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企業をのばす現場力
―人事部が変われば現場も変わる

早稲田大学ビジネススクール教授
株式会社ローランド・ベルガー日本法人会長

遠藤 功さん

「何のために仕事をするのか」という原点に立ち返る

成果主義の流行などは、施策が現場から遊離してしまった最たる例といえませんか。

その通りですね。「メリハリをつけた評価」というと聞こえはいいけれど、全体のコストを抑制するために無理やり差をつけて、現場の仲間をランク分けしているだけですから。たとえばAランクと評価されるハイパフォーマーが全体の一割だとして、その一割を満足させることによって、残りの九割のやる気をそいでしまうのが現在の成果主義です。

でも、日本の現場は本来そういうふうには回っていません。チームで仕事を進めるから、単純にA、B、Cでは割り切れない。そこにあえてランクをつけることが、はたして全体最適になるでしょうか。大半はやる気をなくし、一割のハイパフォーマーもカン違いしてしまう。いいことは何もありません。だいたい数字で評価して報いれば、現場のモチベーションが上がるなんてとんでもない。私に言わせれば、短期指向の成果主義は組織のモチベーションを下げるための制度。現に、トヨタの現場には導入されていません。彼らのエネルギーの源泉は別にある。評価のしくみで現場のモチベーションが上がるわけじゃないんです。

トヨタのモチベーションの源泉は、ズバリ何ですか。

現場の仕事のやりがい、これに尽きますね。いいかえれば現場が、自分たちの仕事の価値や意義をしっかり自覚しているということです。かつてはどの企業もそうでした。人間心理を刺激する米国流のインセンティブの効果も否定はしませんよ。でも、チームで価値観を共有しながら大きな仕事を達成し、そのなかで人も育ててきた共同体的な日本の現場には、やはりフィットしないと思いますね。

先頃、トヨタはカイゼン活動に残業代を支給することを決めました。現場の自主的な活動であったカイゼンを、会社が“残業”と認めたわけですが。

遠藤 功さん Photo

私の知る限りでは、現場は「ばかばかしい」というのがホンネのようですよ。彼らみたいに本当にモチベーションの高い人々からすれば、お金のためだけに働いているわけじゃない、その仕事に意義や価値を感じているからやっているのだということでしょう。現場の一人ひとりが「自分がやる」という当事者意識を持っていれば、いわれなくてもとことんやるし、逆に“やらされ”感が強い人々にとっては、残業は残業でしかありません。残念ながら、安易な時短や残業規制が進む時流には、トヨタでも逆らえないのでしょう。

政府は企業に一方で「働くな」といい、もう一方で「国際競争力は高めろ」という。それでも現場のモチベーションを少しでも高めようと思えば、一人ひとりが何のために仕事をするのかという原点はくり返し確認されるべきでしょう。その働きかけを、ぜひ各企業の人事部の方々にお願いしたいですね。

現場はすごくて、ずるい生き物

最近は“現場主義”を掲げ、自ら工場や店舗に出向くトップの話をよく聞きますが、ご著書では「トップは現場へ行くな」と安易な現場志向に釘を刺していらっしゃいます。

私は、盲目的に現場を礼賛する“現場至上主義者”ではありません。現場は企業の主役ですが、いい現場もあれば悪い現場もある。扱いようによってはすごい力を発揮するけれど、まちがえるとサボるし、問題も起こす。「すごいけれど、ずるい」のが現場なんです。

そういう“生き物”だとわかったうえで、現場のパフォーマンスをどう最大化するかを考えるのがマネジメントの役割。現場主義だからといって、ただ工場や店舗に行けばいいってもんじゃないんです。まして決められたとおりに見回っておしまいでは、現場に底の浅さを見透かされるだけでしょう。そのときだけがんばっているフリをすればいいんですから。逆にトップが自ら緊張感を持って隅々まで見て回り、従業員に声をかければ、そりゃあ現場も引き締まりますよ。要はトップと現場の温度差が問題なんです。トップに「現場は自分の分身」と思えるぐらいの熱い覚悟があれば、現場にも伝染します。それを持っていないトップが現場を回ると、覚悟のなさが確実に伝染します。それぐらい現場はすごくて、ずるい。現場はトップの合わせ鏡なんです。

