日立電子サービス株式会社
「自律考動」できる人財の育成に向けて
~「体験・体感型研修」でプロフェッショナルを育てる
荊沢光彦さん(人財開発本部 コンピュータシステム技術学校 校長)
広谷正宏さん(チーフエキスパート)
企業におけるこれからの人財育成について
「コ学」は、学びの環境が整っていますが、なかでも担任のインストラクターのいる点が、大きな特徴のように思います。
荊沢:当社のように、新入社員だけのためにインストラクター(専任担当者)を設けるという会社はあまりないでしょう。8ヵ月間という期間を通じて、インストラクターが自分の受け持つ学生の面倒を責任を持って見ていく。そこが、新入社員専任のインストラクターを設けていない会社との大きな違いです。彼らは、非常にきめ細やかに、新入社員をケアしていきます。すると、その後の成長が大きく違ってくる。ここに、とても大きな意味があると思っています。
なるほど。インストラクターが、メンター的な要素を持っているわけですか。
広谷:インストラクターも、若手と年配の方とをうまく組み合わせて、バランスよく対応しています。まだ若いインストラクターの場合には、年配のインストラクターをサブで付けて、いろいろとアドバイスを行います。
若いインストラクターにとっても、学びの場となりますね。
広谷:教える人も、教えられることになるのです。さらに、コ学を卒業して3年目までは、メールを送るなど、いろいろな形でフォローやフィードバックを行っています。彼らにとって、上司や先輩には言いにくいことも、担任だったインストラクターには話しやすいのです。何か困ったことがあった場合には、インストラクターが現場に掛け合って改善していくことも行っています。人財の定着がいいのも、こうした点があるからだと思っています。
荊沢:2年目以降の教育は、近くにあるコ学とは別の教育施設で行います。その際、新人のときのインストラクターを訪ねてくる人が非常に多いのです。「コ学」のロビーには歴代卒業生の写真が全員、飾ってあります。まさにこの場所が、彼らにとっての「原点」となっているわけです。
それは、非常に素晴らしい。他社には、ちょっと真似のできないことですね。では今後について、どのような人財育成の方向性をお考えですか。
荊沢:基本的には今のスローガンをベースとして、今後の教育も行っていきます。ICT技術の高度化、複雑化に伴うお客様のニーズの変化に対応していけるよう、自律考動型の人財を育てていく、このことに変わりはありません。
今年入社してきた学生は「ゆとり教育世代」の一期生の人たち。自分で答えを見つけるのではなく、答えはどこかにあると考えている。こうした考えを持った若い人たちを、自律考動できる人財へと変えていかなくてはなりません。その意味でも、“自律考動型の人財育成”という考え方が、より重要となっています。
一方で、技術はどんどん変化しています。例えばクラウドなど、新しい技術にも迅速に対応していかなければなりません。コア・スキルにも、より力を入れていきたいと考えています。
そして、現場力を高めること。職場を出て、お客様先での基本的な動作において、ミスがないようにする。何より、実際に配属されたら、失敗は許されません。だからこそ、コ学では失敗を糧にする。そういう経験を、積ませていきたいと思っています。