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第39回:「学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)」を
実現する方法(後編:事例)
~事例から学ぶ「学習する組織」に向けての方法

解説:福田敦之(HRMプランナー/株式会社アール・ティー・エフ代表取締役)

「前編」では、いま「学習する組織」が求められている背景と、そのあり方について紹介してきた。「後編」では、具体的な「事例」を交えながら、「学習する組織」を体現するための仕組み作りについて紹介していく。

組織で行う「学習」の方法

「学習する組織」において、個人が持つ関心や夢、思いを、各自が置かれている状況や環境の中で実現していくには、多様な「学習」の方法が欠かせない。その際に大切なのは、学ぶ側の主体的な選択だが、学ばせる側が学ぶ側に適したものを選び、提案できればいいだろう。以下、組織で行う「学習」の方法について、主要なものの概略を記しておく。

(1)アクションラーニング
「行動を通じて学ぶ」「仕事を通して学ぶ」のがアクションラーニング。参加メンバーには、相互にサポートし合うこと、学び合うこと、刺激し合うことが求められる。そして、この集まりで学んだことや得た情報は、即プロジェクトに活かし、次回の集まりではその結果を報告するようにする。この積み重ねにより、プロジェクトや仕事全般の改善に役立つ、たくさんの良いヒントが得られる。また、マネジメントトレーニングとしても、極めて効果的だと思われる。

(2)メーリングリスト
メーリングリストとは、参加者メーリングリスト専用のアドレスにメールを送ることで、登録メンバー全員に、そのメールが自動的に配信されるサービスだ。多数のメンバーが相互にメールのやり取りをするときに効果を発する。何より、メンバーが持っている多様な知識、知恵、視点の共有化が図られ、メールのやり取りを通じて、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。

(3)会議
単なる「伝達」「報告」のためだけなら、わざわざ会議を開く必要はない。言うまでもなく、「学べる会議」が求められている。「問題解決や目標達成のためにたくさんのアイデアを出し合う」「合意を形成したり、物事を決定したりする」「出席者の学び合いを実現する」という場合には、皆が集まる会議は効果的といえる。

(4)ワークショップ
ワークショップは、「参加型研修」による学習法である。講師が受講者に、一方的に教えるのではない。場を仕切るファシリテーターは、参加者こそが「主役」と位置付ける。参加者が知識、技能、態度を作り出し、身に付けていくのをサポートするため、ファシリテーター自らが、それらをモデルで示していく。相互の教え合いや学び合いの環境を作る中で、参加者の持つたくさんの知識や経験を活用することができる。

(5)オフサイトミーティング
オフサイトミーティングは、会社という場を離れた環境で、会社の問題点や今後の方向性について真剣に話し合うことに最大の特徴がある。組織にとっての重要事項をじっくりと話し合ったり、練ったりすることを目的として、特別に設定された会議である。通常の会議と異なり、場所を変えてまで行うメリットは、場所や人間関係を変えることで、発想自体も変える点にある。ブレークスルーとなるアイデアが期待され、それをもたらすように会議を運営していくことが求められる。

(6)ベンチマーキング
ベンチマーキングとは、自社のビジネスプロセスの非効率な部分を改善するために、他分野での優良な事例を探し出し、それを指標として自社の活動を測定・評価することで、業務効率を高め、変革していく経営上の手法である。手っ取り早いのは、おぼろげに描いていることがあれば、既に実現している他社を訪問することでイメージを鮮明にし、それを実現するためのノウハウを可能な限り学び取ることではないだろうか。

(7)コーチング
コーチングとは、組織の中で一人がコーチ役となり、ある一人を積極的に観察して、問題点を見つけたり、話を聞いたりするなど、一連のサポートを行うこと。仕事を見直させ、修正させ、より洗練したものにさせて、さらに発展させていく。抱えている問題の改善や、解決を目的として行われる。上司が率先して実践すると、組織に良いモデル(学び続ける風土、協力して事に当たるなど)を作り出すことにつながっていく。

(8)メンタリング
メンタリングとは、指示や命令ではなく、「メンター」と呼ばれる指導者が、対話による気づきと助言によって、被育成者である「メンティー」本人の自発的・自律的な発達を促す方法である。メンター側の学びに焦点が当てられたとき、関わる当事者はもちろん、メンティーそして組織全体にも、「学習」という意味で大きな効果が期待できる。

