派遣社員の中途解約について
お世話になっております。
以前使用させて頂きました。今回は、派遣社員の中途解約についての質問になります。
今年2月に採用した派遣社員がおります。最初の数週間は仕事になれて頂くために、OJTを通してトレーニングを行いましたが、他の派遣者の方よりも業務を覚えることが遅く、仕事上で同じ間違いを繰り替えしていたこともあり、心配はしておりました。
しかし、時間が経てば業務や社風に慣れてくれるだろうと考え、3月末に契約更新をいたしました。当社の派遣契約の更新は四半期毎になります。そのため、更新された契約期間は4月1日〜6月30日です。
しかし現時点において、状況は入社時と全く変わらず、パフォーマンスは全く向上していません。同じ間違いをするばかりか、チームへのモチベーションにも悪く影響しています。そのため、別の担当をつけてトレーニングを行いましたが、パフォーマンスは全く向上しません。
本人も業務を覚えることができずに、苛立ち、泣き出すこともあります。現場の社員もどのように対処をしてよいかわからず、お手上げ状態です。とりあえずは誰でもできるような業務のみ与えています。しかし、そのような簡単な業務においても完璧にこなすことができず、時間をかけても間違いだらけです。
本人は派遣会社に相談しましたが、これからも仕事を続けていきたいとのことです。しかし、現場の担当者からはなんとか派遣契約を途中で解約することはできないかと相談がきております。もう既に業務で使用しているメーリングリストにも、この派遣者の名前は外されております。本人はこのことにもショックを受けております。
派遣の契約期間の中途打ち切りについて、質問がございます。
① 私の理解では、派遣社員が懲戒解雇に相当するような悪さをしたというような場合以外は、
「仕事を覚えるのが遅い」「パフォーマンスが悪い」などの理由で、契約を中途で打ち切ることは
法的に認められていない。
しかし、どうしても契約を打ち切りたい場合は、何か方法はあるのでしょうか?
②もし、業務のパフォーマンスが悪い理由で、派遣契約を中途で打ち切ることが可能である場合、当社で行わなければならない義務やデメリット(賠償)はあるのでしょうか?
少し長くなりましたが、教えていただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿日:2015/04/29 22:43 ID:QA-0062357
- ハルハルさん
- 東京都/広告・デザイン・イベント(企業規模 501~1000人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、文面内容で詳細事情までは分かりかねますし、こうした契約解除問題に関しましては個々の事情により判断も異なりますので、この場で確答までは出来かねます件ご了承下さい。
その上で一般的な考え方についてのみ申し上げますと、
①:パフォーマンスが悪いというだけで雇用契約の中途解除は出来ませんが、当事案に関しましては当人の雇用契約の終了ではなく、あくまで当人に関わる派遣元との派遣契約の解除に過ぎません。
従いまして、契約を中途解除したい件につきましては、派遣契約の契約解除事由の定め等に基づき派遣元と協議して合意を得れば問題ございません。この場合、当人の残りの派遣期間の就労に関しましては当人が希望すれば派遣元が別の派遣先を手配することになります。これは雇用契約を締結している派遣元側での義務になります。
仮に派遣元の同意を得られない等で契約解除が出来ない場合、これも派遣契約に定めがあるものと思われますが、当人のパフォーマンスが悪い事により発生した損害に関しましては損害賠償請求を行う事が通常であれば可能といえます。但し、御社も安易に契約更新をされた感は否めませんので、あくまで話し合いで解決を図るべきと考えます。
②:①で触れました通り、双方に責任があると思われる事柄になりますので、直ちに御社側のみに賠償責任等が発生するとはまではいえません。派遣契約で定められた内容に従い、派遣元との話し合いの中で決められる事といえるでしょう。勿論、話し合いもせず一方的に契約解除する等といった対応だけは禁物です。
投稿日:2015/04/30 10:52 ID:QA-0062360
相談者より
ご連絡が遅くなりましたこ、お詫び申し上げます。ご回答いただきましてありがとうございます。大変参考になりました。
投稿日:2015/05/05 22:44 ID:QA-0062380大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
派遣先に起因する事由による解除でなければ、賠償や解約金問題は発生しない
派遣の対象は、 特定の 「 労働 」 であって、 特定の 「 労働者 」 でないことはご承知だと思いますが、 派遣社員のパフォーマンスの低さが改善困難な場合には、 先ず、 派遣労働者の交代を請求することが必要です。 派遣先が、 要求されるレベルの代替労働者を派遣することができなければ、 中途解除することが可能です。 この場合、 派遣先に起因する事由による解除ではありませんので、 派遣先に契約上、 道義上の義務は発生することはありません。 然し、 実際は、 派遣社員による所定業務の不完全履行を立証するには、 業務内容を、 極力、 具体的に明示しておくことが必要です。さもないと、 賠償や解約金などのリスクの可能性が発生します。
投稿日:2015/04/30 11:38 ID:QA-0062362
相談者より
ご連絡が遅くなりましたこ、お詫び申し上げます。大変参考になりました。賠償や解約金などのリスクを回避するためにも、就業前/後の本人への十分な業務内容の説明や評価内容など記録として残すことを徹底するようにいたします。
投稿日:2015/05/05 22:54 ID:QA-0062381大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
派遣の場合には、人の特定はできないわけですから、要求した能力を派遣社員が
充たさず、客観的に見て改善の余地がない場合には、メンバー交代を要求する
