遅刻・早退・外出の取扱いについて
いつも拝見して参考にさせていただいております。
今回は、「遅刻・早退・外出」の取扱いについての相談です。
弊社では、現在、「遅刻・早退・外出」については、届出はしてもらっているものの
給与から控除することを行っておりません。
取扱いとしては、査定時に勘案する、ということだけで、取り立てて懲罰的なことも行っておりません。
ですが、社員数も増え、「遅刻・早退・外出」の時間の基準も曖昧にしていたことから、
今回、改訂を検討中です。
現在の「遅刻・早退・外出」の運用は、
・おおよそ2時間未満は控除なし(届け出は提出してもらう)。
・2時間以上は「半休」に振替(有休の残がある場合は有休の半休) としております。
これを、有給休暇の時間単位(1時間単位)取得を可能にすることにより、
「遅刻・早退・外出」を廃止にすることは問題ないかどうか、をお聞きしたく思います。
遅刻に関しては、交通機関の遅延等公的な理由だけは除きますが、それ以外の私的な「遅刻・早退・外出」については、1時間単位で有休を取得してもらうことにしたいと考えております。
これにより、考えられるのは、寝坊や体調不良などにより、10分程度などの1時間未満の遅刻などの場合ですが、1時間未満の遅刻などを1時間の有休として扱うことに問題はないでしょうか?
ちなみに、現時点ではタイムカードも導入していないので、時間等は自己申告となっております。
タイムカードの導入に消極的な風土の会社で、良くも悪しくも、これまで「阿吽の呼吸」的な労務管理になっていたようです。これを少しずつ是正していきたいと考えている最中ですが…
アドバイスいただけますとありがたいです。
よろしくお願いいたします。
投稿日:2017/05/10 11:44 ID:QA-0070436
- akiyasutoukoさん
- 東京都/放送・出版・映像・音響(企業規模 31~50人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
時間単位での振替は、勧め兼ねる
▼ 先ず、年休は、一日、半日、時間等、単位に関わらず、「労働者の使用日~時間の指定」と、「使用者の時季変更命令のないこと」が要件になるので、遅刻、早退、私用外出、欠勤などと、自働相殺できる性質のものではありません。。
▼ 仮に、労使間で振替合意が成立しても、「2時間未満の遅刻を2時間の有休とする」といった様に、労働者に不利に働く仕組みは、合理性に欠け、好ましくありません。それでも、遅刻、早退、私用外出を、時間単位有休で処理する仕組みとするならば、「1時間以上2時間未満の遅刻を1時間の有休とする」といった方式が必要です。
▼ 他方、1時間に満たない端数を含む取得単位とすることはできないので、1時間未満の遅刻、早退、外出は、時間単位有休では振替は不可能です。結局、私的事由による、遅刻、早退、外出等の不就労は、同じく不就労である有休休暇、本質的に異質なものなので、振替に際しては、随所に不具合が生じる可能性があります。
▼ それでも、慣行的に行われている、1日、或いは、半日単位までの振替は、不具合の生じる余地は少ないのですが、時間単位での振替は、お勧め致し兼ねます。
投稿日:2017/05/10 13:47 ID:QA-0070438
相談者より
早々のご回答、ありがとうございました。
なるほど、年休に相殺できる性質ではないとのこと、承知しました。
遅刻・早退・外出の取扱いについて、時間の範囲も含めて、非常に悩ましいところなのですが、もっともシンプルなのは、やはり、タイムカードで管理し、ひと月分の合算分を賃金から控除する方法なのでしょうか。
投稿日:2017/05/10 14:36 ID:QA-0070441大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
有休は労働者の申出により取得するものです。
会社がシステム的に遅刻等を有休に振り返ることは法違反となり、できません。
ノーワークノーペイの原則により、遅刻した時間を控除することは問題ありませんが、遅刻した時間以上の時間を控除等することはできません。
労働時間管理は会社の義務となっております。自己申告だけでは、トラブルがあった場合に、会社が責務を果たしていないため、会社が負ける可能性大といえます。
投稿日:2017/05/10 20:05 ID:QA-0070449
相談者より
ご回答をありがとうございます。
労務時間管理は会社の義務とのお話、確かにその通りでございます。やはり自己管理だけでは、会社が責務を果たしていないことになるという旨、上層部に伝えて早急に見直したいと思います。ありがとうございました。
投稿日:2017/05/11 10:21 ID:QA-0070461大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
万能ではないが、リーガルリスクの減少効果は格段に高まる
仰る通りです。タイムカードも万能ではありませんが、少なくとも、実労働の把握の観点からは、労基署を含む第三者に対する立証力は格段に高まり、リーガルリスクを減少させることができます。
投稿日:2017/05/10 20:51 ID:QA-0070452
相談者より
再度のご回答、恐れ入ります。
第三者に対する立証力、なるほど、その通りですよね。曖昧にしていることが良いことと思う風土が根強くある会社なので、早急には難しいのですが、変えて行ければと思います。ありがとうございました。
投稿日:2017/05/11 10:23 ID:QA-0070462大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
勤怠管理とモラール
>1時間未満の遅刻などを1時間の有休
2点で無理です。一つ目は勤務時間以上の減額は従業員の不利益になります。二つ目は有給は従業員が取得するもので会社が与えるものではありません。ご提示のようにタイムカード等で遅刻や早退は管理すべきものといえます。
(外出とは勤務中に社外に私用で出かけることでしょうか?本来であれば有給を取得するのが一般的です)
人事政策の基本は公平公正な制度ですので、不平等が生じる制度は好ましくありません。
会社が勤怠管理をするのは普通、給与が勤務時間に連動するからで、裁量労働や経営管理者のような時間管理の範疇外の職務が例外です。9時始業だとして、ある人は9時にしかし9時に来ない人も許されるとなれば、電話をどうするのかなど不公平が拡大し、社員のモラール(士気)を大きく損なうリスクがあります。
投稿日:2017/05/10 22:35 ID:QA-0070453
相談者より
ご回答ありがとうございました。
わかりやすいご説明、恐れ入ります。
外出とは例えば就業中に体調不良で病院に行くなどのことです。昼休み時間以外でのこのような外出の場合は、時間単位の有休取得をすることで可能になるかなと考えています。
ご指摘のこと、承知いたしました。これらを踏まえて改善していきたいと思います。ありがとうございました。
投稿日:2017/05/11 10:26 ID:QA-0070463大変参考になった
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