クライアントの課題解決はパートナーシップから
人の強みを引き出すAI時代のコーチング
ビジネスコーチ株式会社 代表取締役
細川 馨さん
AIコーチングで日々の行動を振り返る
ビジネスを手がけるうえで、細川さんが大切にしていることとは何でしょうか。
まず私自身は、ビジネスコーチングを通じて、組織の目標達成をお手伝いしたいと考えています。そもそもビジネスコーチングは、コーチ側にとっても貴重な成長の機会です。私どものパートナーであり、エグゼクティブコーチングの世界的な第一人者であるマーシャル・ゴールドスミス博士も、「コーチはすごく楽しい。なぜならば、コーチ自身もクライアントから学び成長することができるから」と話しています。
そのうえで、ビジネスにはパートナーシップが不可欠だと考えています。映画に例えると、一人で主役もやり監督もやって……となると、普通はいい作品になりません。ましてやコーチングは、思考の枠を広げるものです。組織が成果を上げたり大きな目標を達成したりするには、いろんな人の力を借りて新たな気づきを得ることが重要なのです。
そのため当社では、9人の顧問からコーチングを受けています。当社のような小さな組織では、珍しいのではないでしょうか。いろんな知見のある人に協力を仰ぎ、自分たちでは思いもしなかったところでの気づきを得ながら組織を進化させています。
最近では、どのような事業に力を入れていますか。
1on1ミーティング導入プログラムの人気が高まっていますね。上司のコーチング力が高まることで、メンタル上の不安が取り除かれ、組織の人間関係が向上します。連携が良くなれば生産性も向上しますし、広義の働き方改革にもつながるはずです。もともと当社は、「一社に一人のビジネスコーチ」というビジョンを掲げています。プロコーチ派遣だけでなく社内コーチ育成を通じて、顧客の組織活性化に貢献できればと考えています。
もうひとつは、この春スタートした「AIコーチ・マイコ(以下、マイコ)」事業です。私たちは、一人でも多くの人にコーチングを受けてほしいと思っています。そうした背景から、日々の行動を振り返り、次につなげていくソリューションとして、マイコを開発しました。マイコでは、スマホ画面をタッチしながらなりたい自分に沿った行動計画を立てて、実践していきます。ユーザーの疑問や不安は、AIがリアルタイムに回答。SNSと同じ感覚で、コーチやメンバーとコミュニケーションを図ることが可能です。現在は、新入社員の成長支援に採用される企業が増えています。
マイコのいいところは、赴任先による地域間ギャップが起こりにくいところです。全国どこにいても、オンラインでコーチングが受けられるわけですから。また、ユーザーの情報がデータとして記録されるのも大きな特徴です。集められたデータはユーザーインターフェースの改善に利用できますし、またデータが集まるほど、生産性の高い人材の目標設定や行動パターンが見えてくるようになります。マイコに対する期待は大きいですね。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。