採用活動で、最も大切にしたいこと
アイデム人と仕事研究所 研究員
三宅航太
変わったものと変わらないもの
二つの調査結果をご紹介しましたが、いずれも回答に変化が見られました。変化した理由は、企業の意識と社会環境が変わったからです。
この10年で、雇用形態の違いによる不合理な待遇の差を是正する法律が整備され(労働契約法の改正、最低賃金の引き上げなど)、均衡処遇の考え方が浸透してきました。それによって、企業のパート雇用に対する考え方が変化したと言えます。また、スマートフォンの普及でインターネットはより身近なものとなり(初代「iPhone」は2007年発売)、求人媒体はネットが主流になりました。
一方で、あまり変化していない調査結果もあります。求職者が、パート・アルバイトという働き方を選んだ理由です。平成19年版でも平成28年版でも、「生活と仕事の両立を図りたいから」「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」「家の近くで働きたかったから」「気楽に働けるから」が上位に並んでいます。
10年前と昨年の調査結果を比較してきましたが、この先はどうなっていくのでしょうか。時代や環境に応じて変えていかなければならないものもあれば、どんなに時間が流れても変わらないものもあると思います。
企業が人を雇用する上で、最も大切なことは何でしょうか。それは、採用した人に任せたい仕事を、明確にしておくことではないでしょうか。それがはっきりしていなければ、採用された人は雇った側の場当たり的な対応に翻弄されることになり、場合によっては退職してしまうかもしれません。
また、やってもらいたい仕事が明確であれば、採用用件も具体的になります。どれだけ多くの求職者を集めても、自社の採用用件に合わなければ意味がありません。たとえ応募者が1人でも、自社の求める条件をクリアしていれば、問題はないはずです。10年後には、母集団形成という考え方は、なくなっているのかもしれません。
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●文/三宅航太(みやけ こうた)
アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するビジネスやマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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