(9)ジョブシェアリング
ジョブシェアリングとは、正社員に対して短時間労働を含めた多様な勤務形態を提供する「多様就業対応」のことある。ジョブシェアリングのパートナーが持っているいいところを、お互いに学び合うことができる。

「学習する組織」の事例(ケーススタディ)

考え方や手法も大切だが、やはり「事例」がないと「学習する組織」のイメージ・実像はつかみにくいだろう。事例1では、センゲの「学習する組織」の概念に沿った大手企業を、事例2では、ベンチャー企業のケースを基に、「自社なりの主体的な自己成長を促す仕掛けを用意する」をポイントに置いた内容の2社を紹介していく。

【事例1】5つのディシプリンが盛り込まれた「アクションラーニング」

R社(大手情報産業)では、次世代リーダー育成を目指したプログラムが行われている。このプログラムは、長期間に渡って参加者たちが自分たちの組織で抱える課題を持ち寄り、参加者同士で「ダイアログ」を行いながら、解決策の仮説検証を行い、現場のメンバーとともに組織変革を推進していくアクションラーニングプログラムである。この中に、システム思考の考え方やダイアログ、共有ビジョンなどセンゲの5つのディシプリンが盛り込まれている。

■「組織力」を向上させなくては生き残れない
高度成長期には「強烈な指揮官の下、優秀な兵隊がいる」という単一な組織が一般的だった。しかし、現在は雇用形態が多様化し、社内外のさまざまな人たちとコラボレーションし価値を創造していくことが"常"となってきている。異質なものを取り込み、その組み合わせの中で成果を出していかないと次の成長段階へと進めない。こうした状況下で、組織力を上げていくためには次世代リーダーをどう育成していけばいいのだろうか。

「これからの組織のリーダーたる人とは、多様なマネジメントを実践でき、未来を作り出していける人です。しかし、MBAや一部の人たちだけを集めて行う選抜プログラムで、果たしてこれからの組織を動かせるリーダーは育つのでしょうか。そんなことを考えていたときに、あるコンサルタント会社との出会いがありました。そこでシステム思考の存在を知り、まさにこれからの組織力を向上させていくのに非常に適した技法であると認識しました」

そして次世代リーダーを育成するプログラムを開発していったわけだが、何よりもベースとして、「システム思考」を会社のなかに取り入れたいという強い思いがあった。というのも、これまでのような直線的な思考方法では抜本的に課題を考えたり、また課題の因果関係などを構造的に捉えたりする力が育たないと思ったからである。

■「ロジカル思考」から「システム思考」へ

「そもそも人には、過去に経験したパターンを繰り返していく傾向があります。しかし、現在のように過去の成功体験が通用しない時代では、ロジカル思考は必ずしも有効ではありません。ロジカルでいかにツリーを綺麗に描いても、構造が非常に複雑で、重層的になってきている現代社会では、やはり限界があるように思います。このような状況下では、システム思考が有効だと考えました」

システム思考とは、組織を生きたシステムとして扱い、これまでの分析的思考法だけでは解決できなかった、さまざまな要素が複雑に関連し合っている問題の解決策を見出すための技法である。ただ、システム思考を教科書通りに進めるのは現実的ではないので、実際の場面で使える形に仕立て直していった。

「つまり、図を描くことが目的ではなく、因果関係を構造的に捉えて、物事を見るときには、システム的に捉える思考が大切だと知ってもらうことに重点を置いたのです。システム図が描けるかどうかは別として、システム的な思考で物事を見ることができることをゴールとして、研修プログラムを修正し、全管理職を対象に行っていきました」

それをベースにして検討会などを設け、システム思考を社内の「共通言語」にしていったのである。

■「プログラム」の概要
プログラムでは、まず2泊3日の「ワークショップ」を2回実施した後、職場に戻っての「アクションラーニング」を6回行う。何より、研修を「リアルワーク」と切り離してしまっては、組織力が上がらない。そのため、アクションラーニングのウエートを高め、参加者が集まるワークショップの位置付けは、「プラン(設計)」と「リフレクション(振り返り)」「リプラン(再設計)」に強化した。

