事故・機密漏洩等への対応は?
「インターンシップ」導入の際の法的留意点と企業のリスク管理
ロア・ユナイテッド法律事務所 弁護士
竹花 元
3. 類型
インターンシップは、目的に応じていくつかの類型に分けることができます。
大別すると、(1)職場体験型、(2)実務実践型、(3)課題解決型、(4)採用直結型があります。 (1)~(4)のうち、複数の要素をもっているのが通常ですが、前述したインターンシップ受入れメリットのうち、企業がいずれの点を重視するかにより、ど の類型のインターンシップを実施するか選択するべきでしょう。
(1)職場体験型
「働くこととは何か」といった職業観の醸成などを目指した類型です。大学への全入時代が到来し、さらには大学卒業後にニートとなる場合があるなど、若年者雇用対策のためのキャリア教育の一環として、近年急速に普及しました。
(2)課題解決型
企業や官公庁などで与えられた課題(もしくは自らが設定した課題)に挑戦し、課題解決能力を身に付けることを目的とする類型です。
PBL(Problem Based Learning/Project Based Learning)
インターンシップ生が中心となり、設定された課題に取り組む、少人数グループの教育手法をいいます。課題の設定は企業が行うことが多いようです。
サービスラーニング
大学・高校における教育と、地域で行われる有意義な奉仕活動を組み合わせた方法論で、体験教育と地域奉仕活動の機会を結び付けるものです。課題は学生が主体となって設定することもあります。
(3)実務実践型
学んだ知識を、実践を通して習得することを目的とした類型です。例えば、理系の大学で行われている産学連携の研究・開発やフィールドワーク、医療や福祉関連の大学で行われている現場実習、教員免許や学芸員などの資格取得のために必要な実習があります。
(4) 採用直結型
インターンシップ自体が採用活動の一部になっている類型です。インターンシップが一般に先行して優秀な社員を見付ける機能を有することは前述の通りですが、この類型はその機能を重視したものです。
通常はインターンシップだけで内定が出るわけではありませんが、そこでの行動や姿勢が評価され、面接へとつながることがあります。
4. 法的問題点
インターンシップについての法的な問題点としては、次のような点が挙げられます。
- インターンシップ生が労働者にあたるか(法的地位)
- インターンシップに関連した事故が発生した場合の企業の対応(企業のリスク管理)
- セクハラ等の防止
これら諸点について、詳しく見ていきましょう。
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