割増退職金提示額の修正
先日弊社に個別の退職勧奨を実施しました。
対象者は25名、全員無事合意を得ました。
しかし、そのうち1名について、合意書に記載した割増退職金の金額が誤っていることが判明し、すでに会社代表と対象者の合意署名が入っていますが、再度正しい金額にて合意交渉をすることが可能か、本人が交渉を拒否する場合に取りえる手段があるのかをお伺いしたいと思います。
本人はすでに出社しておらず、有給休暇中ですが、正式な退職日はまだ先です。
今回の退職勧奨においては対象者の勤務年数ごとに割増分の算定方法を決めており、それに基づく正しい算定額は月額基本給の15か月分でしたが、誤って記載した金額は月額基本給の25か月分でしたが。この算定方法については交渉時に本人へ伝えております。
投稿日:2015/05/07 15:01 ID:QA-0062392
- 惑星Hさん
- 東京都/その他業種(企業規模 51~100人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
25カ月分の誤記部分は、法的に無効
会社は、 合意書に、 他の誰が見ても、 勘違いと判断できる誤記を行った訳です。 この表示部分は、 民法95条における 「 法律行為の要素に錯誤のある意思表示 」 に相当し、 法律上、 「 無効 」 とされます。 尤も、 「 会社に重大な過失があった場合は、 自らその無効を主張することができない 」 ことになりますが、 ご相談事案では、 「 対象者の勤務年数ごとに割増分の算定方法が決められている 」 とのことなので、 誤記は、 重大な過失とは云えず、 「 25カ月分 」 の表記は法的に無効となります。 本人の同意の有無に関わらず、 「 15カ月分 」 と変更し、 且つ、 支給しても問題ないと思います。 法務担当者がおられるようでしたら、確認して貰って下さい。
投稿日:2015/05/07 19:07 ID:QA-0062394
相談者より
早速のご回答、ありがとうございます。
ポイントとしては、割増退職金の条項が、「他の誰が見ても勘違いと判断できる」誤記であるかどうかでしょうか。弊社事案の場合、希望退職募集ではなく、個別退職勧奨なので、割増退職金の算定方法は公開しておらず、また条項にもXXか月分、という記載はなく、金額表示のみ、算定方法については本人に口頭で伝えているのみなので、その点を突かれるとちょっと弱いかと思いました。
投稿日:2015/05/08 10:05 ID:QA-0062398大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、民法上事実誤認に基づく意思表示は無効または取消が認められています。
従いまして、最重要といえる割増退職金額の記載が間違っている以上、御社側の重大な過失による事実誤認となり合意は有効足りえませんので、再度当人に謝罪の上交渉をやり直すことが求められます。
その際、最初からのやり直し交渉となりますので、仮に本人が交渉を拒否した場合は、当然ながら希望退職自体も無かった事になり、御社に従前通りの雇用継続義務が生じます。御社側の重大な過失である以上、同意を得た退職金額で妥結されるか、或は雇用継続する事で対応される他ないというのが私共の見解になります。
投稿日:2015/05/07 22:43 ID:QA-0062396
相談者より
早速のご回答、ありがとうございます。
#1のアドバイスを併せて、大変参考になりました。まずは丁重に謝罪したうえで、交渉の再開を申し入れてみます。
投稿日:2015/05/08 10:07 ID:QA-0062399大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再交渉
早期退職や雇用調整の案件を多数扱ってきました。本件の交渉が個別での条件交渉であったとすれば、修正金額を飲むかどうかは相手次第です。「間違いだから法的に無効」を主張するだけでまとまる可能性は低く、むしろ交渉上は不利になる恐れが高いでしょう。絶対にミスをしてはならない致命的な箇所でミスをしたのが会社側である以上、率直におわびをして修正をお願いする。その対象者の方によりますが、交渉というより、お願いに近い低姿勢な接し方にならざるを得ないと思います。
個別の退職勧奨において、退職金額やベースにはかなり個人差があるのは普通です。10か月の差を大きいとみるかどうかは御社のご判断ですが、まずはお詫びして交渉をしてみるところから始められてはいかがでしょうか。
投稿日:2015/05/11 23:24 ID:QA-0062434
相談者より
貴重なアドバイス、ありがとうございます。
基本的にお願いの姿勢で話を進める方針でおります。法的な手段に訴えることによるリスクもありますので、最終的には、金額の損失とリスク、どちらを取るのかの判断になると考えております。
投稿日:2015/05/12 11:35 ID:QA-0062440大変参考になった
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