基本テーマとしては、まず「DO」から「BE」へのリーダーシップへの転換がある。「DO」すなわち指令・命令で人を動かすのではなく、自らがリーダーとして「どう生きるか」という「BE」を探求。リアルワークの中で挑戦し続けながら、自己変容を図り、関わり合う人々と組織のイノベーションを促進し、マーケットイノベーションを創発させることを考えている。そして、メンバーと協働するアクションラーニング。これが2本柱となっている。

最初に行う「ワークショップ」では、まずは「あなたは何者ですか」といった自己探求から始めている。その際、自分が人とどう関わっていくかということで、メンバーのシステム図を描いたり、組織のシステム図を描いてみたりすることで、システム思考の基本を学んでいく。そして、ここで「内省」が行われる。それが「DO」から「BE」へのシフトだ。

「BE」へとシフトした後、今度は現場でメンバーとどうするかという問題が出てくる。ここで「個人ビジョン」を、ストーリー仕立てで描き、それを皆で共有していく。そして、その個人ビジョンを組織のビジョンへとつなげていくということを行っている。

「考えてみれば、以前はトップ自らがビジョンを作成し、それを皆に伝えていくビジョン共有が主体でした。しかし、現在は共有するビジョンをどう作るかが重要です。それには、一人ひとりが何をしたいのか、この仕事を通して何を実現していきたいのか、といった部分をプロセスとして共有し、理解していく作業が不可欠と言えます。そして、これが我々のやりたいことだから、ここにコミットメントしてやっていこうというマネジメントが、これからのリーダーシップのあり方だということを、参加者に徹底しています。このプロセスを、1回目の集中セッションで重点的に行っています」

つまり、こうしたビジョンを共有することで皆が感動し、影響し合い、その結果、意識の変質が始まっていくのだ。そして、第2回目の集中セッションでは、システムで考えることをもう少し掘り下げていき、皆が共通で検討する場というものを作り上げていく。なお、この2回における集中セッションは、役員をシャットアウトして行っている。

その後は、現場でのリアルなテーマを扱う段階へと移っていく。ここでは個々人が自分の抱えているミッションについて、楽観シナリオと悲観シナリオを描いていく。そして、2~3週間後に皆がまた集まり、それまでに現場でどんなことをやってきたのかを、ストーリー仕立てで書く。それを皆で叩き合っていくことを、半年間繰り返しながら行っている。

■「集団の力」を使っていかないと先に進めない時代に
そもそも、組織力を向上させるために採用したシステム思考であるが、これからは「英知」に頼らなければならない時代に入ってきたという、強い自覚があったからこそ。従来のように、一人の知恵で何かを解決できるほど、物事は簡単ではないからだ。その英知を結集するという技術が、これからの時代には不可欠なスキルとなっている。

集団全体の思考の質、さらに集団の相互における関係性の質を上げていかないと、組織としての力は高まらない。その組織の力が高まらなければ、次の時代には生き残れない。

「その意味で、一部のハイパフォーマーだけに報いる成果主義は、時代に逆行しているのではないでしょうか。いかに機動力に優れ、現場の人たちを早く立ち上げていくことができるか。これが、これからの組織経営での大きなポイントとなるように思います」

【事例2】ベンチャー企業に見る学習の仕掛け

(1)自然に人材が成長していく仕組みを作る
前編でも述べたように、センゲの概念による「学習する組織」にこだわることはない。実際、ヒト、モノ、カネに制約のあるベンチャー企業は、選択と集中を行うことにより独自のやり方で「学習する組織」の実現に取り組んでいる。そこから学ぶことは、決して少なくないように思う。

E社(ポータルサイト運営)は、人材に対する基本的な考え方として8つの「マインドセット」を置くと同時に、長期的なキャリアパスとなる「人材ピラミッド」を構築。これに沿って、自然と人材が成長していく仕組みを作ることで、組織と人材の競争優勢性を実現している。

■人材活用・活性化に向け、さまざまな取り組みを行う
E社では、「人が全て」と考えているので、人材活用・活性化への取り組みでも、いろいろな工夫を凝らしている。例えば、「コミットメントシート」。ポジションごとに、ガイドラインとして期待していることのほか、担当しているプロジェクトなど、目標を3ヵ月ごとに設定している。

