株式会社ねぎしフードサービス:
目指すは「100年企業」
従業員満足と低離職率を実現する
ねぎしの“人財共育”とは
PDCAのPから参画してマネジメントを“我が事”に
ところで、お二人が所属されているサポートオフィス(SO)は、現場における人財共育の取り組みにどう関わっているのでしょうか?
相良:私たちは名前のとおり、サポートするのが役割です。決して人や現場を管理する統括本部ではありません。人財共育に限らず、マネジメントに関わるすべての取り組みの主役を担うのは基本的に現場の店長であり、他の社員やA/Fパートナーもみな、ひとごとではなく、我が事として会社の運営に参画しています。少しでも会社を良くするために、従業員一人ひとりが“エンパワーメント”=自ら考えて行動できる力を発揮し、自発的にPDCA(※ねぎしの場合、Cは評価=Checkではなく、対話=Communicationと位置づける)のサイクルを回していく。そういう仕組みと組織の雰囲気が、20年以上かけて少しずつつくられてきました。
石野:PDCAの回し方についていうと、弊社の特徴は、必ず「P(計画=Plan)から参画する」ということです。D(実行=Do)からでは遅すぎる。それだとどうしてもやらされ感がつきまとい、取り組みがひとごとになってしまうんです。たとえば弊社では1996年から毎年、年間の経営指針書を全店長とSOスタッフがいっしょになって策定してきました。それ以前は経営幹部だけで戦略を決め、トップダウンで現場へ流していたのですが、やはり年間の計画や経営課題ですから、どういうふうに決められるのか、経緯が知りたいという意見が店長から上がってきまして。だったら店長も戦略の策定段階から参画して、自ら考えたほうがいいと。理念・価値観の共有も進むし、自分が計画を立てた以上、現場でも責任をもって達成しようとしますからね。店長のリーダーシップやチーム力の向上が期待できるわけです。
店長だけでなく、社員全員でPDCAを学ぶ機会もあるそうですね。
石野:はい。月に一度開催する「改革改善全体会議」は22年以上続いており、2013年12月で272回目を迎えました。全社員が一堂に会する会議で、毎回5~6店舗が半年間のPDCAに取り組んだ作業改善活動の成果をケーススタディとして発表。全員で共有します。各店舗での改善活動は、もちろん店長や社員だけでは進められません。A/FパートナーもPの段階から巻き込んで、どれだけ自発的に協力してもらえるかがポイントになります。そのために目標をいかに設定し、どう計画して取り組んでいったのか。弊社は同一地域・同一業態ですから、どの店も他店のケーススタディがすごく参考になるんですよ。
相良:発表そのものは店長ではなく、その下のセカンドパートナーと呼ばれる一般社員が店を代表して行いますが、彼らにとっては相当なプレッシャーでしょうね。100人もの前でプレゼンする機会なんて、めったにありませんから。最初はみんな頭が真っ白になるようですが、2回、3回と場数を踏むうちに話がどんどん整理されてきて、聞いている側もその人の成長が手に取るようにわかってくる。それが本人の自信につながったり、また他のメンバーの刺激になったりすることも、人財共育という点では非常に重要なんです。
まさしく「共に学び、共に成長する」仕組みづくりの真骨頂だと思います。
相良:年二回、各店舗の清潔感と清掃状況を競う「クレンリネスコンテスト」というイベントも、人財共育の一環として行っています。もちろん、ただ清掃を頑張って終わりではありません。クレンリネスもまた、店長が一人でできるものではないので、コンテストで下位になった店舗ではどうすれば改善できるか、チーム全体でPDCAを回しながら取り組むようにしています。商品としてクレンリネスが大切なのは当然ですが、クレンリネス向上のためのプロセスも大切。それ自体がチームを育て、人を成長させていくからです。