人材の育成にはヒエラルキーの再生が不可欠

強い現場を再生するための組織論、とりわけ人材マネジメントや人材育成についてはどうお考えでしょうか

成果主義と同様、昨今の主流である「フラット」や「オープン」といった組織論を、私はあまり信用してはいません。そのほうが一見きれいだし、組織が元気になるようにも思えるけれど、私はむしろ組織の中にヒエラルキーをどう保つか、あるいはどう取り戻すかが、これからの重要な論点だと考えています。なぜなら人が人を育てるためには、ヒエラルキーのなかでしか成立しない濃密なコミュニケーションが必要だからです。

トヨタも10年ほど前に伝統的なピラミッド型組織をいったん解体して、フラット化しましたが、数年前からまた見直しを進めています。課長がいて、係長がいて、担当者がいる――昔から企業人はこの縦のラインで鍛えられて、一人前になっていきました。日本の現場にとって人を育てることは使命ですから、縦のラインがきわめて重要だったのです。ところがこのよき伝統もいつしか壊れてしまった。そして「フラットでオープンなネットワーク組織」に変えた結果、全員が自分の仕事だけを追うようになって、誰も人を育てていない、誰も人に関心や責任を持っていない、そういう企業が蔓延してしまったんです。これは非常に危ない。人事部は、教育のしくみならさまざまな研修制度があるというでしょうが、強い現場を支える人材は制度だけでは育ちません。

「教え、教えられる」という関係があまりにも希薄になってしまいました。

遠藤 功さん Photo

人に対して無責任すぎるのではないでしょうか。部下にとって上司がいつも見ているとか、目をかけてくれているという感覚は楽ではないけれど、とても励みになるものでしょう。遠藤功さん部下も頼ったり、相談したり、ときには反抗したりしてもっと上を困らせればいい。そういう泥臭くて人間臭い部分を、企業がどれだけ担保できるかがこれからは求められてくるはずです。花王はコスト管理に厳しいことで有名な会社ですが、社内会議がそのまま飲み会に発展したときは、一次会まで経費で落とすことを認めています。ホンダは最近、運動会をはじめました。企業もようやく、人と人との繋がりや共同体意識の大切さを思い出したように動き出しています。

“熱さ”を現場に伝染させる「5→20→100」の法則

ただ過去をふりかえると、縦のラインを重視するあまり、とりわけ大企業に縦割りの弊害がはびこりましたね。

それは、現場が当事者意識を失くしてしまったからでしょう。現場の問題に対して、自分がやらなきゃと思ったら組織の壁なんて簡単に壊せるはずです。その壁は物理的な壁じゃない、「関係ない」「知らない」という自分の心の中の壁なんです。仕事を割り当てられて、やらされているという感覚ではなく、「これは自分の仕事」という当事者意識に目覚めれば、自然と作業全体の流れにまで目をくばり、自分から動いて周囲とのコミュニケーションをとるようになる。すると、現場がスムーズに回っていく。私のいう「現場力」とはつまるところ、そういうことなんです。日本はそこが強かった。当事者意識をもった熱い人材が日本の現場を支えていた。そういう人間はけっして組織の壁を持ち出して、「できない」ことの言い訳に使ったりしませんよ。

当事者意識や熱さといった資質は教えようと思っても、なかなか教えられるものではありません。どうすれば社員の心に火をつけられるのでしょう?

これはもう、そういう人間を一人ずつ育て、増やしていく努力を地道に続けるしかないでしょう。研修をやったからできるという類のことでもありません。トップでも人事でも、自らが熱くなってその熱さを現場に伝え、その働きかけに反応してくれる社員が一人でも二人でも出てくるようにするしかない。伝染ゲームみたいなものです。最初はおそらく一人ずつしか伝染しないかもしれません。でも、ある一定の臨界点に達すると、組織は一気に変わるのです。私はそれを「5→20→100」の法則と呼んでいます。組織の中の20%の意識と行動様式が変わると、残りの80%もガラリと変わる。だから20%に火をつけることを目標にするんです。5人に1人が現場力の重要性に目覚め、当事者意識を持って仕事に取り組めば、現場全体に大きなうねりが起こるでしょう。ただ最初から20%に火をつけるのはむずかしい。そこで5%のコア人材をまず育てて、彼らを起爆剤にして20%まで増やす。

私の経験上、どんな組織でもやる気のある人材はもともと5%程度はいるものです。そこから臨界点の20%までどうやってこぎつけるか――人事部が果たすべき役割は非常に大きいと思いますよ。

遠藤 功さん Photo

取材は2008年9月30日、東京・港区の株式会社ローランド・ベルガーにて
(取材・構成=平林謙治、写真=中岡秀人)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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