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日立電子サービス株式会社
「自律考動」できる人財の育成に向けて
~「体験・体感型研修」でプロフェッショナルを育てる

荊沢光彦さん(人財開発本部 コンピュータシステム技術学校 校長)
広谷正宏さん(チーフエキスパート)

情報システムの設計・構築、運用・保守サービスを提供する日立電子サービスでは、新入社員の教育機関として「コンピュータシステム技術学校」(通称「コ学」)を開設、“人財”の育成に積極的に取り組んでいます。特徴的なのは、パソコンの分解・組立など、参加者が一体となって物事をやり遂げる「体験・体感型研修」を実施していること。五感を刺激するリアルな体験は、日立電子サービスが人財育成において重視している「人間力の強化」にもつながっています。このような「体験・体感型研修」をはじめとした同社の研修内容が、新入社員にどのような影響を与え、実際の仕事にどのような効果をもたらしているのか?「コ学」関係者の方々に、詳しいお話をうかがいました。

Profile
荊沢光彦さん
荊沢光彦さん
日立電子サービス株式会社 人財開発本部 コンピュータシステム技術学校
校長

(ばらさわ・みつひこ)●1978年、日立電子サービス株式会社入社。入社以来、通信機技術関連の本社部門/現場部門・東京地区の企画部門・監査室・CSR部門と、さまざまな職場を経験し現在の仕事に到っている。いろいろな経験と人的ネットワークが新人教育においても、大変役に立っている。常に進化し続けるICTに対応できる技術者に新人を育成するとともに、諸先輩が培ってきた当社のDNAをしっかりと継承していきたいと考えている。

広谷正宏さん
広谷正宏さん
日立電子サービス株式会社 チーフエキスパート

(ひろたに・まさひろ)●1970年、日立電子サービス株式会社入社。大型メインフレームのCE(カスタマーエンジニア)としてお客様先に駐在。その後、5年の工場勤務を経て支社勤務となり、保守取り纏め、CSマネージャ、営業を担当。2006年10月人財開発本部に異動。2007年4月より現職。お客様先では沢山のことを経験したが、お客様に教えられることも多かった。この現場で培った経験やノウハウを、新人や若手インストラクターへ伝授するのが使命だと考えている。

「人財育成」への考え方

 「コ学」では入社から8ヵ月間もの間、「基本とコア・スキルを身に付け、自律考動できる人財を育成する」というスローガンを掲げ、新人教育に積極的に取り組んでいます。この自律考動という考え方に至った背景は何でしょうか。

人財開発本部 コンピュータシステム技術学校 校長 荊沢光彦さん

荊沢:IT業界は、目覚しいスピードで進化しています。当社が発足したのは1962年。その当時は、ホストコンピュータの時代で、マニュアル通りに正確、迅速にコンピュータの据付作業や保守作業ができる技術者が求められていました。そして時代が進み、オープン化、ネットワーク化など、ICT技術が高度化、複雑化するに伴い、お客様の業務も大きく変化してきました。このような環境変化の下、お客様はICT技術をどのように使いこなせば、より効率的に、またコストをかけずに業務をさばけるのか――こういうことに悩みを抱えるようになっています。現在は、こうした状況に置かれているお客様の役にいかに立てるか。単に機械を早く直すことができるだけでなく、新たな資質を持った技術者が求められているのです。

具体的に言えば、自分でお客様の課題に気がつき、その解決策を提案することができる。そして、それを最後までやり通す。こうした資質が必要となってきます。これを端的に表しているのが、自律考動(自分を律し、自分で考え、自分で行動できる)というスローガンなのです。

 最初から最後まで、自分自身がワンストップで対応できる、いわばプロジェクトマネジメントができるような人財ということですか。

荊沢:その中でも、特に入り口の部分が大事だと思います。それが、「気づき」です。気づ くためには、自分の頭でいつも考えて、いろいろなことをインプットしておかないといけません。ただ漫然と日々を過ごしていては、気づきは得られません。そして、気づいたら実際に行動に移していくことが不可欠です。

 気づきの部分を最初にしっかりと教えていくことが、とりわけ指示待ちと言われる昨今の若者には必要なことなのでしょうか。

荊沢:そうですね。最初の動機付けというのは、その後の本人の成長にも大きく影響を与えますし、非常に大事なことだと考えます。

広谷:最初は、小さなスタートでもいいのです。例えば、同じクラスに勉強についていけない人がいたとします。すると、それはまずいと考えて、勉強のできる人が教えていく。クラスごとにリーダーとなる人が出てきて、落ちこぼれが出ないよう、きちんと対応していく。あるいは、資格を取ろうということになったら、その資格を持っている人が自ら先頭に立って、皆に教えていく。こうしたことも、自律考動の一つの現れです。まずは自分で考え、小さな行動に移していくこと。その結果、だんだんと自律考動ができるようになっていくのです。

 小さくても、自らの気づきから行動が伴うようになってくると、それが、お客様への自律考動的な対応へとつながっていくわけですね。ところで、採用に関しては「学部不問」で対応しているとうかがいましたが、それはどのような理由からですか。

荊沢:当社の財産は「人」です。そこでは、ITスキルだけではなく、ヒューマンスキルとの両輪を考えています。だから、採用でも人間性を重要視するのです。そのため、技術系だけではなく、優秀な人だったら文科系の人も入ってくるのは自然なことでしょう。

知識やスキルは、入社した後からでも十分に身に付けることができます。事実、全社員の2~3割が文科系出身です。このような考え方で採用した新入社員を、他社に負けないレベルにまで上げるために、「コ学」でしっかりと学んでもらうのです。

■ 図1:基本としている考え方(スローガン、重点施策)
図1:基本としている考え方(スローガン、重点施策)
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この記事ジャンル 新入社員育成

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*****さんがその他でオススメしました

北海道 医療・福祉関連 2011/02/01

まさに、理想的な人財開発体制だと思いました。
経営層の理解が深いのでしょう。ここまで徹底して運営できることを知り、同じ人財開発部として勇気をいただきました。

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