き抜くた...