残業時間・ムダな労働時間削減、生産性向上のための
「時短マネジメントシステム」
時短コンサルタント・社会保険労務士
山本 昌幸
Ⅷ. 「取り組む時間がない」への対応
このような取組みを開始する場合、必ずと言ってよいほど「そのような時間がありません。それこそ時間のムダです」という類の反論があります。しかし、このような反論は聞き入れないことです。実際、時間がないということはないのです。
勤務中の喫煙の時間、スマホをいじる時間、私用電話の時間、長トイレの時間、お茶を飲む時間、おしゃべりの時間、インターネット閲覧時間はもちろん、緊急顧客対応にはきちっと対応するのですから。
Ⅸ. 「時短マネジメントシステム」の効果
当取組みによる時短の効果は出るのかと聞かれたら、私は「効果は出ます」と言い切っています。その裏付けとして「成功報酬で指導も可能です」とお伝えしております。それだけ効果が出やすいということです。
仮に効果が出ない場合は、
- 皆が前向きに取り組んでいない
- 構築したマネジメントシステム自体の欠陥
- マネジメントシステムを運用する力量がない
のいずれかでしょう。
Ⅹ. 「時短マネジメントシステム」への想い
効率の良い働き方の実現は働くことに制約がある人にとって非常に重要です。
“働くことに制約がある人”とは、まず女性を連想しますが女性に限りません。筆者自身、小学生の頃から、脚の不自由な病気がちの母親に育てられ(父は不在)、就職する際も母を1人にできないという制約がありました。そんな筆者自身が就労に制約がある中、様々な方から助けていただきました。その後現職に就き、数回にわたる出張で目の当たりにしたスウェーデンの労働事情に感化され、我が国の就労環境も何とかすべきと思いました。今では母も他界し筆者自身、母の介護等はなくなりましたが、小さくはありますが主宰している組織で育児休業者も複数出ており、その他、就労に制約がある従業員も何人か雇用してきました。
この「時短マネジメントシステム」は、筆者が主宰する組織以外に対しても、“働くことに制約がある人”が定職に就くことを実現するための仕組みと捉えています。
誌面の都合で「時短マネジメントシステム」の概要のみの解説となりましたが、税務経理協会より当仕組みの書籍が出版されていますので、よろしければ参考にしていただければと思います。
一社でも多くの企業が時短に取り組み、そこで働く方がビジネスに、プライベートにメリハリのある生き方をしてもらうのはもちろんのこと、“働くことに制約がある人”(育児、介護、通学等)も安心して働くことができる職場の実現を期待しております。
やまもと・まさゆき●あおいコンサルタント株式会社取締役。小手先ではない真の労働時間削減指導、交通事故削減指導、マネジメントシステム構築指導を得意とする。主な著作に「社長のための残業ゼロ企業のつくり方」(税務経理協会)、「『プロセスリストラ』を活用した真の残業削減・生産性向上・人材育成 実践の手法」、「運輸安全マネジメント構築・運営マニュアル」(以上、日本法令)、「CSR企業必携!交通事故を減らすISO39001のキモがわかる本」(セルバ出版・三省堂)。1963年生。主な保有資格:ISO9001主任審査員、ISO14001主任審査員、特定社会保険労務士、行政書士。ロードージカンドットコム(http://rodojikan.com)を運営。
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