「この3ヵ月間に何をするかを、メンバー間の話し合いの中でコミットしてもらうものです。バックオフィスを含めて、全て数値化して目標を記しています。自分が成長している、仕事を達成している、ということを示すのに、数字は非常に分かりやすいし、説得力があるからです。そして、この3ヵ月間で何を達成したのか、それを褒める場所として位置付けており、その結果を賞与へと反映していきます」

コミットメントシートの目標をどうするかは、メンバーとその上司に任せているが、その結果に対するフィードバックは、社長自らが担当している。3ヵ月に1度、1人に対して約1時間をかけて行う。

「全員となると1週間近くを要するため、かなり大変な作業です。厳しいフィードバックをするときもありますが、基本は本人の強みを伸ばすこと、可能性を引き出すことを中心に行っています」

また、1週間単位に目標を設定するのが「フォーカスシート」。コミットメントシートを達成するために、戦略や戦術の見直しが必要な広告営業やマーケティングプログラム研修のチームなどに適用している。

教育面に関しては「補助金制度」がある。書籍を購入する際には、毎月5,000円まで支給。セミナーの参加に関しては、上限を5万円として半額を負担している。利用率はかなり高い水準にある。

■映画を題材に「オフサイトミーティング」を開催
「オフサイトミーティング」を、半年から四半期に1度、開催している。社員旅行を兼ねる場合もあるが、日常と離れた場所で終日、皆と過ごすことを主目的としている。そこでは、映画などを題材に、仕事に活かすためのリーダーシップのあり方について議論したりしている。他にも、いろいろなセッションを実施している。例えば、感謝の気持ちを伝えるセッションでは、日々の仕事で感謝している点をお互いに発言し合うことで、新たな発見が生まれ、これから頑張ろうという気持ちになってくる。あるいは、チームごとに今後の戦略をまとめる時間を取って、その内容をプレゼンテーションする。上から説明するのではなく、現場で自分たちが考えた内容を発表するので、チームとして何をしようとしているのかが、非常に明確になってくる。オフサイトミーティングでは、多様なメニューを用意することで、組織としての一体感がより高まる効果が期待できる。

(2)新人の頃からステージとチャンスを与えて人材を育成
N社(マーケティング)では、皆が仲間意識を持つ中で、新人の頃からステージとチャンスを与えている。それが「ファミリー企業」として絆を確固たるものにしている。そして、「学習する組織」としていくために、以下のような取り組みを行っている。

■さまざまな「キャリアビジョン」が描ける体制
インターン研修期間を経た後、新入社員は営業部門に配属される。商売には作ることと売ること、この2つしかない。その際、お客様に商品を売るためのサービスが提供できない、つまり、サービスを提供するコミュニケーション能力がないと、何も始まらない。そのため、営業を学ぶことから入っていくことになる。その先、営業でキャリアを作っていく道もあるが、同社にはさまざまなグループ会社がある。実績さえ上げたら、本人の能力・努力を還元していく形で、グループ会社で力を発揮してもらう道を用意している。さらには、自分でやりたいプロジェクトを立ち上げることができるなど、さまざまなキャリアビジョンが描ける体制となっている。

■ベテラン、中堅、新米が存在する「昇格制度」
同社独特の昇格制度がある。今置かれているポジションから次のステップを踏むためのステージとチャンスを、明確に制度化するものだ。一定の規模の会社となると、どうしても年功序列的な昇格になる。例えば、仕事のできる主任がいたとする。ぜひとも係長にしたい。しかし、現職の係長と比べ、少し劣る面がある。それを同じ係長にすると、現職の係長は、不満を覚える。そこで、その係長を課長に上げようとすると、今度は現職の課長が面白くないと思うだろう。人を昇進させようとすると、こうした問題が必ず出てくる。そこで、波風を立てないように昇進させていくわけだが、結局、年功序列的な運用となってしまう。

「そのため、同じ役職でも、いろいろな人がいていいと考えました。例えば主任や係長にベテランがいてもいいし、中堅や新米がいてもいい。役職は同じでも、ランクをA(ベテラン)、B(中堅)、C(新米)と分けて処遇していく。そうすると、新米Cにすれば『チャンスをもらった』と思う。一方で、ベテランAは『もう少しで、次のポジションに行ける』と考えるわけです。役職にランクを付けることで、各人のモチベーションが大きく違ってくる。いろいろと試行錯誤してできた制度ですが、こうした仕組みにしたことで組織風土がチャレンジングとなり、とても良かったと思っています」

