企業における女性活躍支援の最新実態
女性管理職比率は平均4.9%、数値目標を設定している企業は19.8%
1 正社員、管理職における女性比率と男女別の平均勤続年数
正社員における女性比率と平均勤続年数[図表1〜2]
総合職・一般職別の企業では総合職11%、一般職65%。区別のない企業では22%
回答企業の内訳を見ると[図表1]、総合職・一般職別の管理をしている企業が全体の42.0%、総合職・一般職別の管理をしていない企業が57.0%と、総合職・一般職別の管理をしていない企業が過半数を占める。
2015年4月1日現在の正社員における女性比率は、総合職・一般職別の管理をしている企業では総合職10.7%、一般職64.9%となった。一方、総合職・一般職別の管理をしていない企業では、正社員における女性比率が22.2%となっている。
規模別に見ると、総合職・一般職別の管理をしている企業の総合職の女性比率は、1000人以上12.0%、300〜999人10.3%、300人未満8.1%と、規模が大きくなるほど割合が高くなっている。総合職・一般職別の管理をしていない企業では、1000人以上19.0%、300〜999人20.6%、300人未満28.3%と、規模が小さくなるほど割合が高い。
産業別では、総合職・一般職別の管理をしている企業は製造業が、そうでない企業は非製造業のほうが女性比率の割合が高くなっている。
なお、男女別に平均勤続年数を聞いたところ[図表2]、回答企業平均で男性社員は15.1年、女性社員は11.9年となった。
女性管理職比率の現状と管理職登用が進まない理由[図表3〜4]女性管理職比率は全体で5%。課長層12%に対して、部長層4%
政府では、指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度とする目標を掲げているが、調査時点における課長以上の管理職全体に占める女性割合(以下、女性管理職比率。主任・係長層、役員層を除く)の平均は4.9%であった[図表3]。特に、課長層における女性比率11.5%に対して、部長層では3.6%と、役職が上位になるほど女性比率が減っている状況がうかがえる。
女性の管理職登用が進まない理由(複数回答)としては[図表4]、「採用の時点で女性が少ない」が50.2%で最も多く、以下、「現時点では必要な知識や経験などを有する女性がいない」41.1%、「実績・前例が乏しい」30.4%、「能力などの要件を満たしても女性本人が希望しない」27.1%、「女性の管理職育成に向けた制度が不十分」25.1%と続く。
2 女性の採用拡大に向けた取り組み
新卒入社者、中途採用者の女性比率[図表5〜6]総合職・一般職別の企業では、総合職24%、一般職70%。区別のない企業では30%
2015年4月の新卒入社者における女性比率は[図表5]、総合職・一般職別の管理をしている企業では総合職24.2%、一般職70.2%となった。総合職・一般職別の管理をしていない企業では30.4%となっている。
規模別に見ると、総合職では1000人以上23.7%、300〜999人24.8%、300人未満24.9%と24〜25%に集中しており、採用時点では規模の格差はほぼない。一方、一般職では1000人以上が80.6%と他の規模よりも高くなっている。
また、2014年度1年間の中途採用者における女性比率は[図表6]、一般社員層(総合職)では22.2%、管理職層では11.6%であった。
新卒採用における女性比率の目標設定と、女性採用拡大の取り組み[図表7〜9]新卒採用で女性採用比率の目標を「現在設定している」企業は26%と、4社に1社にとどまる
189回通常国会で成立した女性活躍推進法では、女性採用比率の状況把握、課題分析を必須項目と位置づけた上で、行動計画の策定・公表を求めている。そのような中、2015年5〜7月の調査時点で新卒採用において女性採用比率の目標を「現在設定している」企業は26.1%にとどまった[図表7]。
規模別に見ると、大手ほど「現在設定している」割合が高く、300人未満3.8%に対して1000人以上41.4%となっている。
一方、直近3年間で、女性の新卒採用数を拡大してきた企業は45.4%であった[図表8]。
女性採用拡大のために取り組んでいる内容(複数回答)としては[図表9](省略)、「活躍している女性社員を説明会や採用パンフレット等で紹介」82.1%が最も多く、「女性社員の活躍の状況を自社サイトや採用ナビ等で発信」53.7%、「採用における女性比率の目標値を設定」41.1%と続いている。
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