パート・アルバイトの職場に対する隠れた不満

アイデム人と仕事研究所 関 夏海(せき なつみ)

研修・教育の充実が働きやすい職場を実現する

現在の勤務先や仕事、働き方に関する満足度の結果で、「教育訓練の機会」が他の項目よりも不満の回答が多かったのは、入社後に教育研修等の機会が少ないことが理由ではないでしょうか。最初に教わった内容も、仕事に慣れていくうちにオリジナルになってしまったり、「あの人がルールになっている」ということが生まれてきてしまうもので、そこで再度確認や共有という意味で研修・教育を組み込む必要があると感じます。

「最初にマニュアルを教えておけばいいや」と考えている教育担当だとしたら、前述の感情を持つ方々の仕事へのモチベーションは高くならないでしょう。最初に研修・教育制度をそこまで重要視していないという結果があっても、働いていく中で必要度が高まるのであれば、しっかりフォローしてあげることで、パート・アルバイトのES低下を防げるのではないでしょうか。

ただし、教育する側が教育・研修の大切さに気付いていなければ、「教育訓練の機会」は増えません。企業の回答者自身が、部下に対するマネジメント教育を受けたことがあるか聞いたところ、半数以上が「ない」と回答しました。パート・アルバイトの教育以前に、まずは教育する側の環境を整えることが必要と言えます。遠回りになるかもしれませんが、自ら学び、教育の大切さを実感することは、働きやすい職場の実現につながるのではないでしょうか。

■図5: 部下に対するマネジメント教育を受けたことがある
部下に対するマネジメント教育を受けたことがある
アイデム人と仕事研究所は、求人媒体を発行する株式会社アイデムの研究部門です。アイデムは1970年に創業して以来、「人材採用」の側面から、企業経営のサポートをしてまいりました。そうした活動のなかで人と仕事研究所は、「採用後の人材を活かし、企業力を高めていただく」ための、各種情報・サービスの提供を行い続けてきています。 パート・アルバイトの活用を目的に調査・分析を行う「パートタイマー白書」や、人事マネジメントの成功事例記事、募集時賃金を集計し、その動向を伝える各種レポートなど。いずれの情報・サービスも、求人媒体事業を通じ、大手企業とは異なる“中小企業の「人」に関する課題”をつかむアイデムならではの、実践的な内容を旨としています。
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●文/関 夏海(せき なつみ)
2014年、株式会社アイデム入社。同年8月、人と仕事研究所に配属。賃金に関する統計・分析を担当。人と仕事研究所WEBサイトで発信している労働関連ニュースの原稿作成なども行っている

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