■「グランプリ制度」により、全社員間でノウハウや情報の共有を図る
全国の成績優秀者を東京に集めて、毎月実施している社内表彰イベント。実に、10年以上前から行われている。営業部門の表彰だけではなく、バックオフィス部門も社長賞として表彰していく。新人賞などもあり、入社したばかりのインターン生や新入社員にも公平にチャンスが与えられる。表彰式の後は、表彰者たちを豪華ディナーに招待、その後、夜景の綺麗なゲストルームで熱く語り合う。一流を知ることは人間の幅を広げることにつながるという考えから、ディナーのメニューから開催場所に至るまで徹底的にこだわっている。

「グランプリの受賞者というのは、その月の全国トップの人たちです。その人たちの営業時間をストップして、全国から東京本社へと集まってもらい、イベントを行うというのは、生産性に反することになる。効率を考えると、報奨金を与えれば済むことでしょう。しかし、インセンティブとしてお金も大事ですが、それ以上のものがここでは醸成されます。全国トップの人たちを東京本社に呼んで、皆の前で自分が頑張ったストーリーを語る。ストーリーを語るときには、笑いもあるし、涙もある。その姿を見て、皆があんなふうになりたいと思うわけです。この効果は計り知れません」

グランプリの模様は、全国に映像配信、全社員間でノウハウや情報の共有を図っている。成績優秀者から日々の業務に対する姿勢や部下の育成方法、ハイパフォーマーの秘訣などを伝達するための重要な教育プログラムとなっている。

「同様に、食事会や誕生日会、歓送迎会など、コミュニケーションを図る場を全国至る所で行っています。仕事以外のプライベートでも、上司と部下が一緒に旅行に行くなど、当社では皆が楽しく遊んでいます。これを、当社では『絆』と呼んでいます」

■経営者としてリーダーシップを発揮してもらうための「社内ベンチャー制度」
有望な新規事業企画であれば、法人化する制度。ビジネスモデルを立案した社員が社長となり、グループ会社として起業できる。新社長は株式を保有し、経営者としてリーダーシップを発揮していく。グループダイナミクスとして、全面的に応援・支援していくというもの。

「会社の規模が大きくなるほどブランド力は高まり、親会社と子会社の間での相乗効果が生まれます。しかし、今の日本企業を見たときに、100%子会社の雇われ社長状態になってしまい、子会社の社長というのはサラリーマン意識が非常に強い。当社が目指している社内ベンチャーはそうではありません。当社のブランドを高めながら、この制度を使って本当の子会社の社長を育てていきたい。個別で見ると自分自身の会社であることを強く意識していく。同時に、当社のファミリーであり、そうした絆を強く持った関係性を広げていきたいのです」

■新入社員の戦力化を実現する「メンター制度」
新卒入社のメンバーを、先輩社員が実務、メンタル共にサポートする制度。社会人になれば、今までの経験ではなかった挫折や失敗に出会うことがある。すべての事に対して、責任が発生してくるからだ。そのことで、戸惑い、思い悩む新入社員が少なくない。そうしたときに、職場の先輩たちによるマンツーマンでのサポートは、新入社員の戦力化にも大きく寄与している。

*               *

■個人とリーダーとの協同作業
事例企業を見ていて思うのは、仕掛け役としての人事部とチームのリーダーの果たす役割が大きいということ。なかでも、日々一緒に仕事をしている人の存在は別格だ。学びに限って言えば、リーダーの仕事とは、従業員の中に眠ったままでいる潜在的な力を気づかせ、それを使いこなすように支援することである。同時に、それは従業員一人ひとりの問題でもある。「自分は何ができるのか、何をしたいのか」は、それぞれ一人ひとりの思いや考えに根ざしているからだ。

組織のリーダーと個人、それぞれが協力し、学ぶ方法を身に付けて初めて、学びが実のあるものとなっていく。その延長線上に「学習する組織」は存在するのである。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

(後編に続く)
この記事ジャンル 組織開発手法

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