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川西玲子さん 映画から学ぶ
「人事力=人材マネジメント術」

時事評論家、映画評論家

川西 玲子さん

キラーコンテンツとしての「黒澤映画」と「歴史映画」

川西さんが考える、人事担当者にオススメの映画は何でしょうか。

本当に、数限りなくありますが、やはり黒澤明の映画。これは、非常にいいと思います。いろいろな意味で今日的ですね。どの映画も、いま観てもびっく りするほど新鮮です。例えば、「酔いどれ天使」(1948年)、「野良犬」(1949年)などは敗戦後、闇市を舞台に続けてつくられた映画です。戦後の心 がすさんだ若者の話で、ある意味、いま置かれた状況と似ているように思います。現代のビジネス社会に生きる上司が観るのにふさわしいのではないでしょう か。

若者は、常に時代の病んだ部分を引き受けて、すさんでしまい、いろいろな問題を起こす。それはただ単に、いまどきの若者だからというだけではありま せん。戦後の黒澤映画は、その時代と若者との関わりが分かるという意味で、コンテンツとしてすごくいいと思います。まさに、「若者と向き合うこと」は「時代と向き合うこと」だと思いますね。

文庫本がベストセラーになった「蟹工船」はどうですか。

「蟹工船」(1953年)が取り上げられること自体、コンテンツとして魅力があるからでしょうね。その結果、原作を読んでみようという人が出てく る。あまりにおそろしくて手が着けられなかった「蟹工船」がリバイバル上映され、少し身近になったという意味ではとてもいいことです。

実は、「蟹工船」は格差の問題もありますが、その本質は昭和の初めを描いた「歴史映画」です。いまの時代というのは、実は歴史を知ることによって分かってくる。そして、未来を考えることにもつながっていく。その意味が大きいと思っています。

川西 玲子さん Photo

同じような意味で、「フラガール」(2006年)も日本の戦後史としてとても面白い。実際、この映画にはさまざまな生き方が描かれています。最後ま で炭鉱の誇りを捨てたくない人。生活のためにはそんなことは言っていられないという人。そして、自分は炭鉱を大事にしたいけれど、娘の世代はもう炭鉱は駄目だから、娘には自由に生きてもらいたいと、最後に母親が決心することになる。ここが泣かせます。時代が変わっていくとき、産業構造が転換していくときに 起こる悲劇とは、こういうものだというのが、如実に出ている。

こうした歴史映画を観ると、日本の経済成長もある意味、いろんな犠牲をはらってきたというのがよく分かります。炭鉱労働が傾いて仕事を失った人たち を自動車産業が吸収したわけですから、その意味ではまさに、日本の戦後史をダイレクトに取り上げた格好の教材と言えるでしょう。

いまもある意味、大きな転換の時代です。こうした映画から、何を学ぶことができますか。

実は、この「フラガール」という映画、最後にすごいカタルシスがあります。いわゆる映画という娯楽の持つ「浄化作用」です。泣いた後、ワーッという踊りとともにハッピーエンドがくる。

ここで、ものすごい前向きの力が出てくるわけです。この映画が持っている健全な浄化作用は、とても大きいと思っています。映画を観て現実を忘れる、というのとはちょっと違う。前に出ようという気持ちをもたらすという意味でも、すごくよくできている映画です。

こうした気持ちを醸成させるツールは、他にはなかなかありませんからね。その他、ビジネス寄りのテーマでは、他に何か良い映画はありますか。

私たちは競争社会に生きていて、管理職は査定もしなければなりません。いま、公開されている「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」 がまさにそうしたテーマを扱った映画です。サブタイトルが「コーラスラインにかける夢」なのですが、「コーラスライン」はご存知のように、ブロードウェイ の舞台に立つためのオーディションの過程を、そのまま舞台にしたミュージカルです。その「コーラスライン」の舞台に立つためのオーディションをドキュメン タリーにしたもので、見事な二重構造になっています。

実に、3,000人の中から19人が選ばれる。その過程に圧倒されます。そして、最後に日本人が1人残ると。そういう意味でも面白い。新しい映画の中でおススメとして挙げられます。

いろいろな「価値観」を知ることの重要性

ところで、川西さんが個人的に好きな映画は「ロード・オブ・ザ・リング」(2001~2003年)とか。

これは「小さき者が世界を救う」という話です。1番無力に見えるホビットが苦難を乗り越えていく。グローバル化したいまの社会では巨大なシステムがすべてを動かしていて、人間ができることは何だろうかと考えさせられることはありませんか? 個人の裁量が果たして、どこまで活かされるのかと。何だか、システムの中で埋もれてしまいそうな気がします。

そういう世相がある中で、この映画は最後の最後、主人公が悪の誘惑に負けてしまうのです。そこが何とも言えない終わり方。あんなに苦労してがんばっ たのに、最後に負けてしまう。善悪の関係が実に複雑に描かれていて、何が善で何が悪なのか、簡単には決められない。それをゲーム的な単純な話にしなかった のが、ヒットの秘密であり、魅力であると思っています。最近のファンタジー映画の中では、大人も十分に楽しめるし、個人的にもおススメです。

それから、昨年公開された「パンズ・ラビリンス」。これもすごい話です。特に最後にこんな救いがあるのかという点。まさに、天国の門に入るとはこういうことかという終わり方です。

