就業規則違反者への退職勧奨について
いつも参考にさせてもらっています。
さて、当社で次のような職員とのトラブルが発生して困っております。
[経緯]
車を運転中に後方から他の車に追突され、自分の車が大破したので、翌日の勤務を休みにしてもらいたい旨の連絡があり、休んだ。
後日、事故報告書が提出されたので、本人を呼んで事の詳細を聞き取りしたところ、実は事故というのは嘘で、本当は体調が悪かったのだが言いにくかったので虚偽の申告をしたとのこと。
この職員は以前からも、規則に従わず事前の届出をしないで、様々な理由(本当かどうか疑わしいが)をつけて突然休むことが頻回で他の職員に迷惑をかけ、また、勤務態度も悪く、利用者からの苦情もあり、それに対して上司が何度注意してもなかなか改善しない者であったことから、管理責任者がこれ以上の指導・更生は無理と判断し、その場でこの職員に自分で進退をどうするか考えるよう話をし、自己都合退職の申し出をするよう勧奨した。
これに対して、職員は了承し、自己都合による退職願(当日付退職)を提出し帰宅したが、同日、本人より電話で、自己都合退職ではなく「解雇」にしてもらいたい旨の連絡が入った。これに対して、責任者は、懲戒解雇になると今後別の企業に就職の応募をする際に、履歴書の懲罰欄に懲戒解雇された旨記載しないといけなくなるが、それでも良いのか?と話をするも、本人はそれには返事無し。更に別の電話にて、職員の妻からも、非は夫の側にあるが、これは解雇と考えられるので、解雇予告手当を支給すべきではないのか?という抗議があった。
[対応方法について]
上記のような経緯なのですが、当社としてはこれに対してどの様に対処するのが良いのでしょうか?
①自ら退職願を提出したものについて、「解雇」に変更してほしいとの職員からの申し出に同意する義務があるのでしょうか?
(職員の採用・退職に関しては、各事業所の人事等管理責任者に委任しており、本部の人事部長がそれを最終承認しております)
②上記のような案件の場合、もし、懲戒手続をするとしたら、どのような内容が適当なのでしょうか?
当社の懲戒は「けん責」「減給」「出勤停止」「解雇」の4種類です。(当社の就業規則では、偽った届出をした場合は「出勤停止」までの適用、素行や勤務状況が不良で職場の秩序を乱し、影響が大きい場合は懲戒解雇、の定めがあります)
③上記のような就業規則違反で「懲戒解雇」することは、現実的に可能なのでしょうか?
④もし、退職願を撤回したいと本人から申し出があった場合、会社としてそれに応じる義務はあるのでしょうか?
⑤以上のような点を総合して、当社としてはこの職員に対して、どのような返事や対応をすべきでしょうか?
ご面倒をお掛けしますが、ご教示頂けますと幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
投稿日:2009/05/29 23:01 ID:QA-0016255
- 鬼平さん
- 新潟県/医療・福祉関連(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
複雑な案件のように伺えますが、ご質問が多岐に渡りますので各々簡潔に回答させて頂きます件ご了承下さい。
①:解雇とするか否かは御社が決定する事柄ですので、応じる義務は全くございません。
②:まずは軽い懲戒処分から始めるべきです。私共では具体的な状況が把握出来ない為どの処分が最適かまでは確答できませんが、これまでの迷惑行為等について注意のみで済ませてきたとすればやや遅きに失する感があります。
③:解雇の妥当性については明確な客観的基準は存在せず、個別具体的な状況を精査しての判断となります。従いましてこれも確答はできませんが、今回が初めての懲戒処分であれば規定内容に関わらず解雇は重過ぎるものといえるでしょう。
④:自己都合退職が本意でなく撤回を希望されているのであれば、早い段階で退職勧奨を御社から行なっている経緯もありますので応じてあげるべきです。
⑤:まず妻は当事者ではないので、丁寧な応対は必要ですが、本人への処分等への希望について応じる必要はございません。解雇の問題も当事者は本人ですし、あくまで要望があれば本人から直接申し立ててもらうようお伝えください。
本件ですが、本来であれば退職勧奨よりも懲戒処分を採られるべきだったようにお見受けいたします。本人にとっては「事実上の解雇通知」と受け取られてしまい、そうしたことで本人及び家族の心情を害している可能性があります。
とりあえず本人の退職の意思がないのであれば退職勧奨自体を白紙撤回し、本人の今後の希望も聞かれた上で今回の行為に対しては軽い懲戒処分に留める共に、正すべき部分は正す事が必要であることをきちんと指導した上で、今後さらに違反行為があれば解雇も含めたより重い処分が科せられることになる旨伝えられるとよいでしょう。
投稿日:2009/05/30 13:52 ID:QA-0016258
相談者より
詳細なアドバイスを頂き、誠にありがとうございました。
この問題については、解決の方向で進みそうです。
懲戒の適用等、今後の同様な問題に対する参考にもしていきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿日:2009/06/16 14:12 ID:QA-0036372大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
問題社員の早期円満退社に向けての方針
■ 脈絡を欠いた、これまでの、本人側の反応、主張などを、一旦、本人自身の口から、ハッキリ聞き出し、出来れば、文書で確認(確定)しておく必要があります。つまり、(外野席の妻の申出も含め)脈絡がなく、いつ、言い分が変わるかも知れない状況の下では、的確な《 対応方法 》を打ち出すことはできません。
■ ご相談の説明が、すべてを網羅しているとすれば、本人側の認識および要求は、概ね次のように推測できると思います。
① 辞めることは仕方がないと思っている。
② 同じ辞めるなら、解雇の方が、「解雇予告手当」が貰えるし、失業給付の待機期間も短縮できると期待している。
③ しかし、予告日数は、予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合は、その日数分だけ短縮できることを理解しているどうか疑わしい。
④ 更に、会社によっては、退職事由(自己都合 ⇒ 解雇事由)により、退職金支給倍率が減率されることもあるが、もしそうなら、そういったことまで、念頭に入っているかどうかも疑わしい。
⑤ 解雇歴は、本人の将来の就業申請時について回るが、会社の念押しに、本人の反応がない。
■ 自己都合退職とするにしろ、勧奨退職(民法上の不法行為に該当しない限り、合意退職となり、解雇とはならない)にするにしろ、これまでの経緯を勘案すると、① の推測通り、本人が退職は仕方がないと思っていることが確認できれば、退職条件(主として経済的配慮)を煮詰めて、一挙に、《 合意による雇用関係の解消 》 に持っていかれるのが、賢明な経営判断だと思います。さもないと、今後、じわじわと、難しい方向に、糸が絡んでいくような、予感がします。《 早期解決 》 がポイントだと考えます。
投稿日:2009/06/01 09:00 ID:QA-0016260
相談者より
早速的確なアドバイスを頂き、誠にありがとうございました。
この問題に関しては、解決の方向に進みそうです。
今後同様な問題が発生した場合は、今回の件を参考にし、早期解決できるよう対応していきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿日:2009/06/16 14:16 ID:QA-0036374大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
問題社員の早期円満退社に向けての方針(重複語句削除)
回答の 《 ③ 》の部分で、《 予告の日数は 》 なる語句が重複しましたた。一方を、無視して戴くようお願い致します。
投稿日:2009/06/01 09:08 ID:QA-0016261
相談者より
投稿日:2009/06/01 09:08 ID:QA-0036375大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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