余地はあります。
派遣元には、早めに逐次、情報を与え、相談しておき、派遣先・派遣元
管理台帳には、指導歴等お互いに記載しておくことです。
個人的感情等で、好き嫌いというわけでもなく、
要求した能力を見たさない以上、またそのことが客観的に証明できれば、メンバー交代を要求し、それが無理であれば、派遣契約は途中打ち切りはしかたないといえるでしょう。
ただし、派遣元が納得しなければ損害賠償等請求してくる可能性はあります。
まずは、派遣元によく説明して相談してみることです。
投稿日:2015/04/30 14:35 ID:QA-0062363
相談者より
大変参考になりました。とくに、指導歴は記録していなかったため、派遣社員の管理をもう少し徹底するようにいたします。
投稿日:2015/05/05 22:57 ID:QA-0062382大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
交代が先
派遣社員は「採用」できませんので、御社は派遣元(派遣会社)と労働力サービス提供の契約をしただけです。派遣社員は御社社員ではありませんので、そもそも教育の義務は無く、期待するパフォーマンスを提供できる人材を派遣する義務が、派遣元にはあります。
従いまして、現状契約が履行されていない状況であれば、まずは何より派遣元に改善を支給要求することです。一般的にはパフォーマンスが好ましくないにもかかわらず、当初の1ヶ月で見極めができずそのまま3カ月契約をしてしまった御社にも責任はありますので、一方的な損害賠償ではなく、話し合いがベースです。
その際には「パフォーマンスが悪い」ではなく、具体的な失敗や同じミスの繰り返しといった記録をしっかりとそろえて下さい。感情的な扱いはもめるだけで得るところがありません。また御社のスタッフの皆様も、コンプライアンス上、明確に派遣社員が御社社員ではないことをしっかり認識する必要があります。
投稿日:2015/04/30 23:17 ID:QA-0062367
相談者より
大変参考になりました。パフォーマンスが悪いだけでなく、具体的にどこが悪いのか記録を取ること、コンプライアンス上、派遣社員は当社の社員ではないことなど、現場のスタッフを教育しなくてはいけないと痛感いたしました。
投稿日:2015/05/05 23:04 ID:QA-0062383大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
派遣社員の中途解約は可能です
ご記載の通り、労働者派遣法は派遣契約の中途解約を推奨するような内容ではありません。派遣契約の中途解約については、一般的には、派遣契約の内容を書面にした派遣個別契約書の中に記載されることが多く、その内容は以下の5つになります。
1.解除の事由が止むを得ず、正当なものであること
2.解除の事由が派遣先に起因する事由である場合には、あらかじめ相当の余裕を持って派遣元に解除の申し出を行い派遣元の合意を得ること
3.解除の事由が派遣労働者の責めに帰すべき事由でない場合には、派遣先の関連会社での就業を斡旋するなど、その派遣労働者の新たな就業の機会を確保すること
4.解除の事由が派遣先の責めに帰すべき事由である場合には、その派遣労働者の新たな就業の機会を図ることとし、それができない場合には、解除にかかる休業補償を行うこと
5.派遣元からの請求があった場合には、派遣契約の解除を行う自由を派遣元に対し明らかにすること
今回のご相談の中では、能力不足による中途解約が、解除の事由として止むを得ず正当な事由であるか否かが検討のポイントであると思われます。能力不足による解雇については、以下の事項が一般的な要件となります。
1.著しく成績が不良であること:もはや就労させることにふさわしくない程度の成績不良。他の社員に比べて成績が悪いというだけでは不十分
2評価が公正なものであること:評価基準は明確か、評価の基準は根拠に足るものであるかなどを考慮する
3.改善の見込みが乏しいこと: 指導や配置転換、業務内容の変更などを行ったにもかかわらず能力が向上する余地がない
4.労働者の能力不足により業務に支障が出ていること:その派遣労働者の業務のみならず部署、会社として業務に支障が出ている
ご記際の状況を考慮すると、派遣開始直後のOJT、担当者を変えての再トレーニング、業務内容の転換など改善に向けた取り組みや、派遣労働者の仕事ぶりや勤務態度による悪影響がチームに出ている点などが上記要件を満たし、派遣契約解除の事由が止むを得ないものであると考えられます。そして、派遣労働者の勤務実態について派遣元に対して十分に説明していくことができれば、派遣契約の中途解除が行えると思われます。
中途解約を行う際のデメリットとしては、派遣個別契約の4に記載のある休業補償を行うにあたり、御社から派遣元に対して残りの派遣契約期間分の派遣料の営業補填を行うという点があります。
今後の改善策としては、解除の事由が止むを得ないものであると派遣元に説明できる程度に日ごろから日報のような形で記録をとることをお勧めいたします。また、派遣業務と能力のミスマッチを防ぐために、業務内容と業務に必要となる能力を明示し派遣元の担当者に十分に伝えておくことも有効です。
派遣労働者の就業実態を観察し、何かあったときにすぐ対応できるように派遣元と連絡体制を構築することで、今回のような事例を未然に防ぐことができると思われます。
投稿日:2015/05/11 09:47 ID:QA-0062410
相談者より
ご連絡が遅くなりまして申し訳御座いません。
具体的にご説明いただきありがとうございます。大変参考になりました。派遣労働者管理の改善すべきことがわかりました。とくに就業実態を把握するための施策をたてたいと思います。
投稿日:2015/05/17 22:29 ID:QA-0062481大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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