監督はスペイン人。もともとはホラー映画の監督ですが、この人にとって恐怖の源泉はスペイン内乱のファシズムにある。何より、扱っているテーマが宗 教問題です。日本人にはピンとこないかもしれませんが、この映画ではキリスト教が背景になっているので、心情的に理解するには好都合かもしれません。現実 問題として、ビジネスをしていく上で欧米の人と接すると、否応なくキリスト教はいろいろな場面で出てくるわけですから。

欧米を知る上で、こういう映画を観ておいたほうがいいと。

川西 玲子さん Photo

ええ。それから、「ブラインドネス」という映画が、いま公開されています。ちょっと質のいいパニック映画くらい かなと思って観てみたら、びっくりするような内容です。ネタバレになるので詳しくは言いませんが、これも最後に神の恩寵というか、救いがあるのです。やは りカトリックの国の映画は私たちの想像を超えるものがあると、改めて感じました。

私の場合、映画との出会いがそもそもイタリア映画だったのですが、イタリア映画はすごくカトリックの影響が強くて、それでいてすごく不道徳な映画を つくる。これは、いかにカトリックの体制が圧倒的で強圧的かを物語っています。そして、それを跳ね返すには、ここまで不道徳な映画をつくらなければならな かった。「パンズ・ラビリンス」や「ブラインドネス」を観ると、ヨーロッパの根底にある文化の奥深さを感じずにはいられません。

こういうラストは、日本人ではなかなかできないですね。

実際、残酷な場面、悲惨な描写があります。しかし、その代わりにものすごい救いがあって、最後に選ばれたものだけが天国の門に入る。試練を受けないと、天国の門には入れないということを、まざまざと見せつけてくれます。

そういう思考、プロセスは、われわれにはありません。

やはり、日本人ですからね。とにかく、多様な文化を知ることが人としての幅を広げ、他人に対する理解を深めます。もう1つ例を挙げるとすれば、3年 前に公開された韓国の映画で「王の男」(2005年)。韓国は何かあると、すぐにデモがあります。そうした韓国人の激しさを、私たちは理解できずにいます が、そこまでしなければならない苛酷な歴史を背負ってきているわけです。この映画を観ると、それが実によく分かります。2005年に韓国で一番ヒットした 映画です。

なるほど。では、アメリカの本質を知るという意味ではどういう映画がありますか。

今年公開された、「新バットマンシリーズ」の第2弾である「ダークナイト」。恐らくアカデミー賞を取るでしょう。大富豪がバットマンになるまでのプ ロセスを描いたのが「バットマン・ビギンズ」で、これはなった後の物語です。問題は、ゴッサムシティの悪がなかなか消えないこと。その背景にあるものを、 リアルに説得力をもって描いている。そして、そこに傷ついたアメリカが投影される。まさに、傷つきながらも対テロ戦争を遂行してさらに傷ついていく…と 言ったらいいでしょうか。いまのアメリカが抱える苦悩と、そこから希望の光を見いだそうとする姿を深く描き出している。何より、ここにオバマ大統領誕生の 理由が見えてきます。

えっ、オバマ誕生の理由が分かるのですか?

こういうアメリカが、オバマの登場を望んだということです。テレビではエコノミストがオバマ政権誕生について、政治的、経済的な解説を行っていま す。ただ、それは表面的なことであって、多くの傷ついたアメリカ人が心情的にオバマに夢をかけるゆえんを、この映画でよく理解することができます。個人と して、 1アメリカ人と心を通わすような感じ、といったらいいでしょうか。

異文化との接点を、どこに見つけるか。映画はその接点の見つけ方として、すごくいいツールですね。

その意味では日米双方の視点から描いた、硫黄島2部大作「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」(2006年)もいい。アメリカと日本との接点を ハリウッドが模索した話です。ハリウッドの戦争に出てくる日本人の描き方としては1番新しいし、日本人の感覚に1番近いですね。これは両方セットで観るこ とを、おススメします。

分かりました。では最後に、読者である人事部の方へのメッセージをいただけますか。

いまほど、人事部の見識、考え方が問われている時代はありません。システムが巨大になり、大きな力を持っているからこそ、人間の力をどう引き出していくか、活かすかということが大事になってきているからです。

その際、人事部の方が「教養」を身に付ければ付けるほど、会社はよくなると思っています。ここでの「教養」とは、相手のことをよく知り、組織のマネ ジメントの中で適切に活かしていくということ。それには、映画というツールがとても有効だと考えます。映画には、いろいろと深掘りできる部分があります し、面白いポイントもあります。それは、仕事云々を抜きにしても、とても興味深いものです。

そういう意味では「教養」が、これからもっと大切になっていくように思います。本日は、ありがとうございました。

以下、6つのカテゴリごとに、「人事力」を上げるための映画をピックアップしています。

「人事力」を上げるための映画リスト(編集部作成)
1. 判断力、決断力、リーダーシップを養う
2. 良好な労使関係、コミュニケーション・相互理解・共感、働くことの意味を考える
3. 時代・歴史映画から戦略性、組織・人心掌握を学ぶ
4. 成長すること・学ぶことの意味、キャリアコンピテンシーを磨く
5. 人格・品格、人間力を高める
6. 相互コミュニケーションを図る上でのキラー・コンテンツ

川西 玲子さん Photo

取材は2008年11月27日、東京・港区にて
(取材・構成=福田敦之、写真=東幹子)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル 人材マネジメント

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